第34色 時を司る棺
「で、お前らは?」
〈外〉に出て少し。
〈棺〉が僕達のことを聞いてくる。
出会ったときはとにかく急いでいて見る暇もなかったが、改めてこの人を観察する。
かなり使い古したコート、明らかに一人が持つ量では無いほどに多い腕時計。
さっきの『弾』を出したと思われるもの、作りがすごくしっかりしているブーツ、背中の真ん中ほどまで伸びたくくった髪。
そして何より目を引くのはその背中に背負った〈棺〉。
この人の服とかだけでもかなり上質そうなのにも関わらずそれよりも上質に見えるこの〈棺〉。
何故背負っているのか。その『弾』を出したものは何なのか。その多すぎる時計は何なのか。
聞きたいことは山程あるが、まずはこちらからだな。
「俺はジューク・アイル。こっちがワイド・レフレで、こいつがレブ。」
「よろしく。」
「よろしくね!」
ささっと自己紹介を済ませる。
その後軽く質問をされる。
なぜ〈トウキョウ〉を目指しているのか。
『白壁』の中はどんなものだったのか。
学園はどんなものだったのか。
質問に答えると、次はこちらの番になった。
「私はスレイ・リーパー。一応、あの『壁』を目指していた。」
そう言うと、自分の生い立ちを話し始める。
「私がいたところではお前らで言うところの『色』を使え無いやつが大半だった。手の甲に『色』はあったけどな。その中で『色』が使える私と妹は異質だったんだ。そして妹は殺された。そのことがきっかけで軽く話だけ聞いていた『壁』の中に行こうとしてたんだよ。」
〈外〉でも差別というものはあるらしい。まあ、当然か。
「そしてこれは〈銃〉だ。殺傷力の塊みたいなやつだな。」
気になっていたものに関しても聞く前に答えてくれる。かつて無いほど話がスムーズだ。
「ところで、お前らに一つ…知っているかもしれないが、一応言っておきたいことがある。」
そう言って銃を構える。
「〈外〉は、常に命を狙われる状態だ。主に、機械仕掛けの獣にな。」
そう言って音もなく近づいてきた狼に対して一発打ち込む。
飛びかかってきた狼の脳天を綺麗に撃ち抜いている。
当然一撃で絶命。
「だから、こんな感じに奴らの特徴を知っておいて先読みすることが大事になる。」
全く気づかなかった。経験の差…ってやつか?
「ところで、スレイの『色』…能力?って何なんだ?」
ワイドとレブが銃の音や威力に気を引かれている間に、僕が気になっていたことを聞く。
というか、前…『白染』を使えるようになってからくらいか?から一つの物事に関して考えていると、それ以外のことに関して関心が薄くなっている気がする。まぁ今は関係ないか。
「私の『色』?は『時間』。ごく僅かな時間ではあるけど時を止めたり、私が指定したもの以外の時間を遅くしたりみたいな。」
『時間』。これを聞いたときに思ったことは僕の想像力不足。勝手に『色』は物とかにしか使えないと思っていたからこそ、『時間』という概念的なものに触れられるのは新たな発見だった。
「そして、君たちを生き返らせた?のはこれだね。」
そう言うとスレイは立ち止まり、手から銃を落とす。
「『タイム・リバース』」
かと思うと、『色』を使う。それと同時に銃が元あった場所に『巻き戻る』。
「時間の巻き戻し。指定範囲の時間を最大五分巻き戻せる。」
世の理を正面から否定している。そう思った。
「私が使い込んだものなら『動き』を保存してその『動き』を『再生』することもできる。」
そう言ってまたしても『色』を使用する。
「『タイム・リバース・スナイパー』」
手に持っていた銃がひとりでに宙に浮く。それと同時に〈棺〉も開き、中から長い銃が出る。それと入れ替わるように銃が〈棺〉に入る。そして長い銃が手に収まる。
「こんなところかな。」
もしかすると、想像よりもすごい人が仲間になったかもしれない。




