「うまくやれない理由」
森の外れ。
「浅い依頼でいい」
ガルドが言った。
「まずは足並み揃える」
ドグが肩を回す。
「余裕だろ。昨日の見ただろ?」
「見たから言ってんのよ」
ミアが睨む。
「強すぎて連携にならないの」
ルルは少し後ろにいた。
話を聞いている。
でも、
分かっていない。
「……合わせる」
ぽつりと言う。
「頼むからな」
ガルドが頷いた。
森に入る。
気配はすぐに見つかった。
「来る」
角ウサギの群れ。
数は多い。
「囲むぞ」
ガルドが指示を出す。
「散らすなよ」
「分かった」
ルルが頷く。
次の瞬間。
踏み出す――前に。
「待て」
ガルドが手を出した。
「今じゃない」
ルルが止まる。
少し考える。
でも。
動きが見えた。
群れの端。
一匹が跳ねる。
「行く」
「待てって言ってんだろ!!」
止まらない。
消える。
次に見えたとき、
一匹が倒れていた。
それだけ。
だが。
群れが反応する。
一斉に散る。
「……ほらな!!」
ミアが叫ぶ。
「囲みが崩れた!!」
ドグが舌打ちする。
「追え!!」
散った群れを追う。
走る。
だが。
連携が合わない。
位置がズレる。
ルルだけが速い。
他は追いつかない。
「……こっち」
ルルが言う。
だが、
その場所には誰もいない。
「そっちじゃねえ!!」
ガルドの声が遠い。
ルルは止まる。
少しだけ、
困った顔をした。
そのとき。
低い音がした。
別の気配。
重い。
「……違うの、来た」
振り向く。
大きな影。
跳ぶ。
――間に合わない。
その瞬間。
「伏せろ!!」
ガルドの声。
剣が走る。
ドグが横から叩く。
ミアが足を止める。
三人で止める。
ギリギリで。
「っ……!」
押し返す。
「今だ!」
ルルが動く。
一撃。
それで終わる。
静かになる。
少しの間。
誰も動かない。
「……お前な」
ガルドが息を吐いた。
「一人で行くな」
「……」
ルルは答えない。
少しだけ、
視線を落とす。
「合わせるって言っただろ」
「……言った」
「できてねえ」
「……できない」
小さく言った。
ドグが笑う。
「まあいいだろ。最後はちゃんと助けてんだし」
「“最後だけ”でいいわけないでしょ」
ミアが睨む。
「途中で崩れてたら意味ないの」
「……」
ルルは黙る。
しっぽが、少し下がる。
その帰り道。
街の手前。
別の冒険者たちの声が聞こえた。
「レオンのとこ、また成功だとよ」
「借金あっても関係ねえな」
「動きが違うんだよ、あいつらは」
「無駄がねえ」
ルルの耳が動く。
足が止まる。
「……レオン」
小さく呟く。
さっきの戦いを思い出す。
合っていなかった。
ズレていた。
「行くぞ」
ガルドの声。
「……うん」
ルルは歩き出す。
今度は、
少しだけ距離を見ていた。




