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…落ちついて、考えてくれと。
また、来るからと。
そう言って勇者様は帰っていった。
「…母国に戻る、か…。」
確かに、あの国には戻りたい。
けれど。
私はもう、王女ではないのだ。
国を出た日から、私は王女ではなくなったのだ。
それに…今更戻っても、また勇者様を愛する事はできない。
それを考えると…やはり、戻るべきではないよね。
幸い、私には妹たちがいるし。
この身体に流れる血は妹たちによって受け継がれていくだろう。
私はもう、あの国には必要ない存在なんだ。