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32.急に何者かに襲われました

「王位継承祭結果発表! 第三位は黄龍チーム! 獲得ポイントは50ポイント! リーダーのガネヤイさんがベスト4に入ったのはお見事でした!」



 観客から歓声があがる。

 その歓声にあまり嬉しそうじゃない顔で手をあげて応えるガネヤイ。

 レースで負けたのが悔しいのかもな。



「第二位は青龍チーム! 獲得ポイントは220ポイント! レース、決闘大会共に優勝争いに絡んだものの、一歩及ばず! でも、お見事でした!」



 二人の青龍は手を振って歓声に応えるが、ネメサルはうつむいている。

 治療はしっかりしたはずなんだが、心の傷までは癒せなかったか?

 ちょっとやり過ぎたしな。



「そして今回の優勝は―――赤龍チーム! 獲得ポイントは290ポイント! レースはテルサムさん、決闘大会はライクさんがそれぞれ一位をとり、文句無しの優勝です! 決勝戦は圧倒的な力の差を見せつけ、まさに王者という貫禄を見せつけてきました!」



 さらに盛り上がる観客!

 ハシクは満面の笑みで、テルサムは恥ずかしそうにしながら、俺はそっと片手を上げて歓声に応える。



「ら、ライク様!」



 そう近くから叫び声が聞こえ、思わずビクッとする。

 だ、誰が言ったんだ?

 声がした方を振り向くと―――



「ネメサルが言ったのか?」

「そうです! 圧倒的な力! そしてみんなを楽しませるその不思議な魅力! まさに我らの王にふさわしい! 観客の皆さんもそうは思いませんか!?」



 は?

 何言い出すんだよ、コイツ。

 俺は王になんてなりたくないっての。



 そうだそうだーと同意の声があちこちから聞こえてくる。

 うわぁ、これ嫌なパターンだわ。

 一刻も早くここから―――



「皆さん、危ないですわ!? ミリナさん、闘技場全体に早くシールドを!」

「えっ? 分かりましたわ」



 紫龍のムスレヌが必死な声でそう叫ぶ。

 それに応じたミリナが闘技場全体にシールドを貼り終わった瞬間……



 チュドーン!!!



 ミリナのシールドから聞こえてくる強烈な破壊音。

 その音と同時にシールドは破れさってしまった……



「わ、私のシールドがたった一撃で……一体誰が?」



 シールドが壊れている様子を呆然と眺めるミリナ。

 すると、その視線の先にはとある巨大な生物の姿が。



「あれは……ドラゴン!? しかも何なんだあの大きさは!?」



 見えたのは巨大な白龍。

 俺よりも一回りも二回りも大きいであろうその大きさは遠くからでも迫力を感じる。



「ま、またきますよ!? 皆さん逃げて下さい!」



 ミリナはそう叫ぶ。

 だが肝心のミリナは力を使い果たしたようで動けそうにない。

 だが容赦なくミリナのいる所に白龍は光線を放つ!



「させるかよ! ”みまもり”ー”み”で”まもり”!」



 俺はバリアを展開して、何とかその攻撃を防いだ。

 コイツ、まずいな。

 強すぎる。

 少なくとも多分ここにいる龍達とは強さの次元が違う。

 これは本気で戦わないとまずいぞ……



「ミリナ、今のうちに逃げるんだ! テルサム、ハシクも!」

「で、でも……」

「大丈夫、俺は死なない。だから安心して城に戻ってろ。俺の強さは知っているだろ?」



 こくりと頷くテルサム。

 自分で自分を強いというのも何だかなと思うが、今はそんな事言っている余裕はない。

 みんなに早く逃げてもらわなくては。



 それからも白龍は色んな所にめちゃくちゃに攻撃してくるので、俺はその場所にバリアを張り続け、何とかみんなの逃走時間を稼ぐ。


 そしてしばらく凌ぎ、ついに闘技場には俺と白龍の二人だけになった。



「ふふ、これで心置きなく戦えるな。こちらからいくぞ!」



 俺は上空へと飛び立つ。

 そして白龍の後ろに回りこんでブレスを放った。

 だが白龍はブレスをサッと避け、反撃のブレスを放ってくる!

 攻撃の反動で身動きがとれない俺はそのブレスに当たってしまう。


 痛っ!?

 ブレスが当たった所には黒い鱗が少しただれた状態になりやがった。

 やっぱりコイツ、ただ者じゃねえわ。



「”卑しい”ー”い”で”いやし”!」



 俺はすかさず傷を受けた所を回復させる。

 痛いまま戦うなんて嫌だからな。


 白龍はそんな俺を執拗に狙ってくるが、俺はその攻撃を全てかわす。

 機動力は俺の方が上のようだ。


 だけど逃げているばかりじゃ戦いは終わらないよな。

 でも痛いのは嫌だし……


 そうだ、いつもの戦法でいこう。

 というか、最初からそうすればいいんだよな。

 つい、龍らしい戦いみたいなものをしちまったわ。

 別に俺、龍じゃないのにな。


 そうと決まったら早速行動だ。



「”袋”ー”ろ”で”ふく”!」



 俺は白龍に服を着せた。

 もうひたすらに。

 そして……



「”服”ー”ふ”で”く”!」



 すると白龍が着ていた服が重たい金属へと変化し、白龍は地上へと落とされる!

 そんな白龍に俺はブレスを放ち、そのまま地面に突き落とした!



 ズドーン!!!



 物凄い音をたてて、地面に落ちた白龍。

 さて、少しは効いただろうか?


 俺は地上に降りて、白龍の様子を見に行った。



「もしもーし、生きてますかー?」

「生きてますかーじゃないわよ!? あたしを殺す気、貴方って人は!?」



 地上にはそう怒った様子で俺をにらみつける白龍の姿があった。

 もちろん金属があまりに重いので、地面にうつ伏せになっていたが。



「おー生きているんだな、良かった良かった。でもなんで急に俺達を襲ってくるんだよ? 酷すぎるぞ?」

「えっ……? そういえば私、どうしてこんな所にいるのかしら? ネフターヌじゃないわよね、ここ?」

「ネフターヌ?」

「あっ、私が住んでいる世界の事。ここの人達の呼び方だと、召喚獣が住む世界と言った方が分かりやすいかしら?」



 へぇ。

 召喚獣が住む世界か……

 って、こいつ、召喚獣なのか!?



「お前は召喚獣なのか?」

「ええ、そうよ」

「なら誰に召喚されたんだ?」

「それが覚えがないのよ。何でかしらね?……うっ!?」



 すると白龍は頭を抱えだした!



「どうしたんだ、いきなり!?」

「こ、この感じ……思い出したわ。この後に何か恐怖に襲われて、周りにあるもの全てを破壊したい衝動に襲われたの……」

「破壊って、何でそんな事を!?」

「分からない。でも多分これは今の召喚主が私にそうさせていると思うの」

「召喚主がか!? ひどい奴だな、そいつ!そいつを倒せばいいのか?」

「いや、そんな事しなくても大丈夫。あなた、魔法適正あるわよね?」

「へ? 平凡な能力ですが、何か?」

「どこが平凡よ。そんな魔力持ってて。いいから早く私を服従させて!」



 服従?

 一体何の事やら?



「服従っていったってどうすればいいんだ?」

「簡単よ。私を倒して。そしてその後また私を呼び出すの。呼び出す時の名前はあなたが決めていいわ」

「え? 何でもいいのか?」

「そうはいっても、変な名前にしたら許さないからね!? ずっと背負う名前になるんだから!」

「まあそりゃそうだよな。で、もうお前を倒している訳だが」

「まだよ。まだこの体は活動できる。だからまだ倒してない。大丈夫。私の本体はこの世界にないから、死にはしないわ」

「なるほどな。だが、本当にいいのか?」

「ええ。むしろ早くして。結構これでも召喚主に抗って無理しているんだから……」

「そうか、分かった。今、楽にしてやるからな」



 俺はトドメのブレスを白龍に放った。

 すると、白龍はピタリと動きが止まる。


 さて、このままじゃ後味悪いからさっさと生き返らせないとな。

 アイツを想像して……名前は、そうだな―――シラリィ!


 そう俺が念じると、目の前にいた動かない巨大な白龍の姿が消えた。

 そして新たに俺の目の前に現れたのは―――



「ありがとうございます、我が主よ。白龍シラリィ、ただいま参上致しました」



 元気な姿になった白龍のシラリィが現れたのだった。

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