33話
地下91階、ここまで来ても外観は変わらず、道幅はついに20m近くまで広くなった。体育館くらいの幅がある。そんな階の魔物はこいつだ。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ストーンキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼
・再生魔法:身体を欠損した際、魔力を消費して欠損部位を再生させる。
・心眼:戦闘の際、敵の攻撃を先に読む事が出来る。Level差によって効果は変化する。
キマイラと言われて想像するのは合成動物だろう。その点に関して言えば、このキマイラも相違はない。ただ、普通はライオンとヤギの頭とか尻尾が蛇とかがセオリーだと思うんだ。
こいつはなんだろうな??先ず、顔がどこなのか良く分からない。そして圧倒的岩感に感じる違和感。大きさは全長3m程でマンモスの後だけあって矢鱈と小さく見える。
このLevelの魔物には高威圧と怪力は常時装備なのかも知れないな。それにどっかのゴーレムが持ってた頑強。後は再生魔法と心眼か。恐らく再生魔法はあっても無くても変わらんだろう。どうせ一撃で沈めるのだ。
問題は心眼。[魔穿]や[撃魔貫穿]の威力は申し分無いので当たれば勝ちなのだ。ただどっかの鳥みたいに避けられてしまってはどれだけの威力が込められていようが関係ないのだ。そう言う面で行くと攻撃を見切られる可能性がある心眼の能力は天敵とも言える能力だろう。
「まぁ、当たれば問題無いのだ。試しにやってみよう」
武器は[撃魔貫穿]をそのまま使っている。どうせ後10階だしね。温存しても宝の持ち腐れってもんだろう。
シュンッッ!ズヴァンッ!!
・ストーンキマイラの魔石
うん。問題無かったな。全然気付いてる様子無かったけど、恐らくはストーンキマイラが俺を認識出来ず戦闘状態に無かった事が心眼が発動してなかった理由だろう。これなら全く問題なさそうだ。
結局、この階は20時間でクリア出来た。フロア広がって行く中ここまでタイムを縮められたのはLevelの上昇とモンスタートレイン作戦が使えたからだろう。
取り敢えず階段まで最短距離で走りながらストーンキマイラを無視し続けた結果、階段に辿り着いた時に溜まっていたキマイラは約6000体。大体10秒に1体くらいの確率で遭遇していた。
20mの道に3mの個体がズラーーーーーと並んで突っ込んでくる様子はまさに圧巻の一言。
普通は圧倒的物量に潰されてエンドだろうが、[撃魔貫穿]は一発で300の弾を放つ化物ショットガンだ。しかもストーンキマイラはその内1弾でも当たれば即死。一瞬で魔石に変わり、とんでもなく密集していた為に無駄撃ちになる弾も無く、結果的には20発程度を等間隔に撃って終わった。
魔石の回収が若干面倒だったが、それでも5分程度で回収できた。
地下92階、93階、94階、95階。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ブロンズキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:アイアンキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:シルバーキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼
地下91階と全く同じ作戦で難なくクリアし、タイムは21時間、22時間、23時間、24時間だった。
地下96階、97階、98階、99階。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ウォーターキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼、水魔法
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ファイアキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼、火魔法
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ウィンドキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼、風魔法
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:サンダーキマイラ
・Level:4
・能力:高威圧、怪力、再生魔法、頑強、心眼、雷魔法
能力は基本変わらず、其々の属性魔法が付いている。ウォーターキマイラ辺りから漸くキマイラの姿形がしっかりと見えて来て、結局の所良く聞く獅子と山羊の頭に尻尾はちゃんと蛇だった。
クリアタイムは25時間、26時間、27時間、28時間と1時間ずつ掛かる時間が増えているがそこまでの違いは感じないレベルだった。
そして、地下100階。
第6ダンジョン、最下層はボス部屋のみ。
入り組んだ迷路は無く、大きなドーム型の部屋に佇む1つの存在。
・名前:シックス
・年齢:1000
・種族:ダンジョンマスター
・Level:10
・能力:なし
Level10。
果たしてこのダンジョンを作った神とやらは攻略をさせる気が無いんだろうか??Level差が1つあるだけでも目が合うだけで死を確信出来る程の差があるのだ。
今の俺はLevel4。このボスとは倍以上のLevel差がある。だがその力の差は倍なんてものじゃない。俺が1万人集まろうと万に1つも勝てないだろう。Level差2つくらいならなんとかなると思っていたが、これは無理だろう。
「帰るか・・・」
ここまで来てこのダンジョンは攻略出来ないなんてのは非常に悔しいが。悔しいと感じるのも命あってこそのモノだ。死んでしまっては全ては意味を成さない。
このダンジョンの攻略を諦め、エスケープで帰ろうとしたその時、
「エスケ
(帰っちゃうの??ダメだよ。)
「・・・・」
心臓を鷲掴みにされた気分だった。
お読みいただきありがとうございます。




