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episode3『Teaching of father』

スリートの葬式から一週間。

ユースティースは養成学校にも全く顔を出さず、部屋にこもってはレイが持ってくる飯を少し食べ、そして死んだように眠る一日を繰り返していた。

「ユース…」

「…………」

お互いに沈黙が続く。その時、

「………っ…」

「ちょ、ちょっとユース!?」

ふとユースが立ち上がった。

「……風当たってくる……」

「わ、私も……」

「大丈夫だよ……少し落ち着いてきたから…」

一週間ぶりに出た外は、前と何も変わらなかった。当然だ。たかが一人の人間が死ぬくらい、この国じゃ日常茶飯事。しかし、その事実さえもユースの心を締め付けた。

「オヤジは……誰かの役に立ってたのかな……」


☆☆☆


しばらく歩くと、いつもユースが一人の時に来るお気に入りの場所があった。

大きな木、小さなベンチ、そしてそれ以外は何もない。そんな空間がユースをいつも受け入れてくれていた。

しかし、

「……人…?」

どうやら先客がいたようだ。誰かがベンチで寝転がっている。

「……」

一人になりたくてここに来たのに、誰かがいては意味がない。また別なところをほっつき歩こうとおもい、その場を去ろうとするが、


「お……おーい……そこの少年……こっち来てくれ…」


後ろから声をかけられてしまった。

この場にはユースとベンチの男(声で女ではないことがわかった)しかいない。つまりユースが呼ばれたのだろう。

恐る恐る近づくユース。

昔、父親にこんな時の対処法を聞いたことがあった気がする。たしか……



『呼び止められた時には相手を良く見ろ。そして次に発せられる言葉を決して聞き逃すな。』



だっただろうか。

その男をよく見てみた。

身長は恐らく180cmくらい、顔は真っ青になってはいるが決して不細工ではない。

この状況から判断するに、恐らくなにか困ったことがあったのだろう。

声をかけた。

「……なんでしょうか」


「たのむ……飯を…飯をくれ…」


まさかこの嫌な気分の時に飯をたかられるとは思ってもいなかったユースであった。


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