↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

更生生活

人見が『俺、今日バイトだから、掃除よろしく。出来れば晩飯も。』だって。私を更生させるために住み込みさせたはずなのに、これじゃお手伝いさんだ。腹が立つ。母さんのせいで、人見のお嫁さんにはなれないみたいだから、それにも腹が立つ。結婚出来たら、すぐにやめるのになあ、草と金稼ぎ。


ガチャ・・・


私『帰ってきた。』


佐村『・・・。』


私『ふ、不法侵入者!!』


佐村『メンバー間の自宅の出入りは自由なんだよ。』


麻里『あれ、同棲してんの?』


私『げっ・・・ま、麻里・・・。』


麻里『もお(笑)なんで、黙ってたの?』


麻里が肘で、私の肩をクイッとしてきた。


私『同棲なんかしてないよ・・・。』


もし、麻里にバレたら公子を伝い美知や母さんにも、私の悲惨な日常がバレてしまうかもしれない。そうなれば、煌びやかな都会から、寂れた田舎に連れ戻されてしまう・・・。


あー、どうしよう!!


麻里『あーっ!!』


麻里が部屋の奥隅を指差した。あ、あれは・・・自宅から持ってきた生理用品の袋・・・。


麻里『やっぱり、同棲してるじゃん(笑)』


私『ち、違うの!!えーっと・・・その・・・うーん・・・。』


佐村『たまたま、あれを買って、ここに寄ったんだろ?』


私『そうだよ!!そう!!たまたま、人見のアパートの前を通ったからさ!!ははは!!』


ガチャ・・・


今度こそ帰ってきた。私は佐村と麻里が侵入してきたことを報告しに玄関へと向かった。


私『佐村と麻里が来たんだけど。私の更生生活に支障が出ちゃうよ。麻里に付き合ってると思われてる。』


人見『大丈夫だって。付き合ってるって設定にするか?(笑)』


人見は笑いながらリビングへ・・・。


私『はあ・・・設定か・・・母さんのせいで、届くのに届かない人になってる・・・。』


お互い、相性バッチリなのに、ゴールイン出来ない。母さんがゴールテープを隠したから・・・って、私は、まだ結婚なんて興味ないんだった。でも・・・惜しいなあ・・・。


麻里『で、いつから付き合ってたの?』


私『だから、そんなんじゃないって。今日は、なんで来たの?』


佐村『曲が出来ないんだよ。』


かっこつけた言い方してるけど、曲がスラスラ出来るぜ!!いやっほぅ!!・・・なんて、報告は今まで一度もない。


私『いつものことじゃん。』


麻里『売れる曲を書けって周りの人たちから言われたんだ。売れ線に合わせろってこと。でも、作詞家兼作曲家さんは、それが気に食わないみたいで・・・。』


佐村『・・・。』


私『人見はどうなの?』


人見『俺はどんな曲でも叩くよ。 佐村も売れるまではポップな曲を書いてもいいんじゃないか。』


私『今までで最高は何位?』


人見『シングルは40位、アルバムはそれ以下。』


麻里『CMに使われたりした曲もあるけど、私のボーカル部分は使われないんだよね。』


音痴だからね・・・。


佐村『今の俺たちが好きだって、応援してくれている輩だって、少ないけれどいるだろ?だから、安易に音楽性を変えるのはどうかと思ってるんだよ。』


人見『でも、俺たちにも生活があるし、夢だって・・・。』


うう・・・議論が白熱してきて、話に入れなくなってきた・・・音楽性ってなんですか・・・一曲だけ売れ線狙いの曲を書いてもいいんじゃないの・・・。


麻里『両立って無理なのかな。キャッチーだけど、歌詞が深くて、演奏も難易度が高いって曲。』


人見『それ、お前歌えるのか?(笑)』


麻里『う、歌えるよ!!・・・多分。』


佐村『麻里が歌う必要はない。俺でも、人見でも、鈴木さんでもいいだろ?』


私『でも、麻里は楽器弾けないよね。』


麻里『タンバリンかマラカスは弾けるはず。』


人見『あれもリズム感が必要だぞ(笑)』


佐村『・・・あえて、不規則なリズムの曲を作ってみるか。』


麻里『売れる曲を作らなくちゃならないんだよ。』


あー早く帰ってくれないかな。居心地が悪い。


私『佐村と人見も、メイクしてみたら?(笑)』


佐村『・・・。』


ぐっ・・・佐村に睨まれた・・・。


人見『メイクはちょっと違うよな。でも、見た目から興味を持ってもらうのも一つの方法だと思うけど。』


麻里『バンダナとか、でっかい帽子とか、服を特徴的にするのもいいかもね。髪もカラフルに・・・。』


佐村『俺は絶対に着飾らないからな。なんで、見てくれの話になってんだよ。』


どんどん不機嫌になってく佐村・・・売れないのは、こいつのせいじゃないの?


私『柔軟な考え持たないと、いい曲を書ける能力はあるんだから・・・。』


佐村『お前に何が分かるんだよ。メンバーでもないくせに口出しすんなよ。』


禁欲中の私はムカッときた。心にグサッと刺さるような言葉を考えていると、人見が助けてくれた。


人見『とりあえず、一曲だけやってみようぜ。アルバムに収録しなければ、今のファンも離れないだろう。』


麻里『そっか!!もし、それが当たれば、私の歌いやすい曲が増えるね!!』


佐村『・・・。』


人見が少々、強引に話を纏めて、麻里と佐村は帰っていった。


私『あっ、夕食作ってたんだ。』


人見『マジで(笑)もう、冷めてんじゃないの?』


私『スープだから温めてあげる。』


人見『いいなあ、そういうの。佐村にも見せてやれば良かったのに。』


私『私だって料理作れるのよって?』


人見『優しい面を忘れてないのよって(笑)。あいつ、心配してたぞ、このまま白瀬が壊れていくんじゃないかって。』


私『都会に連れてきてくれたのは佐村だから、責任を感じてるのかな・・・。』


人見『かもな。』


責任を感じてるなら、あんな態度を取らなくてもいいのに。


夕食が終わると、人見がとんでもないことを言い出した。


人見『一緒に風呂入らないか?』


私『キス拒んだじゃない。』


人見『唇を重ねるのは友達の関係から逸脱してるけど、裸に見せ合いは、恥部に触れなければ友達のままだ。』


私『・・・成長した私の体を見たいだけでしょ?』


人見『初日に見た谷間が本物かどうか見たいってのもある(笑)でも、風呂の中で色々、聞きたいことがあるんだよ。』


そう言い、人見は浴室のドアを開けた。


私『・・・あのとき、ちょっと寄せてたんだけどなあ・・・ほんのちょっと・・・。』


私も浴室へ向かった。当然、浴槽には裸の人見が先に浸かっている。


私『入るよ。』


空いてるスペースに浸かると人見が笑い出した。


人見『やっぱり、おかしいって(笑)少しは拒めよ(笑)』


私『だ、だって・・・。』


どこを見ればいいのだろう。焦点が定まらない。


人見『母さんと妹は元気か?』


私『ここ、3年は連絡とってない・・・。』


人見『連絡とってあげろよ?きっと心配してるから。』


私『うん・・・ねえ、人見は今、私のどこを見てる?』


人見『その痩せ細った体。答えらないなら、答えなくてもいいけど、その体で体重はどれくらいあるんだ?』


私『40・・・前半かな。草さえあれば食事を抜いても平気だったの。気持ち良くなって、知らずのうちにダイエットも出来てるって最高だった。』


人見『後悔してるんじゃないか?』


私『痩せ細った体って、言われたからね。』


人見『そっちは俺のどこを見てるんだ?(笑)』


私は男の気になるあの部分を指差した。裸の二人は大笑いした。


私『バンドは売れてないのに、女の裸は見慣れてるんだね。』


人見『ミュージシャンっていう肩書きに食いついてくるんだよ。こんな顔でもな(笑)』


私『私も含めて、馬鹿ばっかりだからね。』


人見『自分を卑下すんなよ。そういう奴もいるって言ったんだ。』


私『・・・い、いけない。また、ヒステリックに陥るところだった(笑)』


でも、私も男から見れば馬鹿な女の一人なんだよね。人見も言ってたけれど、いつかは普通の女に戻らないと、人生が台無しになってしまいそう。


人見『草はやめそうだけど、仕事はどうするんだ?』


私『わかってるよ。仕事も改善しなければならないってことはわかってるけれど・・・もう、どうしようもないの。』


人見『そうか・・・早く良い男でも見つけろよ。』


私『・・・うん。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。