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「…後宮も解散させた。
それでも、戻ってきてはくれないか?」
「嫌。今更どれだけ誠意を見せられたって、もう遅すぎるわ。」
私の貴方を愛する気持ちはもう、消えたのだ、と。
そう伝えた私に勇者様は言った。
「…息子たちだけでも、渡してはくれないのか」
その一言に私はキレた。
「…渡す…?
貴方…何を言っているの!?
あの子たちは物じゃない!私の息子と娘よ!!
貴方はあの子たちの為に時間を作る事さえしなかったのに
今更父親ぶりしないでッ!」
「…すまな、かった。」
その言葉を聞いて、少しだけ冷静になる。
「…やっぱり、私たちは別れた方がいい。
貴方は私から何もかもを奪った。
だから私は今ここにいて、今度こそ本当の幸せを掴もうとしてる。
…もし貴方が納得できないと言うなら私は強硬手段に出る。
貴方が欲しがっている世継ぎは、私を殺してから奪いなさい。
貴方はまた私から何もかもを奪うのよ。」
私から何もかもを。
息子も、娘も、仕事も、人生も、全て。
また失うくらいなら、死ぬ方がマシ。