停学中
1985年9月。私の家の前に人見がいた。
人見『・・・。』
ピンポーン
母『はい、白瀬です。』
人見『あ、あの・・・白瀬の同級生の・・・。』
母『人見くん?また来たの。うちの色葉は不良と付き合わせられません。』
人見『俺は白瀬が好きなんです。だから・・・。』
母『色葉に近づかないで。大切な娘なんだから。』
大切な娘なんだから・・・大切な娘なんだから・・・大切な・・・娘なんだから・・・
私『え・・・なんで・・・あんなことが起きたから・・・?』
人見『俺の隣に居ても・・・悪いことに巻き込まれるだけだと思うんだ。』
私『でも・・・まだまだ、これからなのに・・・。』
人見『あ、そうだ。これからだからだよ。今なら友達として良い関係を築ける。友達に戻ろう。』
高校2年生の秋、私は人見と別れた。円満だけど、公子に自慢したからどうしよう。
公子『あはは、もう、別れたんだ(笑)こっちは続いてるよ!!ぶいっ!!』
私『はあ・・・私の何がいけなかったんだろう。不良だから、私じゃ物足りなかったのかな。』
公子『デートもしてないんでしょ?騙されたんだよ(笑)』
私『ぐう・・・他人事だと思って・・・。』
キーンコーンカーンコーン
私『チャイム鳴ってるよ。』
公子『うん。停学休暇、楽しんでね。』
はあ・・・人見との不純異性交遊で2週間停学だ。おまけに相手の人見に振られたのだから、ため息がいつもより多めに出ちゃう。
このまま、家に帰ってもなあ・・・停学処分を受けたのは、私、人見、麻里、佐村の四人。うーん・・・”友達”の人見しか会えそうな人がいない・・・。
でも、悪友とつるんでそうだから、結局家に帰るか・・・。
ガチャ・・・
私『ただいま。』
母『お帰り、早かったわね。』
私『公子を送ったら、やることなくなっちゃった。・・・まだ、入院していれば良かったのに。』
電話が使えない・・・。
母『私が倒れたら収入ゼロなのよ。停学中なら、バイトでもしてくれると助かるんだけど。』
私『・・・最近、振られたから何もやる気が起きないの。ちょうどいい休暇だから、休ませて。』
母『振られた・・・?』
私『あーあ、これからも友達として付き合ってくれるらしいけど、力抜けるよね。』
母『いつ交際が始まってたの!!』
私『なによ・・・面倒くさいな・・・彼の部屋に泊まった朝に事件が起きたんだよ。』
母『ということは・・・もう、二人の男に・・・病院行くわよ。』
私『はあ?いいよ、どこにも不調はないし。』
私は自分の部屋に逃げた。面倒くさい話で口論になりそうだったから。避妊くらいしてるよ。むしろ、それがOKの合図なんだから。
麻里『ギターショップなんて初めて来た・・・何してんの?』
佐村『お前のを吟味してんだよ。』
麻里『れ・・・す・・・ぽーる・・・なんか、聞き覚えがある・・・これで、いいんじゃないの?』
佐村『値段見ろよ。初めてなのに、これはないだろ(笑)これでいい。』
佐村は安いギターを麻里に買った。が、麻里にギターを扱えるはずもなく・・・。
麻里『ぐぐぐ・・・。』
佐村『一音ずつでいい、もう一度。』
麻里『ドレミファ練習してどうすんの!!なんちゃらコードとか教えてよ!!ジャカジャカさせてよ!!』
佐村『すれば?』
ジャカジャカジャカジャカ
麻里『コードがわかんないから汚いジャカジャカしか出来ない!!』
佐村『だろ?さ、一音ずつ音を出せ。』
麻里『ど、れ、み・・・ふぁ・・・そ・・・らあ・・・。』
佐村『もう一度。しっかり押さえろ。』
麻里『ど・・・どお、れえ』
佐村『しっかり押さえろって。』
麻里『あー!!エレキギターを弾きたい!!』
佐村『弾けば?』
麻里『えーっと・・・これを・・・繋いで・・・あれ、穴がない・・・弾けない!!』
数日後、埃被ったギターは部屋の片隅に飾られた。
ぶくぶくぶく・・・ぱあ!!
私『明日は髪切ろうかな。でも、公子にいじられそうだな。』
人見『不良はダメか。短髪にしようかな。でも、今だけしか出来ないもんな。この髪。』
私『あれ、胸大きくなった?揉まれると大きくなるって本当だったんだ。』
人見『お・・・昨日より長くねえか?マッサージ効いてんだ。』
私『一人暮らししたいなあ。はやく、家を出て自由になりたいなあ。』
人見『一人暮らしも飽きたなあ。都会に出たら、すぐにいい女見つけるぞ。』
私『・・・っち。シャンプーが切れてる。美知ーっ!!シャンプー!!』
ガチャ
美知が洗面所でシャンプーを探し出した。
私『ある?』
美知『うーん・・・ないね・・・。』
私『そんな・・・。』
シャンプーが切れてた。明日の朝、文句言ってやる!!髪を切りに行きたかったのに!!




