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メビウスリング  作者: さいてす
第二章 運命の輪の中で
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シトラス

 おもちゃや本棚、机が配置された広い部屋で、10人程の子供が集まって何かを見ている。年齢は様々、幼いものは10歳にも満たない様子で、一番大きな二人は高校生くらいだろうか。皆一様にワンピース型の白い服を着せられている。輪の中心では最年長の片側、ピンクの髪の少女が嬉しそうに何かを語っている。


「身体調査のレポートが置きっぱなしになってるの覗き見して、皆の誕生日がわかったんですよ!! ミナちゃんは4月生まれの10歳、私とヨミくんは18歳で同い年だって!!」


「年齢など知ったところで何の役にも立たんが」


「もう!! いつかここを抜け出すんだから、自分のことは知ってなきゃダメじゃないですか!! 本当はみんなの本名も知れたらよかったんですけど……」


 興奮気味だった少女は一転して落胆したような様子でつぶやく。それを聞いて一番背の低い白い髪の少女が服をちょいちょいと引っ張って声をかける。


「名前はいいの。 イオ姉とヨミ兄がつけてくれた名前が、私の本当の名前だよ」


 少女の健気な気遣いに、最年長のふたりはどこか申し訳なさそうな様子で苦笑いした。白い髪の少女が、その名前の由来が割と雑だということに気づいていないからだろう。


「私、ここから出られたら、がっこうっていうのに行ってみたい。 子供はみんなそこに行くんだって本に書いてあった」


「ミナ……。 任せておけ。 俺たちが必ずお前に、いや、他のみんなにも普通の子供としての生き方をさせてやるから……」


 少女の頭を撫でながら優しく微笑む青年を、ピンクの髪の少女は優しい眼差しで見ていた。



 薄暗い地下研究室の中、呆然と昔のことを思い出していたヨミは、我に返ってはっとしたように立ち上がる。既に勝負の大勢は決まっていた。凰児と翔馬がミセル、浪と閃人でイオの相手をしているようだが、こちらは凰児以外既にボロボロで満身創痍にも関わらず相手の二人は傷一つない。

 地上階であれば壁を崩すだけでいかようにも逃げ道はあったが、袋小路の地下室へと進むことにもっと危機感を持つべきであった。

 危機的状況の中、心を砕かれながらそれでも残った憎しみだけを原動力にして、全ての元凶へと鋭い視線を向ける。

 戦況を確認し、凰児がミセルの攻撃から翔馬をかばって弾き飛ばされたのを見ると、彼のみが範囲外となるように強大な重力をかけた。

 ヨミが戦意を喪失していると油断していた敵も、そして味方も完全に虚を突かれ身動きがとれなくなる。


「龍崎!! お前だけは動けるはずだ、そこから決めろっ!!」


「ヨミ……、わかった!! おそらく実験体の女は一撃じゃ落とせない。 狙うのは……」


 凰児はミセルの方へ狙いをつけると攻撃モードへと転じる。かろうじて動くことのできるイオがかばおうと行動を起こすが、まともに行っても間に合いそうにはない。凰児が放った熱光線との間に泥人形を生み出し盾とするも、わずかに威力を殺すにとどまり突破された。

 イオの作った一瞬の隙に光の盾を作り出して受け止めたミセルだったが、凰児の残り魔力のほとんどを乗せた一撃には耐え切れず、盾を突破した熱光線にそのまま全身を貫かれた。

 膝をつき息を荒くしたミセルはしばらく動けそうにはない。一人をなんとか落とすことに成功するも、イオは動揺することなく人型の泥人形を作り出してヨミを弾き倒し、重力増加を止めさせた。

 すぐさま彼の方へと駆け寄り、泥で自分の身長ほどの棍棒を作り出して殴りかかる。イオの方が若干身体能力で優っているのか、ヨミがひるんだところにすかさず追撃を加え、腹に強烈な一撃が入る。やはり、ヨミの方はどうしても動きが悪い。

 しかしミセルが行動不能となり、イオがヨミと交戦している今、橘を守る者はいない。彼を拘束してしまえばイオの方も大人しくさせられる可能性も高いだろう。満身創痍だろうとホルダーでもない一研究員を拘束するなどたやすいこと、浪は痛む体に鞭打って橘へと突進していく。


「悪いがしばらく寝ててもらうぜっ!!」


 右手に電撃を集め自らに攻撃を加えようとする浪に、何故か橘は焦りも見せない。それどころか、少し離れてヨミと交戦中のイオも、特に焦った様子もなく少し視線を向けたのみだ。

 橘は浪が電撃を放つ刹那、ニヤリと微笑んだ。

 放たれた電撃は橘へ届くことはなく、彼の目の前で半透明な白い壁に阻まれて消えてしまった。慌てて距離をとり浪はミセルの方へ視線を向けるが、彼女が魔術を使った気配はない。

 橘は漏れ出る喜びの声が抑えきれなくなったように笑いだした。


「ふふふ、実戦で使うのは初めてだが、十分実用に耐えるものである様子で一安心だよ。 おや、そんな顔をして、僕がファクターを使えないと思っていたのかい? それならばこんな危険なところに来たりはしないさ」


 その発言から、既に自らの体に手を入れていたということだろうか?

 しかし、そんなはずはないとヨミが声を上げる。


「記憶を失うことなくファクターを得たというのか!? そんなことができるはず……」


「おやおや、大抵のホルダーは記憶をなくすこともなく自ら力を持っているじゃないか。 とはいえ、僕が自然発現した力で満足するはずもない、とわかっている君であれば動揺するのも仕方ない。 ここを切り抜けられたら教えてあげてもいいんだが……」


 立ち上がろうとするヨミを、イオは容赦なく棍棒のフルスイングで叩きのめす。うつぶせになって這いつくばる彼に、イオが見下すように棍棒を突きつけた。


「どうやらここまでのようだね、残念だ。 どうしようか、君もイオと同じように我々の計画に賛同してもらえるよう……、『説得』させてもらおうかな」


 説得などと言いつつも、彼がイオに何をしたか想像すればその言葉に含まれた意図は容易に察することができるだろう。ヨミは改めて湧き上がった怒りに奥歯を噛む。

 しかし、凰児もイオ一人であればほかの皆に任せても希望があるだろうと力を使い果たす程の一撃を放ったわけであり、橘も何かしらのファクターを持ち戦闘に加わるとなると状況は違う。

 未だ動けないほどのダメージを負ったものはいないが、少なくとも梨華より強いであろう敵に加えてもうひとり相手取る状況では打開策も出ない。ヨミがまともならばやりようもあるだろうが。

 必死に四人が策を考える中、イオはヨミのそばに立ち監視したまま、泥人形を作り出して凰児と浪の方へとけしかけた。流石に人形相手に劣る彼らではないが、今の体力ではそうもいかない。

 あっという間に制圧され地面へと倒れこむ。舌を鳴らし、魔力を使い果たし一般人同然の凰児の方へ駆け出す閃人と翔馬を、二体の泥人形が腕を鞭のように伸ばしてそれぞれ弾き飛ばした。

 浪は傷が痛む程度であるようだが、凰児の方は何か別の要因で苦しんでいる様子が見られ、脂汗を浮かべている。

 ここまでか。万策尽きた彼らにイオが泥人形を動かし止めを刺そうとしたそのとき、入り口階段に立つ橘の横をすり抜けて黒い何かが泥人形へと突進していき二体ともに砕いた。


「増援? このタイミングで……」


「この魔術はっ!?」


 黒い塊が部屋の中央あたりでなにか形をとり始めるのを注視しながら、イオがつぶやいた。倒れたままの浪は、その正体に既に気づいている様子だ。泥人形を破壊したそれは、次第に人の形をとっていく。

 その顔を見て、翔馬が少し希望を取り戻したような声で名を叫んだ。


「三宮さん!! どうしてここに!?」


「京都支部の方に行っていたんだが、栄一に『厄介なことになりそうだから戻ってこい』と言われてね。 詳しい話を聞いて直接ここへ向かってきたのさ。 危機一髪ってところだったようだね」


 騒動の後、SEMM支部長の補佐として愛知支部所属となった男、三宮秀。かつて最強のアニマを倒した者たちの一人。

 イオと渡り合える程の人物の出現で、状況は一瞬にして変わった。

 愛知支部の三人の反応を見て、敵側も増援に現れた人物がどの程度のものなのかを一瞬で察したのだろう。

 状況をあらかた把握した三宮が橘の方へ視線を向けるとイオは先程と違い、焦ったような表情でヨミを捨て置いて主の方へと向かった。満身創痍の浪と、三宮との評価の違いが見て取れる。

 しかしイオが離れるや否や、すかさずヨミは彼女に向かってGをかける。足を止められたイオは間に合わず、魔力の槍へと体を変化させた三宮が橘へとその刃を向けるが、橘は目の前へと魔力を放出するようにして迎え撃ち、三宮は一旦引いて距離を取った。放たれた魔力派は白い半透明で、相変わらず属性などがつかめない。

 イオは振り返り、膝を立てて中腰状態のヨミの足元から泥の塊を打ち上げてひるませると、橘のとなりまで駆けていった。


「流動化のファクターか、これは厄介そうだ。 どうだろう、ここはお互い引いておくのがベターじゃないだろうか?」


「案外素直に引くんだね? 私は構わないがいいのかい? ここで私たちをみすみす逃せば、SEMMの追求は逃れられない」


「そういうことなら急いだほうがいい、僕にとってはあの会社も特に思い入れがあるわけでもないからねえ。 ミセル君、動けるかい」


 三宮を煽るように返すと、なんとか立ち上がって合流したミセルとイオを連れて外へと引き返していく。


「君たちSEMMにも僕の研究の成果をぜひ見てもらいたい。 本社で待っているよ。 15より上の階には警備員がいないからね、夜中に来るといい」


 挑発的な笑みでそんな事を言うと、そのまま足を進め姿を消した。


 その後、依然様子のおかしい凰児をなんとか立たせ、三宮の運転してきた車と連なって意気消沈のまま支部へと帰還する。ボロボロの彼らの姿を見て、雪菜が心配そうに駆け寄ってきた。


「み、みんな大丈夫!?」


「どうやら戦闘になってしまったようですね……。 無事に返ってきてくれたのはなによりですが」


 そこまで言いかけて、乙部は凰児の異変に気づいた。


「これは……、外傷はほとんど無いように見えますが……」


「泥人形の呪いにかけられたようだな」


「呪い、ですか?」


 まだショックが冷めない様子でつぶやいたヨミに乙部が聞き返す。


「ニャルラトホテプ検体は自らの魔力により他人の魂を侵食する力を持つ。 魔力を使い果たし魔術に対する抵抗力をほとんど失った状態でイオの魔力に触れたせいだろう。 こうなるとイオ自身を倒さない限り……」


「ニャルラトホテプ検体といえば……。 なるほど、状況はだいたいわかりました。 動ける人たちで凰児くんを医務室へお願いします。 直ぐに対応策を練ります、話を聞かせてもらえますか?」



 ある程度の治療を受け、凰児を除く四人で乙部とともに執務室へと向かう。扉を開けると、そこには緋砂の姿があった。


「緋砂さん!! もう動いても大丈夫なんすか?」


「ああ、心配をかけたね。 支部長、例の会社について調べておいたよ」


 病み上がりだが、何か仕事を頼まれていたらしい緋砂の報告を聞いて乙部は小さく頷いた。

 とりあえず緋砂から詳細を聞く前に、浪たち五人から現地で起こったことの報告を受ける。


「橘彰……、姿を現すとは思いませんでしたが何かしらファクターを得ているのであれば納得ですね」


「本社に来いだのと煽っていたからね。 彼自身がシトラス製薬の幹部で、今回の件が会社ぐるみであることは間違いないだろう」


「そのことについてですが、会社を立て直した社長の名を改めて調べてみました。 棚原千晃たなばらちあきというそうですが、何かに気づきませんか?」


 突然の乙部の問いかけに皆ぽかんとしているが、三宮が直ぐにあることに気づく。


「アナグラムか……!!」


「穴蔵?」


 訳のわからないといった様子でとんちんかんなことを言う翔馬に、乙部が説明をする。


「文や単語の文字を入れ替え、別の言葉にする一種の言葉遊びです。 たなばらちあき、を入れ替えるとどうなるでしょう」


 少し考えて、一足先に浪がその答えを察する。


「橘彰……!! って流石にそんなしょうもないことします?」


「……、やつならやりかねん。 そういったくだらん冗談は大好きだったからな」


 閃いたように言ったあと、呆れたように疑問を口にした浪に、ヨミが同じように呆れたような口ぶりで答える。


「まあシトラス、の時点でなんとなく察してはいましたがね。 わからない方は英語辞典を引いてみましょう」


「なるほどNa、あと気になることといえば『ハートレス』ぐらいか」


「その名前はどこかで……」


「話の流れからして例のファクター封じのホルダーの名前だろうNa。 本名かどうかは分からないが」


 少し考え、乙部が続ける。


「金をもらって戦場を渡り歩いていた傭兵に、そんな二つ名を持つ者がいたという話があります。 戦場において一切の傷を受けたことがない、故に傷無し、ハートレスと呼ばれていると」


「戦闘のプロ、って事か……。 厄介な相手だぜ」


「奪還作戦については後ほど揃ってから詳細を決めるとして……、とりあえず次は緋砂さんから報告を聞きましょうか」


 とりあえず乙部が話をまとめ、緋砂に依頼していた内容の詳細について報告させる。


「シトラス製薬についてだが、本社の16階以上には一般社員が一切立ち入ることができないそうだ。 専用エレベーターはパスがないと動かず、セキュリティもやけに固いらしい。 間違いなく何かあるね」


「橘自身の発言ともつじつまが合う。 おそらく間違いないね」


 三宮の言葉に頷き、緋砂は更に続けた。


「第二研究室が入ってるのがその本社16階以上って情報もある。 逆に怪しいくらい真っ黒だよ」


「警察や関係に根回しして夜に決行、という流れになるかと思います。 動きがあったら他の皆さんも合わせて呼ぶのでそれまでは特に普段通り過ごしていただいて構いません。 皆さんとしては一刻も早くシロちゃんを助けに向かいたいでしょうがすみません……、流石に何もせずいきなり突撃するわけにも行きませんからね」


 乙部の気遣いの言葉に、浪と翔馬は首を振って返す。


「師匠のせいでもないし気にしないでください。 ストレス溜まってる分はあいつらに思いっきりぶつけるんで」


「SEMMを空けることになるけどそこは大丈夫なのか?」


 翔馬の問いに、乙部は頷いて答える。


「秀さんに残っていてもらえればそれでなんとかなるでしょう。 そこの心配はいりません」


「すまないね、また危険な役目を君たちに押し付けるようになってしまう」


 申し訳なさそうな三宮に、翔馬と浪は気にするなと言わんばかりに首を振った。


「では、私は早速各方面へ連絡を取ります。 何かあったら秀さんか緋砂さんまでお願いしますね」


 他のものたちにそう伝えると、乙部書類を探り関係各所への連絡を取る準備を始めた。一同とりあえず表に出ると、ヨミが沈んだトーンで声を出した。


「俺は少し……、頭を冷やしてくる。 作戦開始までにはまた来るから放っておいてくれ」


 それだけ言って去る彼を引き止めることなど、誰にも出来はしなかった。

 沈んだ空気の中、閃人がとある提案をする。


「とりあえずできることもないし、凰児の様子を見に行かねーかい?」


「そうだな、頑丈がとりえのあいつだし、心配いらないとは思うけど……」


 そんな事を言って閃人に同意し医務室まで向かうことにしたが、凰児の状態は彼らが思っていたよりも良くないものだった。

 医務室の担当女性治療師がおずおずと説明をする。


「外傷もなく治癒魔術も効果が見えなくて……、魔術抵抗を上げる術で少し楽になるようで今は眠っていますが、とても戦場にだせる状態では……」


 説明を受けた翔馬が礼を言うと、治療師は申し訳なさげに部屋の奥へと戻っていった。


「俺のためについてきてくれたのに、ごめんな……」


 今は落ち着いて静かに寝息を立てながら、たまに苦しそうな声を上げる凰児を見て、翔馬がポツリとこぼした。

 二人が声を掛けるのをためらっている間に、翔馬は続いて閃人へと謝罪の言葉をかける。


「北上も悪いな、命令から外れたことにわざわざ付きあわせといてこんなザマで」


「俺がついてくって言ったんだ、文句なんかねえさ」


「明日には帰るんだろ? 作戦決行がまだだったら駅まで送っていくよ」


 翔馬の言葉に、閃人は少し考え込んだ後に真剣な顔でつぶやく。


「何言ってんのヨ。 乗りかかった船だ、最後まで付き合うZe」


「でもお前帰還命令が……」


「獅童のおっさんにはいつもこき使われてんだ、たまには自分で仕事させないとNa」


「あはは……、悪いな。 ありがとう、頼りにしてるよ」


 翔馬は閃人の言葉に素直に礼を言った。


 同日、まもなく日が変わる頃。支部の裏手をしばらく行った線路近くの空き地で、ブロックの上に腰を下ろしたままヨミは月明かりを浴び空を見上げながらぼうっとしていた。


「イオは……、あの様子では今は貴重な戦力としてまっとうな扱いを受けているのだろうな。 ならば俺がなにかをする意味があるのか? ……、記憶にも残っていないというのに」


 ため息をつき、煮え切らない態度で一人愚痴を続ける。どうするつもりかなど、もう決めているというのに。


「フタバも俺のことなど忘れているかもしれん。 正直、あの後無事逃げ切れたのかも……。 俺は何のために戦えばいい……? 何が残っているんだ?」


 そこまで言って、しばらく黙り込んだ後呆れたように息を吐いた。


「などといっても、結局やるしかないだろう。 SEMMの連中いわく、ミナはいざこざはあれど、普通の子供のように奴らと学校に通い日々を過ごしていた。 あの日の約束を、今果たす。 ミナが手に入れた日常を、普通の子供としての生活を……、取り戻す。 俺のことを忘れていようと、そんなものは関係ない……!!」


 イオと戦うことに抵抗がないといえば嘘になる。しかしそれよりも重要な責務、いや、妹に誓った約束を果たすため、覚悟を宿した瞳で立ち上がった。


 翌日、昼前に乙部に呼ばれた面々がSEMM愛知支部の玄関口ホールへと集まった。要件などわかりきっている。

 ホールの奥、カウンター横の柱にもたれかかっている黒ずくめの男が見えた。昨日まで弱々しく覇気がなかった男は、どこか吹っ切れたように、前と変わらぬぶっきらぼうな態度で皆に声をかけた。


「遅いぞ貴様ら。 さっさと行くぞ」


「少しはまともになったみてーだな、安心したよ」


 ふん、と鼻を鳴らし先にすたすたとエレベーター方面へ歩いていくヨミの後ろ姿に、ともに研究室へ向かった三人は呆れたような安心したような顔で笑った。


 次回は作戦をざっくり説明して奪還戦です。

 今までアンリやメジェドなど中ボス的立ち位置の相手は何人かいましたが、今回の橘戦は割と重要な戦いというか、変化がある予定です。


 では、ありがとうございました。


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