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猪突猛進!豚魔法 ~デブでブサイクだけど、最強めざして突っ走ります!~  作者: 大沙かんな
余裕綽々!豚魔力編

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3-5. 早期解決を目指して

 あからさまな買い叩きをしてきたエチゴヤは、おそらく他の商会にも声をかけて、俺たちの肉の買い渋りをするだろうな。


「多分だけど、明日の肉も売れないと思う。下手すると初日より売れないわよ?」

「エチゴヤの根回しがあるってこと?」

「ええ、そういうこと。」


 イスズもそのつもりだったらしい。翌日もロバー狩りを続ける予定なので、今から売れない肉の送り先を決めておく必要がある。


「学園の食堂と寮は決まりだな。」

「それじゃ、そこはユウジが代表で取りまとめて。お願いするわ?」

「了解だ。キイチロウとスケヨシも手伝ってくれ。」

「女子寮は私が担当するわね。」


 打てば響くように寮生組が動き出した。


「マコちゃんの道場は?」

「さすがに多すぎるよ。」

「他の道場にも分けたらどう? 伝手はないかしら?」

「わかった。ちょっとお父さんに聞いてみるね。」


 それぞれ、どれくらいの需要があるのかを確認しておいてもらう。実際にどれだけ取れるかわからないので、『配る』という話は一切するべきではない。どのくらいの需要があるのかを確認するだけに留めることが大切だ。


「寮生組は、今すぐじゃなくていいから、地元の商会がこの町に出入りしてないか調べて欲しい。」


 イスズはさらに先のことを考えているようだ。


 浄化と結界があれば、少しぐらい遠いところでも輸送できる。取引するかどうかはわからないけれど、情報を集めて置くに越したことは無い。


「俺は、アキコとハルコと一緒に、神殿に殴りこんでくる。二人は領主のおっちゃんか、爺様か、どっちかと会談の約束取ってね?」


 エチゴヤが領主のおっちゃんの隠れ商会だったりしたら、ちょっと洒落にならない。話はつけておく必要がある。



 その日はそれで別れて帰宅することになった。


 夕食後、キサやマコちゃんといつもの魔力循環大合戦をしていると、来客があった。玄関まで出てみると、やってきたのはアキコとハルコだ。


「どうしたの?」

「お爺様が今すぐ会いたいって。今から神殿まで来られるかな?」

「わかった、すぐ行くよ。準備するから待ってて。」


 鎧の上から白ローブを(まと)い、二刀を差して出かける用意をする。マコちゃんは……お目々がバッテンになっているからちょっと無理かな。それに状況によっては、ここに魔法騎士が一人いてもらう方がいい。


「父さん、母さん、ちょっと神殿まで出かけて来るね。」

「気を付けて行ってきなさい。」


 アキコとハルコは、神殿の奥までは行かず、治療のときの建物に近い小さな建物に案内してくれた。


「ホソカワ・エイタです。呼ばれたので来ました。」

「おお、来てくれたか、入ってくれ。」


 部屋の中には爺様と、あれ? 領主のおっちゃんもいる?


「ダンジョンの解体場の件ですよね?」

「ああ、その通り。あれはちょっと手違いでね。」


 エチゴヤを締めていたのは双子の母親だったそうだけれど、彼女は先日、夫の親族に盗賊が出た責任を取る形で、すべての役職から自主的に降りたうえで巡回治療の旅に出たそうだ。


 それを知ったエチゴヤが暴走、というか、伝説級の妖獣の高級肉を超安値で仕入れて神殿関係者に配り、双子の母親を失った穴埋めを行おうとしたのが今回の原因らしい。


 俺たちの予想通り、他の商会を集めて買い取り拒否の会合を行っていたところ、双子の注進を受けて激怒した爺様が派遣した神殿騎士団に、まとめて取り押さえられたということだ。


「あとは首謀者を切れば終わり、そういう状態ですね。」

「まあ、そういうことじゃの。」


 気合を入れてやって来たけれど、すでに終わっていたようだ。


 エチゴヤの主人と、実行犯とおぼしき番頭は死罪、それ以外の罪は不問ということで簡単に話はついた。爺様はエチゴヤを潰したかったみたいだけれど、領主のおっちゃんに俺の意見も添えて、店は潰さないことになった。


 大切な孫娘たちを虚仮(こけ)にされたんだから、その気持ちは分かる。でも彼らも次からは気をつけるようになるだろう。伝説の妖獣の肉なんか大量に狩って来られるのは、それこそ魔法騎士以外にいないってことに。


「一応、神殿に与した物だったのでね、こちらに隔意がないことをわかってもらいたくて、裁定の席に来てもらったんだ。」

「そういうことでしたか。」


 そういう話なら俺にも一つ、言いたいことがある。


 ここで絶対に言っておかねばならない。


「領主さん一家と魔法騎士団。全部でどのくらいの人数になりそうです? ロバーの肉だと何匹分くらいになるかと思って。」


 お互い一切の隔意はないことを再確認して、その日は安全に帰宅することができた。



 次の早朝、みんなが集まったところで、領主のおっちゃんの話をみんなに伝えたところ、全員が目に見えてほっとした表情を見せた。やはりかなり気が張っていたんだろう。


 特にマコちゃんはツルギのおっちゃんから、「お返しとかが面倒すぎるので、他の道場に配るのは絶対にやめて欲しい」と言われたそうで、あからさまに安堵している。


「それじゃあ今日の分は、各自に半身、騎士団におすそ分け、その後は販売ってことで良いわね?」

「それでいいよ。」

「伯父さまのところは、私たちの取り分からってことね?」

「十分過分。」


 ついでに言えば、ちゃんと俺たち全員に頭をさげにくるまでは、エチゴヤへの販売禁止は解かない。


 みんなとそう言っていたのだけれど、お昼のダンジョン行の時に解体場の前で、新しい主人とやらに土下座されたので、早々に許すことになった。


 解体場に布を取りに来るのを狙ったのね。商売人としてはしっかりしているようなので、店の人間が変なことをしないように目を光らせていて欲しい。



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