親友は突然に②
有名人?
・・・え?まったくそんなことを感じてないんだけど。
「ギュウ先生の不自然な演出がすべてだね。君が来た時の紹介、あれは意図的だったように見えた。」
どういうこと?
その辺の話を聞いてみると、編入してきた人の紹介、挨拶、そもそもギュウ先生自ら連れて教室に入るとか注目してくださいと言わんばかりのことだ。
普通は誰が編入してきたとかわからない、― 300人規模 ―の組である為特別なことをしない限り注目されるはずがないという話であった。
意図的・・・ギュウ先生が?
「だから君が王族なんじゃないかともっぱら噂になってたんだよ。」
粗相が無いようにと注意すること自体がそもそも異例だ。
・・・・・なるほど、それがこないだの詰問であったということか。
「まぁルミナ君が否定したからね。これからは君に興味を持った人が話をかけてくるかもしれないね。」
リオは実は僕もその一人なんだと教えてくれた。
「なにせ、どの授業にも顔を出さない。すぐにいなくなる。朝礼以外で君を見かけることはまれだからね。興味も沸くってものだよ。」
で、朝礼の後君は何してたんだい?と聞いてきた。早速だな。
別に隠す必要があるわけでもなし。ルミナは一日の行動パターンを説明することにした。
「図書館か・・・それは盲点だった。まさかあそこに行く人がいるなんて。」
確かに図書館を利用する人は少なかった。本を読んでいたのは自分くらいだったかもしれない。
だけど、知識を磨くためにに利用する人がいても不思議じゃないと思うんだけど。
「あそこにある知識はみんな知ってるからね。「新しきものが無い図書館」っていうのが別名だよ。」
・・・そうなんか。
「そして学生食堂で働くとか、想定外だ。てっきりギュウ先生お付きで秘密の授業を受けているものだと思ってたよ。」
そんなふうに思われていたなんて、こちらの方が想定外だ。
「で、君のその人形・・・魔法なのかな?それってどういう仕組みでやってるの?」
「質問ばっかりなんですけど。それってずるくない?」
こっちのことばっかり聞いてさーとルミナは口をすぼめる。
ああ、確かに・・そうだね。とリオは悪びれることもなく笑った。
「ちょっと野暮用で街に出てたんだけど、その帰り道、たまたまここを通りかかっただけだよ。」
そしたらねーともったいぶったような言い方で
「めちゃくちゃかっこいい人形が動いてる様に感動して、そのまま声をかけてしまったんだ。」
かっこいいから理性が効かなかったと話してくれた。
「・・・・それは・・・しょうがないな。」
俺の相棒達がかっこいいのは仕方ない。すこぶる正しい意見だ。
「それでその人形はなんなんだい?」
あまり説明してもらってない気がするが、そんなに目をキラキラさせている姿を見ると悪い気がしない。
「これは、「ゴーレム召喚」っていうスキルなんだ。魔法じゃないし人形ってわけでもない。あらかじめイメージを定着させた物体を召喚して使役してるんだ。」
「スキル・・・・なるほどゴーレムだったということか」
とリオは頷いた。
「ちなみに造形は、空想上の巨大ゴーレムをモチーフにしてる。本当は人が乗れるくらいにするつもりなんだけどなかなか・・・」
本当はガンダムをモチーフにしたガンプラが元ですなどと説明してもわかってもらえないため、あえてそういう説明をした。
「人が乗れるゴーレム・・・・すごい・・・あれに乗れるようになるのか・・やばい!やばいよそれ」
リオは興奮した姿を隠さず飛び跳ねる。
俺も乗りたいなーとまで言ってくれる。ああ、まじうれしいな。
「だけど質量を上げるのがなかなかな難しいんだよね。どうしても力が足りなくて。」
そういうと、ルミナはハイニューガンダムを召喚する。
手慣れたものだ。
だがその召喚を見たリオが驚愕の表情を見せる。
「・・・・ちょっとまって・・・。触媒も主軸になる原料もなしで召喚するなんて、君は平気なのか!」
・・え?
確かにちょっと疲れるけど・・・・え?
普通はね。っとリオは懐からごそごそと何か取り出す。
鈍く光る鉱石だった。どす黒い赤茶な色。あまり奇麗ではない。
「召喚の軸となる原料を用いた宝石や、こんな魔力の元となる「魔石」を使うのが一般的なんだよ。」
この魔石はゴブリンのだから大した力はないけどねと、教えてくれる。
なんですと!
「召喚は実体化させるのにすさまじいエネルギーを使用するんだよ。だから触媒や宝石を使用する。質量を増やせないのは当たり前で、むしろできていることの方がすごいんだよ。」
眼から鱗である。てっきり力が足りないだけと思ってた。
「この魔石使っていいからこれで試してみなよ。」
そういってリオはルミナに魔石を渡した。
手に持った魔石を見つつ、ルミナは困惑する。
「ど・・・どうやって使うんでしょうか?」
え?そこ?
リオは再び驚愕の表情を見せる。
「魔石は使用する前に自分色に染める必要がある。手に持って魔力を流し込めばいいんだよ。」
今はゴブリンの色に染まってるからそんなに汚いのだと説明してくれる。
魔力を流す・・・・挨拶みたいに言ってくれるけど、どうやるんだ?
そもそも魔力って俺にあるんか・・・。
困惑した様子が晴れないルミナを見てリオはなるほどとうなずく。
「図書館に行くわけだ。ルミナ君には一般知識が足りないということなんだね。」
リオはならばともう一つ懐から魔石を取り出す。
「魔力は生物全てに言えることだけど体中に流れている。自由自在に操るためには練習する必要があるけど、放出だけなら念じるだけで大丈夫だよ。」
見てて、というとリオの手にあった魔石から色が放出され、青い光に書き換えられる。
「これでこの魔石は僕が使用できるようになった。・・・大丈夫。不安な顔しなくても、5歳の子でもできるから。」
リオは笑いながら説明する。どうやら不安が表情に出てたらしい。5歳でもできるのか・・それなら・・
情けない理由で自信を得たルミナは意識を魔石に集中してみる。
掌がじわっと暖かい空気に包まれる。ほどなく魔石から色が抜け、ルミナの魔力で上書きされる。
「虹色・・・・・」
リオが呟く。ルミナの手元の魔石は単色ではなく、混合色として光きらめいていた。
「来い!ハイニューガンダム」
ルミナは再び召喚する。意識は魔石に向けて。
ほどなく魔石の重量感が増す・・・・重たい!!!
咄嗟に魔石を手放し距離をとる。
と、同時にハイニューガンダムが姿を現す。大きさは、ルミナより大きい!
元は1/100だったはずなのに、大人くらいの身長がある。
とうとう俺を追い越した。
質量問題があっさり片付いた。まじうれしい!
「でけぇええ!!しかもさっきと違う!こいつはどんな武器持ってるん?」
リオのキラキラ度が止まらない。
「よおっし!説明しちゃうぞお。さっきの奴と違う武装がファンネルって言って背後についてるのが・・」
張り切って説明するルミナ。
興奮状態のまま説明し盛り上がる二人。楽しい時間が続いた。
その後、大きさが増したニューガンの武装の威力が増したことに気が付かず、調子に乗って放ったファンネルビームが公園の壁を粉砕し、慌てて逃げる羽目になった二人であった。




