第十二色 別の『白』
「ただい…」
「ええええええええええええええええええええええええええええ!?」
何事!?
「ごめんごめん。ちょっと取り乱した。」
部屋に帰った僕を迎えたのは普段冷静なワイドの悲鳴だった。
「僕は東区出身なんだけどね。そこで有名だった人がいるんだよ。」
何があったのかを聞くと、すぐにワイドは語りだした。
「僕たちと同い年なんだよ。それなのに数え切れないほどの依頼をこなしてるし、AランクなのにSランク相当のモンスターの依頼もこなしてる。東区のヒーローとも言える人なんだよ。
僕がこの人をこんなに気にするのは理由があってね。
幼馴染なんだよ。僕とコイツは。
昔からコイツと遊んだり、勝負したりしてきた。だから、絶対に僕はコイツに勝てないんだなって分かってたんだけどね。
ある日、僕が家で槍の修行をしてると、コイツがオーガを狩ってきたんだ。剣一本で。それを真っ先に僕に見せに来たんだ。そこで褒められればよかったんだけどね。負け続けてたのとそれが原因で親に厳しくされてたこととか色々重なって、僕はアイツに対して酷いことを言ってしまったんだよ。それが原因かはわからないけど、アイツはその日を境に僕の前から姿を消した。そしてこんなにも有名になった。
だから、いまでも僕はコイツのことを応援してるんだよ。そして僕がバルトに入ったのもコイツに追いついて、あのときのことを謝って、できればまたあの時みたいになることかな。」
思ったよりもワイドとコイツは長い付き合いだった。言葉に詰まっていると。
「そんなアイツが、ついさっき急に倒れたらしいんだよ。この新聞によると。東区のヒーローが倒れたってことで新聞も号外としてすぐにばらまいてたよ。号外になった理由は、倒れたのが依頼中で、しかもモンスターの巣穴の中。仲間も近くにいたからなんとか無事だったらしいけど、アイツは病気にもなったことがないくらい元気だったし怪我とか疲れではよほどのことがない限り倒れないほど元気。何かあったんじゃないかって心配でね…」
正直、ワイドの手助けをしてやりたい。だが、ここに来るまでに読んでしまったあの手紙の内容的に、バルトへの信用が今は疑いがある。だが安易に退学を進めることは出来ない。
「そしてここからは、ジューク、君に関係する話だ。」
「僕?」
「あぁ。これは試験の時君と対戦した理由にもなる。そのまま言おう。アイツの『色』は…」
「『白』だ。」




