21.猛襲 シーモンスター
俺はこの世界に来てから数日がたった。
この街に少し慣れてきた。この街の住民達、この世界の奇抜なデザインなどにはだいぶ驚くことはなくなってきた。
だが俺のいない元の世界のことに不安も積み重なっていく。
俺をこの世界に導いた橋の場所に来てみてもそもそも橋なんてなかった。果ては自分は元々この
世界の人間なんじゃないかとも思ってきた。
正直ヤバい。
橋で見た怪物も川なのにあの大きさ。川が海になってたような感じがする。
「海の怪物ねぇ 海の怪物。」そんな風なことを考えたのが災いを招いた。
「…うっ」壁のようなものにぶつかり、後ろに転倒する。
「なんな…ぐっ」胸倉を掴まれる。
「お前、カシラにぶつかるとは災難だったな。
なあカシラ。」オークに掴まれる。カシラと呼ばれてる片目に傷を負ったリザードマンは冷ややかにこちらを見つめる。
「あ…だ…だれか…たす…」恐怖で舌が上手く回らない。不良に絡まれることは魔人とは違う怖さがある。
「待て。」サイセが現れた。
「ソイツを離してくれないか。」
「なんだ?貴様。」オークと同じ取り巻きの男性エルフが尋ねる。
「カシラにぶつかったコイツが悪い。制裁を受けるべきだ。」オークは隼斗を掴みながら言う。
「ならこれで許してくれないか。」とサイセは4枚ほど札を見せる。
「おぉこんなに… フンッわかりゃいいのさ。」
オークは札を引ったくると隼斗を離した。
そうしてサイセと隼斗は三人を通りすぎる。
「………」リザードマンは二人の背中を無言で見送る。
「ゲヒヒ…儲かった。」だがリザードマンはオークから札を引ったくりばらまく。
「何すんだよカシラ。」
「フンッ行くぞ。」とリザードマンとエルフは進み、オークも札を拾おうとしたのを躊躇ってついていった。
「ありがとうございます。サイセさん。」
「ったく気をつけろ。」
「スイマセン。」
「お前はここでは多分一番弱い。これでも持ってろ。」とサイセにナニカ手渡された。
「こ…これって…」それは拳銃だった。
(どうしよう。本物だ。銃なんてゲーセンくらいしか使ったことないのに…)
今日は久々に依頼だ。待ち合わせの喫茶店に入る。




