就職活動①
受付を出入りする人は流石に大人ばかりであった。
冒険者と呼ばれる人に子供は見当たらない。
一寸準備してくるといって奥の部屋に消えていったリオを待ちながら、ルミナは冒険者について考える。
確かに選択肢の一つであった。
大概のラノベでも異世界で生きていく術の一つではある。
ただし、チートスキルがあればの話だ。
または豪運。都合の良い展開。そういったものがなければ、ただのフリーターでしかない。
チートスキルならある。
再生スキルに勇者スキル。
これらを駆使すれば問題はないのだが。
今のルミナにはどちらも手に余るスキルだ。
「と、いうわけでおまたせ。」
リオが帰ってきた。服装が変わってる。
腰に剣を吊るし、洋服ではなく鈍く光る革製の鎧を装備している。
軽装剣士というところか。
ただ、年齢が同い年くらい・・・子供がきている姿を見ると、コスプレの粋を出ないように見える。
「なかなかかっこいいだろ?」
「・・・まぁ様にはなってるよ。」
お世辞である。社交辞令ができる大人であるから。
「剣を使うってことは前衛か。」
せめて後衛だったらスキル次第ということもあっただろうに。
「俺も剣を使わせたら、なかなかのもんなんだぜ。」
技術はもしかしたらあるかもしれない。だがもととなる筋力が子供にはたりない。
絶望しかない。冷めた目で見るのはルミナの中身が大人だからだろう。
「いや、頑張れよ。リオ。応援してるからさ。」
あと5年したら考えるわと、ルミナは席を立った。
だがリオは手を掴みルミナを逃さなかった。
「まぁまてよ、俺だって今すぐに冒険者ってわけじゃないんだ。ちゃんと段階を踏むつもりなんだ。」
あくまで研修中ということらしい。流石に子供単独じゃ認められないらしい。
仕事内容も理解力、実行力とそれ相応の力がないと依頼を受けることは無理だということ。
「なんだ。わかってんじゃん。また5年後来ようぜ。」
無理ができないという話を聞く限り、冒険者ギルドは予想よりしっかりしているな。将来の候補としては悪くない。
だがリオは諦めない。
「ルミナは冒険者しかないって。俺がそう見込んだんだ。そもそもあのスキル、他に役に立つことなんかないだろ?」
・・・・・・・確かに。ガンダム呼び出して何ができるといえば、武力しかない。相棒を見世物にする気はないし。
「それにもう少ししたら、っと。いたいた。紹介したい人いるから一寸待ってろよ。」
リオは誰かを待っていたようだ。ルミナに合わせるためだろう。そのため此処に連れてきて、引き止めていたのだ。。
リオに連れられてきたのは、ガタイの大きな髭面の男と、キツネ目の優男だった。
「ルミナ。紹介するぜ。こちらのおっちゃんはノスさん。冒険者歴20年のベテランだ。そしてこっちのお兄さんがマリッジさん。弓を使ったり斥候、索敵罠感知等のスペシャリストだ。」
威圧感がある。なるほど冒険者か。そういった感じがする。
「はじめまして。よろし「おいおい何だこの嬢ちゃんは」」
ルミナの挨拶を遮ってノスと呼ばれた濁声の髭面は、ルミナを見て顔をしかめる。
「リオ。俺たちが色々教えてやってるのはお前が冒険者になりたいっていったからだ。こんなお嬢ちゃん
とイチャコラするためじゃないぞ。」
ふむ。リオの冒険者仲間・・・いや研修中っぽいから先生というところか。
「イチャコラとかじゃねぇよ。ノスさん。こいつはこんななりだが召喚術の使い手なんだぜ。冒険者に向いてるって。」
おいこら!人の秘密を勝手に言うな。
「リオ。勝手に情報をバラすのは冒険者としては減点だぞ。交渉としてもだ。」
ノスの注意が飛ぶ。リオはハッとした顔になる。
「お嬢ちゃん。申し訳ないが足手まといを2人も連れて仕事できるほど俺たちも暇じゃない。」
わかってもらえるかな?と髭面をドアップで寄せてくる。怖い怖い。
「大丈夫ですよ。お話を聞きに来ただけで、すぐ何かをということではありませんし。」
とりあえず濁す。どちらの面子も潰さないように。
「リオが足手まといじゃなくなったら、改めて誘えばいい。お前が教えてやればいいことだ。」
マリッジがリオの方を叩く。
おお、なんかいい先輩に囲まれてるじゃん。
こういう環境だからきっと誘ってくれたんだな。
リオだって無理やりとか、自分の都合だけじゃなく、きちんとルミナのことを考えて誘ってくれたのだろう。
一考にしておく価値はあるとルミナは思った。
「リオ。ありがとう。考えが変わったらこの線も考えてみるよ。ノスさんもマリッジさんもリオのことよろしく頼みますね。」
といって頭を下げる。
ノスとマリッジは少し困った顔しつつ、「わかった」と答えてくれた。
「行くぞ、リオ。人探しの依頼を受けている。事情を聞きに行くぞ。」
「わかった。ノスさん。・・んじゃルミナまたな。絶対考えといてくれよ。」
そう行って3人は揃ってでかけていった。
さてと、せっかく冒険者ギルドにきたのだし、ちょっと見学していくか。
バイトに行くにしてもまだ時間はある。
そう考えたルミナは依頼ボードの方へ歩いていった。
依頼ボードには、紙が貼り付けてあり、簡潔に依頼内容が書いてある。
人探し、猫探し、清掃、といった生活感あふれる依頼が多数を占めていた。
討伐依頼とかあるのかと思ってたけど、そういった物は見当たらなかった。
「一寸思ってたのと違うな。」
もっとゴブリン討伐!とか謎の怪物の調査とかが多数を占めるものだと思っていた。
「エムさんはゴブリン討伐の依頼を受けたって行ってたし、まったくないわけじゃないんだろうけど。」
「・・・ルミナちゃん?」
噂をすればなんとやら。
呼ばれた方へ振り返ると、そこには2月前にお世話になった「エム」の姿があった。




