第十四色 黒の介入
『土柱』に弾き飛ばされた僕はすぐにグラドの方を見る。だがいつの間にか『土壁』が広がっており、姿を視認することが出来ない。
「『土槍・囲』」
周りの壁から僕を囲うように『土槍』が飛んでくる。
この『土槍』が仮説通り〈誘導〉であると信じて僕は目の前の壁に向かって走る。
「へぇ!そう来るか!」
どうやら仮説はあっているらしく僕がさっき立っていた場所から、避けられるくらいの範囲に『土槍』が落ちる。『土槍』には『土壁』のものが使われているらしく、壁が薄くなっている。その中でも特別薄いところに向かって走る。
「ただ、もう終わりだよ。」
そう言った瞬間、壁の辺りに一斉に『土槍』が上から降ってくる。
なにが起こったか考える間もなく僕は意識を失う。
「試合終了!勝者、グラド・ウォル!」
目が覚めると部屋に居た。窓の外を見ると夜らしい。だが、なにかおかしい。
寮の部屋の構造は広い部屋が一部屋のみ。その中にベッドがある。僕とワイドのベッドは離れているとはいえ凄く近い場所にある。だが、ワイドがいない。そして何より、今すぐここを離れた方がいいという声が僕の中から聞こえ続ける。
外に出なければ。
そう思い、ドアに手をかける。
だが、開かない。鍵は開いている。なのに、開かない。
これでおかしいことを確信した僕は窓に走る。ここは2階。落ちたとしても軽症で済むはずだ。
そして窓を開けようと手をかける。
開かない。
ここまでおかしいとなればなりふり構ってはいられない。そう思うと助走を付け、窓にぶつかる。
するとあっさり窓は割れた。
ギュオォォォォォォォォォォ!!!!
『黒い霧』が部屋の中に入り込んでくる。その霧になにか嫌なものを感じた僕は咄嗟に机を積み立てて窓の場所を塞ぐ。だが隙間から少しづつ『霧』は入ってくる。
だがこれ以上出来ることはない。超能力も何も使えないし、これ以上は何も…
ふと、机の上のヘアゴムが目に入る。これは誰のものだったか、
「『色』」
視界が白黒のこの世界なのにその言葉は不自然なほどしっくり来た。
そして僕は思うままに言葉を紡ぐ。そしてそれをイメージする。
「『白洗』」
世界が晴れる。
目を開けると隣のベッドにはワイドがおり、机の上にはヘアゴムがあった。
そう。髪が長いワイドが髪をまとめるために使っているヘアゴム。なぜ忘れていたのか。
「なぜお前に『黒脳』が効かない?」
それは、僕の中から聞こえてきた。
「まぁ、こうなったら力づくだな。」
その瞬間、窓の外から圧倒的な威圧感を感じた。




