第三十色 燃え上がれ、我が剣
「『白壁』」
〈白剣〉を直剣にした僕は右手でそれを持ち、構える。
対してルミアは背後に『氷槍』を無数に展開する。
その間には『白壁』。
動かない。いや、動けない。
その均衡を崩したのは――
「『赤金光・陽昇』」
またしても、『太陽』だった。
「『血染』『白斬』」
すぐさま『白壁』を解き、『血染』、『白斬』を発動。
ルミアもこちらに『氷槍』を向ける。
ただ僕にはまだイメージできるものがある。
先生という初めての僕以外の『白』との戦闘。
僕は、『白』を自分自身だと考えている。だから、先生の『白星』を見た時、
あぁ、僕には自分を『星』だと思うことは出来ない。
そう思った。
だがその戦いで、これならできると思ったことがあった。
あの『光』。
僕は常に『光』を放ち続ける『星』にはなれない。
だが一時的になら強い光を放つことができる。
たった一つ。
『色』を『白』で染めるという点で。
このたった一つの大きな自信。
これだけで、『色』は使える。
「『白光』!」
『血染』によって〈白剣〉が『赤』く染まる。
だがそれも一瞬。『白斬』によってその『血』が『白』に変わる。
そして『白光』。これにより、『白』い『血』が『光』を放つ。
「うッ!?」
急に強い光を見たことでルミアが目をつぶる。その隙に『血染』、『白斬』
いや、『白血染』を振り抜く。
「ッ『青氷・杭』!」
かろうじて当たる寸前でこちらを見たルミアは足から『杭』を出し、地面に差し込む。
その『杭』は折れたが、吹き飛ぶ距離は軽くなる。
「強いね…うん。強い。」
「だけど、まだだよ。」
「私には、まだ。」
「これがある。」
あの『太陽』が出てから夏のように上がっていた気温が一気に下る。
辺りの『氷』だった水が氷になっていく。
ルミアの足元から周りにどんどん氷が広がっていく。
「『青氷・界』」
「ッ『白壁』!」
咄嗟に飛び、地面に触れない高さに『白壁』を出し、そこに乗る。
その瞬間、辺りの地面、建物、飛んできた破片。
全てが凍りつく。
「あは。やっぱりこれだと『凍』らないよね。」
足場の制限。恐らく地面に触れた瞬間『凍』る。
しかもその動力は『色』。
いくら辺りの気温が高くなろうと溶けることはないだろう。
使える足場は『白壁』のみ。
地面に『白染』をすることができればそこは使えるかもしれないが何より『白染』は発動に時間がかかる。
使っている間に『凍』る。
『白光』ならどうだ?
「『白光』」
一瞬光りに触れたところが溶ける。
だが『白染』と違って『白』が濃くない。
溶けたところがすぐさま『凍』っていく。
「『青氷・槍』」
構えていた『氷槍』が飛んでくる。回避は困難。迎撃。
仕方ない。ぶっつけ本番だが。
僕は現状『白壁』を二枚同時に貼ることは出来ない。さっき試したが僕のイメージが関係しており出来なかった。
ただ『色』の使用中に別の『色』を使うのは慣れてきた。
そして僕には、『赤』がある。
レブからもらった物だから『赤』は『血』というイメージがあったが、それだと勝てない。
固定観念を捨てろ。
『色』は、自由だ。
『解釈』を広げろ。
「『赤血・多腕』!」
背中の真ん中辺りから新たな『腕』が生える。
そもそも『左腕』が出来ているんだから出来ないことはない。
『背中』に〈白剣〉を。両手にレブと買ったあの『黒妖剣』を持つ。
そしてその全てに『血染』をする。
少し『血』が足りないのかフラッとしたが問題ない。このくらいなら。
そして、『血』は『赤』。
『赤』は、もっと近くに、使うやつがいた。
「『赤血・燃』」
三本の剣が、燃え上がる。
「それは、カイルのでしょ?私達を捨てたんじゃないの?」
少しは思った。
「僕は、忘れてない。」
「どういう意味ッ!」
確かに、ルミアからしたら意味がわからないだろう。
原因は恐らく『白』にある。
最近、記憶がよく『消える』。
入学式の記憶、幼少期の記憶、人の名前、『灰』のサダと行った依頼の時の記憶。
『白』を使えば使うほど『記憶』が『消える』。
だから、その〈立場〉を捨てようと、『記憶』が失われていないなら、僕は使う。
それを、忘れないためにも。
「『赤炎・飛斬』」
三本の剣の『炎』を飛ばす。
それを何故かルミアは避けることはしなかった。
「またね。」
『炎』がルミアに触れる。
地面に『炎』が残る。
そこにルミアはいなかった。
主人公のできることがどんどん増えていく。




