第4話 狩人支援の村
「買取してくれる村に行く前に私たちの寝床に行っていい?」
「別なんだ」
「そう。狩人は一度狩りのフィールドに入ると1週間は帰らないから」
「了解した」
連れていかれたのは、林の中にあるテント。
骨組みだけ持ち運び、大きな葉の植物をかぶせるというシンプルな構造。
「夜はここで寝ているの。雨が降っても大丈夫なの」
「へぇ、こんなところに住んでいるんだ」
「うん。1週間くらいだけどね」
テントの周りには干し肉や獣の皮が吊るしてある。
角ウサギの物だろう。
「ついでに、これらも買取してもらおうと思って」
「そうね。肉は僕らが食べるから、角と毛皮だね」
前の日までの獲物を素材も持って、近くの村に行く。
村は狩人にとって、いろいろと支援してくれる場所だ。
「おっ。ミオとミク。元気しているか」
「はい。おかげさまで」
「なんだ。お前ら、牙キツネ狩ったのか、すごいな」
「はい。たまたまです」
村は竹で作られた柵で囲われていた。
入口の門はひとつで、そこに門番がいる。
「これらを買取してもらおうと思って」
「おい、後ろの少年は誰だ」
少年って・・・そんな年じゃないだろ。ちゃんと見ろよ。
こう見えても50歳近くんるんだぜ。
確かに背は低いがな。
「この人はどうも迷子みたいで、一緒に狩りをして素材を売りたいと言うからここに連れてきました」
「そうか。狩人なら歓迎だぜ。名前はなんて言う?」
「ロキです」
村に入ると、そこには20ほどの建物があって、それぞれが小さな掘立小屋みたいな感じだ。
その中で唯一大きい建物に向かってふたりは歩くので私もついていく。
「おばちゃん、こんにちわ」
「おや、誰かと思ったらミオとミクじゃない。買取かい」
「うん。今回はすごいよ。ほら」
どさっとキツネの毛皮をおばちゃんの前のテーブルに載せる。
「おや、牙キツネじゃないか。よく狩れたなこれ」
「まぁね」
自慢げにミオが答える。
本当は自分が狩ったんじゃないとわかっていたけど、ついつい格好つけてしまったらしい。
「頭がないのが残念だけど、これなら1枚で金貨1枚と銀貨2枚でどうだい」
「それでお願いします」
3人が牙キツネの素材を買取してもらったら、それぞれ金貨4枚と銀貨2枚になった。
ふたりは、他にも角ウサギの素材も買取してもらっていたが、そっちは全部で銀貨5枚程度だった。
「今日はお金持ちだから、部屋も貸ります」
「おっ、いいね。銀貨1枚だよ。みんなで一部屋でいいね」
「はい。それと夕食も。豪華パーションで」
「それならひとり銀貨1枚でどうだい。野猪の肉があるんだよ」
「ラッキー」
銀貨1枚あると、ぜいたくな食事や宿に泊まることができる。
金貨は銀貨10枚分だから、今、私たちはお金持ちだ。
「ところでこれとかは、買取してくれないのかな」
ダメ元で火炎丸も出してみた。
「なんだいそれは?」
「魔法の支援アイテムなんだけど」
「こんな村には魔法使いなんていないから、買い取れないね」
やっぱりそうか。
火炎丸を見ても、何かわからないところを見ると、魔法アイテム自体が珍しいらしい。
そもそも、この小屋の中にしても、明かりを灯す魔道具すらない。
一切、魔道具を使わずに生活しているなんて・・・どういうことだ?
お金もできたことだし、村の人は狩人にやさしく接してくれるし。
まずはここを拠点にいろいろと調べていくことにしよう。
今日の4話目です。
なかなか調子よく話が進んでいます。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえるとうれしいです。
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