20話
今日は1月25日、木曜日。
俺は今日も放課後に屋上へと呼び出されていた。
「ぁ、あの!安藤先輩!この手紙、一生懸命書きました!もし、良かったら読んで下さい!失礼します!」
無言で手紙を受け取る。内容は恋文と言うやつだ。因みに今週7枚目だ。
「ヒューヒュー、たっくん最近モテモテだね〜」
「みんな急にどうしたんだろうな?」
正直言って、俺は別にイケメンではない。不細工でもないとは思っているが、良くも悪くも身長が少し高い普通の男だ。そんな俺が1週間の内に同級生と後輩から合計10回も告白されるなんて、これがモテ期と言う奴だろうか??
「でもさ〜、たっくん最近カッコ良くなったばぃ///」
「んな事あるか。急に顔が変わって溜まるかよ。整形疑われて迷惑だっつうの。整形する金なんかねぇのにさ」
俺はまだDTであり、今まで女性と付き合った事など勿論無い。そんな暇があればバスケやってたからな。これは別に言い訳じゃないぞ。事実だからな!
「そだね〜たっくんはたっくんだよ〜。さっきの後輩ちゃんの返事はどうすると〜??」
「悪いが断るさ。この忙しい時に付き合った所で相手を思い遣る時間もないからな」
「相手の事も考えてるんやね〜」
「せっかく勇気出して告白してくれてるんだから、向き合うのが筋だろ」
うるさぃ。一々カッコ良んだょ。「バカ」
「ん?なんか言った??」
「なんでもないよ〜、じゃ帰ろ〜たっくん」
「そうだな、帰るか」
ぇへへ、ウチこの時間好き〜。
◇◇◇◇◇◇
私の名前は神崎 美穂、今日遂にあの安藤先輩にラブレターを渡してしまった。
安藤先輩の事を初めて知ったのは私が中学1年、安藤先輩が中学2年の時でした。その時はクラスマッチが行われていて、競技はバスケットボールでした。
今でも忘れられません。安藤先輩の放ったシュートが綺麗なループを描いてゴールへと吸い込まれて行く瞬間を。
しかも!あの時の安藤先輩はシュートを放った後、ボールを見らずに振り返ったのです!まるでゴールに入る事が分かっていたかのように!
それから私はすっかり安藤先輩のファンです。私は運動が苦手なので部活動はしていませんが、バスケ部の試合をこっそり見に行っていました。バスケ部には私の友達の御代ちゃんも所属してるのでバレてしまっては恥ずかしいから変装までしてました、テヘッ笑
そして告白する3日前、廊下を歩く安藤先輩
を見た瞬間、胸がとてもとても熱くなりました!!今までもカッコ良かったけど、なんだかアイドル見たいです。変わらないはずなのになんだかキラキラして見えるんです!
それから私は安藤先輩が最近になって女性から沢山の告白を受けている事を知り、居ても立っても居られなくなり、ラブレターを渡してしまっていました///
はぁ、あれで良かったのでしょうか?
突然過ぎたでしょうか?
嫌われないでしょうか?
ラブレターを渡したのは先程の事なのにもうずっと、ずぅっと待ってる気分です。今日は眠れないです。
◇◇◇◇◇◇
中学生の恋心は凄くデリケートです。最大限の敬意を持って返事をするべきでしょう。
ふぅむ。成る程。
俺は初めて告白を受けた月曜日の夜に強制閲覧で『思春期の恋心』と言う本を閲覧していた。
今時の本はすげぇな。血液型でそんな所まで分かんのかよ!
次の日に本の参考に従って紳士的に返事をしたら相手の女子が泣いてしまったのだ。
何か悪い事をしたのだろうか??
俺はただ、
「俺なんかに告白してくれてありがとう。バリ嬉しっちゃけど、俺いま進路とかで大事な時期でさちゃんと麗奈さんと向き合う事出来ない。ごめん。でもさ、麗奈さんは可愛いからちゃんと向き合ってくれる人見つけて幸せなってよ、ね」
こう言ったのだ。本には相手を褒めてちゃんと断れば大丈夫て書いてあったよーー!!嘘なの??嘘だったんですかっ!?
「あの、麗奈さん?俺酷い事言っちゃった?もし、傷つけたならごめん!」
「ヒグッ。ウッ、ぃや、ウッ違くて。安藤先輩がぁ、アタシの事ちゃんと考えてくれての、嬉しくてっ、ヒグッ」
俺が悪い訳じゃないって事でいいのか??本は間違ってなかった??
「ぁ、ぁの、ありがとうございました!これからも大好きですっ!!」
「ぇっ、あっ」
走り去ってしまった。なんかこれからも好きとか聞こえたが気のせいか??俺ちゃんと断ったよな??
◇◇◇◇◇
金曜日。
学校に来てみると、なんかやたらと視線を感じる。
「栞っ!ほら安藤君!最近マジヤバいよぉ」
「ぇっ、何あのイケメンっ。どっから沸いてきたのっ!?」
「ね、美沙、安藤先輩って人に告ったら振られるけど堕ちるらしいよ」
「は?何それ?振られて好きになんの?頭オカシイんじゃね?」
「でもさ〜、告った奴ら全員振られてんのにやたらと幸せそうな顔してんだよ」
「そんな気になるなら咲、告ってみればいいじゃん」
「無理だよ」
「なんだよ、恥ずかしいのか?なぁ?」
「違うよ。順番待ちなんだとさ」
「は?告るのに順番待ってんのか??」
「そうらしいよ〜、なんかファンクラブ出来てるらしくてさ、今100番くらいまで順番待ちなんだと」
「マジかょ。ぶっ飛んでんなぁ」
「でもさ、ここまで来ると面くらい気にならね?」
「ウチの学校にそんな言うほどのイケメン居なかった筈だけど、てか咲は顔知らねぇの??」
「うん、知らなーい」
「てっきり知ってんのかと思ってたし」
「最近の学校一の噂だからな、それに偶々耳に入っただけ」
「なぁんだ、つまんね」
「なんか最近視線を感じるんだよな」
「だって〜、女の子逹がたっくんの事見てるもん」
「へぇ〜、こんなフツメン見て何が楽しんだか」
「ね〜、なんで楽しんだろうね〜」
「知るかよ、今日も屋上呼び出しくらってるけど、舞はどうする?」
「勿論、いくさ〜」
「じゃ行こうか。健太、また来週な!」
「おう!またな!」
「ケンちゃんまたね〜」
・・・・・・
屋上には既に彼女が待っていた。
「ぉ、もう来てるわ」
「いってら〜」
ゴドンッ。変な音のする屋上のドア。
「ごめん、待ったかな?」
「ぁ、ぃゃ、そ、そんな!大丈夫です!待ってないです!」
噛み噛みやなおい。
「そっか、ありがとう」
「ぃぇぃぇそんなこちらこそわざわざ来ていただいてありがとうございます!」
良く噛まなかったな笑
「それで、昨日の手紙の事なんだけど」
「ひゃいっ!」
次は噛むんだ笑
「ちゃんと読ませて貰った。俺の為に丁寧に書いてくれてありがとう」
「読んで下さってありがとうございます」
「告白の返事なんだけど、、」
「はぃ」
消え入りそうな声で目をギュッと瞑っている。
「俺は美穂さんと付き合う事は出来ない。ごめん。」
「はぃ。」
目に見えて肩が下がる。
「でも、告白は凄い嬉しかったし、美穂さん。いつもバスケの試合、応援しに来てくれてたよね?それも含めて本当にありがとう」
「ぇっ、なん、なんでそれを」
「知ってるかって??美穂さんの変装はバスケ部内では割と有名なんだよ、でもみんな感謝してたんだ。遠い所でも応援しに来てくれる守り神だってね」
「私は、ただ、安藤先輩のプレイが見たくて」
「ありがとう。もし、良かったらこれから宜しく」
「は、はぃ!宜しくお願いします!」
彼女は涙を瞳に貯め、笑顔で去って行った。
「いや〜、今回も見事だね〜たっくん」
「何が見事だよ、嫌味にしか聞こえねーよ」
「嫌味だ、バーカ!」
「うるせぇよ、バカ言ってねぇで帰るぞ」
「はいはーい」
お読みいただきありがとうございます。




