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猪突猛進!豚魔法 ~デブでブサイクだけど、最強めざして突っ走ります!~  作者: 大沙かんな
余裕綽々!豚魔力編

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3-4. 市場価格の罠

 その翌日の自主練習も、俺はやはり結界魔法を中心に、いろいろな応用を試してみた。


 とはいえ、なかなか新しいことが出来るようにはならない。熟練度自体は上がっている実感はあるんだけれど、いつもいつもそう全てが上手くはいかないようだ。


 魔力循環ごっこを同時に続けているのでルードラはご機嫌だけれど、今日は結局それだけで終わりって感じかな。



 午後からはダンジョンに移動して昨日の狩りの続きだ。


「瞬間移動は行けそう?」

「ばっちり!」


 全員で移動する前に、昨日の釘と旗を一通り見てまわり、どこも問題なく移動できることを確認済だ。


「それじゃあ!」

「準備体操!」


 昨日の旗の場所に全員で瞬間移動して、旗を回収する。面倒なので杭は抜かずに残したままだ。


 すぐに妖獣ロバーと会敵したので、さくっと狩って進んで行く。


「ロバーがあまり売れなかったのは誤算だったよね。」

「伝説の妖獣だから、知名度が低すぎるんだと思うわ。」


 そう、昨日の獲物のうち、シカーは肉も皮も非常に高く売れたんだけど、ロバーはびっくりするほど売れなかったのだ。


 どちらも市場に出回るようなものじゃないんだけれど、それでもシカーは以前に売られたこともあったらしく、非常に美味で皮の質も良いという評判だけが残っていたようだ。


 しかしロバーは名前さえ知られていないうえ、富裕層が大量のダチョーやモアー、そしてシカーの肉を買い求めた後だったこともあって、ほとんど値が付かなかったらしい。


 皮も悪い物には見えなかったそうだけれど、シカーの方に注目が集まりすぎて、値段はそこそこになってしまったそうだ。


「昨日買った人が美味しいって言ってくれれば、今日は期待できるんだけどなぁ。」

「昨日の今日じゃさすがに無理でしょ。」


 結界と浄化を駆使して保存して、肉の値段が上がるまで待てば良い値段になるかも知れないけれど、俺たちには肉を保管する場所もないし、そんなことをしている暇もない。それに絶対値上がりするとも限らない。


「どれだけ狩れるか次第だけど、神殿の孤児院に寄付しちゃおうか?」

「賛成!」


 ん? アキコ、神殿の孤児院って?


「この町はダンジョンで狩りをする人が多いでしょ? それなりに危険な仕事だから、亡くなってしまう人も多いのよ。だから孤児たちを神殿が養っているのよ。」


 ああ、そういうことか。


「食べてないけど、見た感じだと、めちゃくちゃ高級肉だと思うんだよね。」

「庶民だと今しか食べられない、そんなことになるかもね。」

「それを孤児院に寄付! いいかも。」

「貧乏人の大勝利だね。」


 まあ、食べてみたらめちゃくちゃ不味いかも知れないけれど、孤児院はいつも食べ物に困っているそうだから、それなりに需要はあるだろうし、そこまで嫌がられることもないだろう。


 そのまま順調にロバーを狩り続けていくが、俺たちのレベルは六十二に上がったきり、まったく上がらなくなった。俺たちの方に問題が起こったわけではない。ただ単純に、高レベルのロバーが現れないのだ。


「レベル六十ばっかりだね。」

「ロバーはこのレベルで打ち止めなのかな?」


 レベル六十が二匹の時に、魔力の霧を合体させて六十一にして、無理やりレベルを上げたのだけれど、レベル六十一が出てこないし、出てきても一匹だけなので、どうしてもレベルを上げることができない。


「他にいい場所を知っているわけでもないし、ぼちぼち狩りながら進みましょうよ。」

「そうだね、これはどうしようもないもんね。」


 レベルは上がらないし、売り上げの楽しみもない。こいつらの良いところは楽に狩れることだけかも知れない。これで狩りが面倒だったら、本当にやってられないところだ。


「私はこれでも良いかな、弓の良い練習になるし。」


 かなりの剛弓に切り替えたばかりのスバルは、一人ほくほく顔で狩りを続けている。霧の魔力の関係で、同格以上の敵はあまり遠くで仕留めるわけにもいかないので、こういう狩りの方が自由に戦えるのだ。


「命中度が戻って来たね。」

「ええ、この弓にも少し慣れて、かなりしっくりしてきた。」


 スバルによれば、実戦は練習場とはまた違うので、弓の調整には実際に獲物を射なければ出来ないこともあるのだそうだ。


 ヨコヅナの時にもそうだったけれど、スバルの一撃はこのグループのカギを握っているので、その威力と精度が上がったのは頼もしいかぎりだ。



 かなりの数のロバーを狩ったものの、結局レベル六十二から上がることはなく、その日の狩りを終了することになった。


「釘、どうしようか?」

「戻るとなると一日がかりだし、赤と、もう一本、白の蝶結びを打っておきましょうか。」

「了解。」


 赤がレベル六十、白で違う場所、っていう意味だな。


 釘を打った後、さらに少し移動してから旗も立てておく。妖獣が激突したりして、壁が崩れてしまったら釘も旗もなくなってしまう。その対策のために少し放しておくのだ。


 移動したため追加でロバーを二匹狩ることになったが、もちろんレベルは上がらなかった。



 今日打った釘も旗も問題なく利用できることを簡単に確認し、瞬間移動で仲間たちをダンジョンの外に送った後、自分も遅れてダンジョンの外に飛んだ。


「時空術って便利ねぇ。私も選択してみようかしら。」

「私も興味あるけど、どれかが初級合格してからかなぁ。」


 今はみんな武技の授業を何も選択していない。そろそろ復帰できそうな気もするけれど、魔力循環のこともあるのでこのまま武技を後回しにして、魔法を先にするという方法もあるだろう。


 時空術は強力だし、グループの中で使える人が増えればそれだけ打てる手も増えるので、やってみるのは大歓迎だ。呪文ぐらいなら手伝えるしね、発動しないけど。


 解体場に布を返却して、今日収穫した肉をすべて孤児院に分配する話をすると、おっちゃんにかなり驚かれた。


「肉は全部、各孤児院に配達でお願いします。皮は売却で。」


 アキコがおっちゃんに、配達先の孤児院の一覧を書いた紙を手渡した。


「配り先がこれだけあるなら、腐らせることは無いだろうけどなぁ。買い取り希望の商人も来ているけど、本当にいいのか?」


 極上肉が安値で手に入るのを知ったからか、安値にちょっとだけ色をつけたような値段で大量買いの注文が入っているらしい。


「超高レベルの高級肉ですよ? こんな値段で売るぐらいなら畑の肥料にでもしますよ。」

「すまんな、最低価格の設定を教えていなかった俺の失敗でもあるからな。」


 ああ、最低価格っていうのもあったのか。それがあれば売れなかった時に全部孤児院、っていう選択も出来たってことね。まあどっちでもいいや、どちらにしても売り上げにならないのは同じことだし。


「昨日のは仕方ありません。私たちも注意不足でした。でも今日のは買い叩く意図が見え見えです。その商会の名前ってわかりますか? それと私たちの肉の購入を今後一切禁止にできますか?」

「魔法騎士からの出入り禁止か……出来るが、波乱になるかもしれんぞ?」


 ふうん、エチゴヤさんねぇ。


 昨日買って儲かったのは商人の腕だから何も問題ない。そこに文句を言うつもりはないし、そんな筋合いでもない。でも追加でぼったくろうっていうのは魔法騎士に対する明確な侮辱だ。絶対に許してはいけない。


 おっちゃんははっきり言わないけれど、おそらくそいつら(エチゴヤ)の後ろには神殿がいるんだろうな。だからそんなことが平気でできるってわけだ。魔法騎士も抱えているかも知れない。


 だからって引き下がる必要はどこにもないんだよ?


「構いませんよ。」


 その喧嘩、買ったぜ!



現在のレベル


ホソカワ・エイタ Lv.62

ツルギ・マコト Lv.62

オニガワラ・ボルボ Lv.62

マツダ・ユウジ Lv.62

ホンダ・キイチロウ Lv.62

トヨダ・スケヨシ Lv.62

タカナシ・スバル Lv.62

ヤマナ・イスズ Lv.62

ヒノ・アキコ Lv.62

ヒノ・ハルコ Lv.62


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