15.結界魔法ですか
この前紹介したチャンネルが新しく動画を出しているということを、ラインメッセージで送った。
(ちなみにラインは、昨日ナナミと再開してから始めた)
この前の動画みたいに紹介してくれるといいのだが。
「お! メッセージ来た! なになに?」
帰って来たメッセージは、動画のことでは無かった。
『配信終わったんですけど、さっきからDM止まらないんですけど!』
(DM?)
DMとは?
ムロはスマホで検索をかけると、すぐに理解する。
「ダイレクトメッセージのことか」
ダンチューブ以外のSNSをやっていない為、すっかり忘れていた。
『ツイッタの急上昇ワードに私の名前も載ってますし、どうしたらいいんでしょうか!? 特定したと言ってくる人もいます!』
焦っている様子だが、「!」や「!?」で感情表現ができているので、思ったよりも余裕はありそうだ。
『落ち着いてください。顔出ししてて登録者1万なので、絶対どこかで既に漏れてますよ。今更心配する必要はないです』
あれだけ短期間に登録者を増やしたのだ。
知り合いにバレていないハズがない。
『確かに友達にはバレてます』
『なら、心配はいりませんよ。人気になるってことは、そういう危険もあるんです』
だが、これでナナミの身に何かあったら、後味が悪くなりそうだ。
『後ろに結界使いがいるということを、アピールしてみてはいかがでしょうか?』
ムロは、なぜか結界魔法の使い手だとナナミのリスナーには思われている。
この前の事件の配信アーカイブを見てみたら、どうやら有識者数名が結界魔法使いだと解説したらしい。
しかし、その有識者の意見は全くの見当違いである。
ムロは結界魔法など使えない。
この前は、スキルによってダメージをギラに押し付けていただけだ。
結果的に、ギラはノーダメージだったので、実質的には完全防御スキルだったとも言えるのかもしれないが。
ともあれ、ダンジョンについてはまだまだ謎が多い。
こういった勘違いをしている有識者も、ムロが知らないだけで意外と多いのかもしれない。
『後ろに結界魔法使いがいることをアピールするって、どういうこと?』
『この前、私はなぜか結界魔法使いだと誤解されています。
そして、かなりの実力の冒険者とも思われています。
そんな人とコネクションを持ったと知れば、手を出すことをためらう人がほとんどでしょう』
『え? この前私の助ける為に使ったのは、結界魔法じゃないんですか?』
『詳しいことは言えませんが、違います』
『流石です! もっと高度なことをしているんですね!』
『ノーコメントとしておきます』
下手なことを言って口を滑らせるのも良くないので、この話題は一旦ここで終わりだ。
『話を戻しますと、この前の動画の人物……まぁ私のことなんですけど。私と関係が深いということをアピールしましょう』
『どうやってですか?』
『私を動画に出すんです。私がテキストで答える形で、自己紹介動画を出します』
『姿は出さないってことですか?』
『はい。私はなんというか……役者タイプではないんですよ。監督とかそっち系なんです』
『なるほど。プロフェッショナルなんですね! でも、テキストだけなら自演できてしまうので、それやるなら配信がいいかと思います。どうでしょうか?』
(それ私も思ってたけど、言わなかった。だって、配信ってなんか私のイメージじゃないんだよね)
しかし、テキストだけならいいかと思い、条件を飲むことにした。
『いいでしょう。しかし、私はあくまでも裏から文章を打つだけなので、あまり期待はしないでください』
『いいの!? ありがとう!』
こうして、他人のチャンネルにおいて初配信が決まった。




