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その後彼らは仮眠を取ってから昼過ぎに行動を開始した。
もちろんシャルティアは一人でベッドを使い、ガルが床で寝た。
馬での移動は町中では目立つため、馬はこの町で売り払らわれ旅の資金になった。
彼らはまずセレーナの国境を越えて隣の国に入ってから調べ物を開始することにした。
隣の国に行けば追手もそう簡単には追ってこれないはずであるという考えである。
「それじゃあそろそろ行きますか。」
「コケるなよ、オヒメサマ。」
シャルティアはムッとして言った。
「オヒメサマって誰のこと?」
もうその呼び方はふさわしくないと言わんばかりにガルを見つめる。
「そうだった。"ティア"。」
シャルティアは満開の笑みでうれしそうにガルとシオンに向き合った。
「ふふふ、これからよろしくね。ガル、シオン。」