7.動画のコメントと評価を稼ぎました
翌日。
ムロは昼休みに、空き教室で昨日投稿した動画を確認する。
「再生数は、今の所2320回か。まだまだインプレッション(※)が回っているから、出だしの数字としては最高なんだけど、ここで停滞する可能性もある。手を打とう」
【※インプレッション=ユーザーにおススメ動画や関連動画など、として表示されること】
ムロはスマホを操作し、その動画のコメント欄に文字を打ち込む。
『ご視聴ありがとうございます! よろしければ皆さんが最近作った料理をコメントで教えてくれると嬉しいです!』
動画とは直接関係のないコメントだ。
ムロが視聴者の料理を知りたい訳でもない。
では、なぜ打ち込んだのか?
それはコメント数を増やす為だ。
「コメントを増やすことによって、この動画はアクションが多い盛り上がっている動画だと、ダンチューブ管理AIに錯覚させる。本当は動画内容には、あまり関係ない質問なんだけどね」
炎上商法は今の時代、消される可能性もありが、こういった無難なコメントを募集するのであればその心配もない。
「更に追加のコメントだ」
『このステーキを美味しそうと感じた方は、グッドボタンで教えてくれると嬉しいです!』
正式には高評価ボタンだが、「評価」という言葉は深く考えてしまう可能性を考え、あえて使わない。
そして、「こう思ったら押してください!」と書くことにより、迷うこともさせない。
例えば、「良かったと思ったらグッドボタンを押してください!」であれば、「良かったって言われても、何を基準にするかで変わるからなぁ……だったら評価しなくていいか」
のようにさせてしまう危険性がある。
だから、こちらで「どのような時にボタンを押せばいいのか?」を示すのである。
「美味しそう」という理由であれば、多くの人は押しやすいハズだ。
「これで完璧だ! 後は切り抜きをショート動画で出して、拡散力を高める。ショート動画を出す時間はあえて、平日昼間にする」
今は昼休みだが、投稿時間はもう少しズラす。
「ショート動画は、出した瞬間にショートフィードに載ることが多い。それなら、出す時間はズバリ14時だ」
今回の切り抜きショート動画は、ギラの戦闘場面を投稿する。
ダンジョンで生計を立てている人は、時間が自由な人が多いので、その人たちに向けた動画だ。
「ガチな人なら、これが生成AIじゃないって分かってもくれそうだしね。後、料理動画は22時にアップロードしよう。本当は19時くらいに投稿したいんだけど、その時間はライバルが多くてショートフィードに載らない可能性もある」
本来であれば、19時頃のお腹が空いた視聴者に見せたいが、グッと我慢した。
「よし! これで予約投稿完了!」
その後は空き教室から出て、午後の授業が始まる前に教室へと戻った。
◇
帰宅後、ノートパソコンを開き動画を確認すると、
「7850再生だ! これなら1万再生ももうすぐだ!
チャンネル登録者数は、現時点で40人か。
この再生数なら、かなり増えた方だね」
大バズリして、一気に登録者数万人になったらもっと嬉しかったが、仕方がない。
「昔だったら、もっと登録者が増えていたかもしれないけどね」
やはり、ダンチューブ管理AIが賢くなって登録するメリットがあまりなくなってしまったのは、大きい。
それにサイト上には活動する人の数だけ、チャンネルがある。
これだけ大量だと、あまり見ないチャンネルは登録するか迷ってしまうというものだ。
「とりあえず、最初の動画としては中々良かった。次の作戦に大事なのは「ギラという個人を好きになってもらう」、「ショート動画でのホーム画面ハック」辺りかな」
現代において、チャンネル登録をする一番の動機は、「このチャンネルを応援したい」というものだろう。
役に立ったからといって、登録するとは限らない。
だからこそ、出演者であるギラの凄さをアピールして応援して貰うという形で登録に繋げよう。
後はホーム画面のハックだ。
ダンチューブは一度見た動画が履歴に残っていると、その投稿主の他の動画がホーム画面に出現することがある。
ショート動画は通常の動画と比べて、チャンネル登録はされにくいが、再生数は物凄く稼げる。
そのショートで登録されなくても、今後ホーム画面に別な動画が出現してくれれば、その時に登録してくれる可能性もあるという訳だ。
「よし! これがあればチャンネル登録者100人は今月中に達成できるかもしれない!」
早速次の動画の企画を考えることにした。
しばらく考えた結果、出したのは。
「高難易度ダンジョン攻略動画! これにしよう!」




