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不老不死のラスボスに転生してしまったことに最終局面で気がついたから、取り敢えず主要キャラたちの寿命を待つことにした話  作者: シャルねる


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第3話

 俺の家を中心に村を作ることを許してから、300年が経った。

 当然、あの時俺に村を開拓する許可を取りに来た生物たちはもうとっくの前に死んでいる。


「スルト様! 今月の税を持って参りました!」


 随分と村として開拓されたものだなぁ、と呑気にさっき入れたばかりのコーヒーを飲みながら窓から外を眺めていると、家の外から俺が今ここで名乗っている名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 そう。あの時の約束通り、俺は毎月ちゃんと税を納めて貰っていた。


「はいはい」


 座っていた椅子から立ち上がり、扉を開ける。


「スルト様! どうぞこちらを!」


「あぁ、いつもありがとう」


 村の税だというだけあり、貰うものはお金ではなく、昔俺が連れてきてやった家畜から取れた肉や、俺が魔術を施して作ってやった畑で取れた作物だ。


「い、いえ! こちらこそ、ありがとうございます! それでは、私はこれで!」


 税を持ってきてくれた者が帰っていく背中を見送りながら、何となく辺りも見渡す。

 最初は俺の家がポツンと建っているだけだったというのに……随分と家が増えたな。

 最近は商人もちょくちょくと足を運んできてるみたいだし、300年前からは想像も出来ないほどに変わったなぁ。 

 たまに喧嘩をする村人は現れるものの、概ねここでの暮らしは平和でいいね。

 狩りに行ってもいいが……今日はもう一眠りしようかな。


─────────────────────


 そして、更に500年が経ち、俺が主人公から逃げた日から800年が経った。

 そろそろ狩りも飽きてきた頃だが……村の成長を見るのは案外面白く、退屈はしていなかった。

 

「ふわぁあ」


 欠伸をしながら、思う。

 今更だが、主人公の仲間だったエルフももう死んでるだろうなぁ、と。

 

 そこで扉がノックされた。

 村の奴らじゃなさそうだな。

 そもそも、村の住人が俺の家に来るのは基本的に税を納めに来る時だけだしな。

 これは別に俺が嫌われている訳じゃなく、シンプルに俺があんまり深く関わらないようにするためにそうさせてるんだよ。

 ……仲良くなったら、そいつが死ぬ時に辛いだろ。

 ……まぁ、最悪そいつも不老化させるという手があるにはあるんだが……受け入れてくれるかどうか分からないしな。


「ふっ」


 一昔前の俺なら、こんなこと、絶対なかったんだがな。

 

「はいはい」


 そんなことを思いつつ、家の扉を開けた。


「初めまして、私はルーキー商会のロロと申します。あなたが賢者スルト様でよろしいでしょうか?」


 賢者……? 賢者ってなんだ……?

 俺はどっちかっていうと大魔王とかであって……賢者とは似ても似つかない存在だと思うんだが?


「スルトは確かに俺の名前ですが……」


「おぉ! でしたら、賢者様で間違いありませぬ」


「……」


 間違いないのか。

 俺は一体いつから賢者なんてものになってたんだ。


「まずはつまらないものですが、こちらをどうぞ」


 この世界にも「つまらないものですが」って言い回しがあったんだな。

 そう思いつつ、俺は差し出された菓子折を受け取った。断る理由もないしな。


「賢者様はあまり言葉を着飾られるのはお好きでないお様子なので、早速本題に入らせて頂こうと思うのですが……構わないでしょうか?」


「大丈夫ですよ」


「では、本日こうして賢者様の家を訪問させていただいた理由をお話させていただきます」


 そうして、玄関前で商人の話を聞いた結果……まぁ、その内容を要約すると、こいつの商会であるルーキー商会の支部店をこの村に建てさせて欲しいというものだった。


 まぁ、少なくともこいつから悪い感情は感じないし、俺はいいんじゃないか? と思う。

 ルーキー商会っていう設立されたばかりっぽい名前なことだけは気になるけど……まぁいいだろう。

 悪感情が無い以上、村の発展に繋がるはずだ。

 一応、その商会が村に建ったら、そこを任される人間を調べてやることくらいのことはしてやろうと思ってるし、村にとってもマイナスな結果になることは無いはずだ。許可を出してやろう……とは思っているが、これだけは聞いておかないとな。


「何故、こんな辺境の地にある村に支部店を建てたいと思ったのでしょうか?」


「それはもちろん、賢者様が居るからです。正直に申しますと、いくら辺境の村にしては発展しているとはいえ、賢者様の存在が無ければ、商会長もこの村に支部店を置こうとは思わなかったでしょう」


 ふむ。

 嘘では無い、な。

 ここで変に嘘を付かれてたら話が変わったかもしれないが、正直に話してくれるのなら、やっぱり許可を出しても大丈夫そうだな。


「分かりました。俺は許可を出しますよ。後は村の人……村長と話し合ってください」


「は、はい! ありがとうございます!」


 ? 急に感情を表に出してきたな。別にいいけど。

 それより、いくら俺から許可を取れたとはいえ、村長が許可を出すかは別の話なんだが……上手くやる自信があるのかね。

 まぁいいや。

 俺は最近ハマっている料理の研究でもさせてもらおうかね。

 最近は税として昔に比べて色んな物が渡されるから、料理をするのが楽しいんだよ。

 ……たまにダークマターが出来ちゃうけど……まぁ、それもまた一興ってやつだよ。

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