15日目
アリアは手を広げ、呪術を展開しようとする。
僕は手足を赤いリボンで拘束されていて、これが結構キツく縛られている。
正直、この突破口が見つからなかった。
「僕にも魔法が、使えたら……」
なんて呟くけど、しょせんは僕はただの子供。たった十四年しか生きていない、からっぽな人間だ。
別に今死んだって、誰も悲しむ人なんていない。そうだ、僕は……。
「お止めください、アリア様!」
そう言って僕の目の前に飛び出してきたのは、あのツギハギ男だった。
僕の拘束である赤いリボンを素早くナイフで切り、解放する。
僕を殺しかけた男で、自称『友達』で『親友』。
そして、僕に対して妙に馴れ馴れしい。こういうやつは嫌いだ。
「なっ……!? テナー!?」
アリアには予想外だったようで、かなり動揺していた。
「アルくんに手を出すのは……。いくらアリア様であっても許しません」
「だって……私のアルくんですから」
笑顔を歪ませ、頬を赤く染めるテナーは相変わらず気持ち悪い。
僕に馴れ馴れしいのも嫌だし、執着心があるのも近寄りがたい。本当にこんなやつが僕の友達だったのか?
「気持ち悪い……」
「ちょっと!? アルくん酷い……。私のハートは割れました……」
「うん、そのままズタズタに……なれば、いい」
「あぁ……! アルくんが記憶喪失する前の口調で、私はゾクゾクします……」
興奮するツギハギ男は、友人だと思われたくなくて他人のフリをするタイプの男だ。
僕たちはツギハギ男に、口を揃えて悪口を言う。
「生理的に無理だわ……」
「うん、もう……こいつダメなやつだ」
ツギハギ男のことは、できるだけ日記に書きたくない。そう思った瞬間だった。




