自然体で良いのだという考えに至った
誤字脱字は………えぇ…直しますよ?いずれ。
精も根も尽き果てた表情のフェアリー伯爵夫人が、覚束ない足取りで邸を後にするのを心配そうに見送ったイーリャであったが、あの様子ではフェアリー伯爵夫人はもう2度とこの邸には近付く事は無いだろうと考えていた。
「ザザよ……。我のレディー教育はもうよい。あちらの国でも我は好きな事をするし、喋り方も変えぬであろうな………」
イーリャの背後に控えていたザザは静かに答えた。
「左様で御座いますか。かくいう私も姫様はそのままが1番魅力的だと思いますし、取り繕っても直ぐにボロが出ましょう?自然体が良いのでは無いでしょうか?それに奥様も旦那様の前では自然体で御座いますし………」
「ああ、そうであるな!母上ですらあの態度で公爵夫人の肩書きを頂いておるのだ!それに我も偽らぬ本来の姿で王子に接して行きたいと考えたからなぁ」
うんうん頷きながら、心底ホッとしたように微笑むイーリャに、ザザは本気でレディー教育が嫌だったのだと理解したのであった。
そんな2人に背後より焦った声を掛けたのはセルジュであった。出先から帰ってきたら邸のバルコニーが粉々に破壊されているのを見て、慌てて室内に飛び込んで来たのであった。
「こっ……これは一体どういう状況なんだい?」
「おお、セルジュ兄上!お帰りなさなさい!毎週毎週ネリーシャ嬢のご機嫌窺い、大変お疲れ様ですなぁ……」
イーリャがズレた感想を述べると、セルジュは自身の顔面の前で手をブンブンと左右に振りながら、ボケボケの発言をするイーリャに突っ込みを入れた。
「いっいやいやいや!そっそれよりも他に言うことがあるでしょう?」
「はて?他に……ですか?」
イーリャはこの惨状の理由を知っているため落ち着き払っており、セルジュが何故こんなにも動揺しているのかが、全く理解できなかった。
そんなイーリャにセルジュが、困った表情で小さな子供に言い聞かせるように静かにかつ、諭すようにこう宣った。
「イーリャ………こんな半壊した部屋にいたら駄目じゃないか。可愛いイーリャの身体や顔に傷でも出来たらと思うと、僕は心配で心配で堪らないんだよ?外から邸を見た時に、壊れた場所がイーリャがいつもレディー教育のレッスンを受けていた部屋だったから、僕は急いで来たんだよ?」
「うっ…………うん?」
今度はセルジュのぶっ飛んだ発言に、イーリャは目を白黒させてしまった。
何故かって?
セルジュの言っている意味が良く分からなかったからだ。
普通は部屋やバルコニーが半壊している事に着目しそうだが、セルジュは普通では無かった。そう、彼は重度のシスコンだったのである。
そんなセルジュのシスコン脳では、イーリャの身体&顔>部屋の半壊 という、図式になっていたのであった。
「ふむ………ザザよ。セルジュ兄上の言っている事は高尚すぎて、我には良く理解できんのだが、多分我の心配をしてくれて居るのであろうな?」
「ええ………左様で御座いましょう。セルジュ様はお優しい方ですので、姫様をご心配なされていらっしゃるので御座いましょう」
「ううむ……。やはりそうであったか。セルジュ兄上!我はどこにも怪我などしておりませぬのでご安心召されよ!」
イーリャは元気にブンブンと両腕を振り回すと、どこにも怪我を負っていない事をセルジュにアピールした。
「うんうん。そんなに元気ならば大丈夫だね?はぁ~………良かった、イーリャが無事で」
満面の笑みでニコニコとイーリャを見つめながら微笑むセルジュであったが、ふともうひとつ疑問が頭を掠めた。
「………あれっ?イーリャ?確かこの時間はレディー教育をしている時間じゃ無かったかな?」
怪訝そうに首を傾げるセルジュに、イーリャは清々しい気分でキッパリと言い放った。
「フェアリー伯爵夫人のレディー教育は本日を以て終了いたした!」
「ええっ!?も、もしかしてあのフェアリー伯爵夫人から、もう御墨付きを貰ったの?ちょ、ちょっと速すぎない?」
ガガーン!!!と、ショックを受けた様子のセルジュに、イーリャは苦笑しながら事の顛末を簡単に説明した。
「いや、我にはレディー教育などは初めから必要無かったのです。とある人物を鑑みて、自然体で良いんだと先ほど気付いたのです。………ですからフェアリー伯爵夫人は、今後はもう我が邸には来られないと思うのですが」
「んん?そっそれは一体どういう事かな?も、もしやアジュールに嫁ぐのは中止になったから、レディー教育も必要無くなったという事かい?」
自分の願望を満面の笑みで口にするセルジュに、笑いながらもイーリャはハッキリとセルジュの願望を打ち砕いた。
「セルジュ兄上、レディー教育は無くなりましたが、我がアジュールに嫁ぐのは中止になってはおりませぬぞ?」
イーリャのその一言で、満面の笑みを浮かべていたセルジュの表情がピシピシと凍り付いた。
「我は我らしく自然体でアジュールの王子………うぬ!?名前はなんと申したか………まぁ、どうでも良いか。とにかく、アジュールの王子と仲良うやっていこうと思っております」
ピシピシ………パキョンッッッ!!! ガラガラガララ………………。
セルジュの凍り付いた表情が、儚くも打ち砕け散る音が聴こえた様な気がするとは、後のザザの手記からも確認できたのであった。
次回はアジュール王子こと、イーリャと作者(オイッ!)に名前を忘れられた奴の話でも………と、予定して居ります。
あくまでも予定ですので、違かったらお察し下さい。何も浮かばなかったんだな……と。




