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異世界少女の保護者は竜  作者: 鹿熊織座らむ男爵
第一章  始まり
12/30

竜の生態?

あまあま一歩手前です。

ご意見ご感想をお待ちしております。

結局午前中は昨日のお酒のせいで体調があまり良くなく、ベットに横になりながら課題の本を読んで過ごします。

私でさえこんなに体調がすぐれないのですから、相当飲んだらしい陛下はさぞ屍のようになっている事でしょう……。

マクスウェルも相当飲んだはずですがこれっぽっちも残っていないようです。むしろ朝陛下は相当お酒臭かったのですが、マクスウェルは全く匂いません。竜って体の作りが違うのでしょうか?


「ねぇマクスウェル!魔獣ってホントに居るって知ってた!?」


今日の課題図書のこの世界の成り立ちから全て基本が載っている児童書を読みながら、ソファで気持ち良さそうに寝そべっているマクスウェルに問いかけます。


「は?魔獣?……そなた我を何だと思っておるのだ?」

「竜も魔獣になるの?」

「魔獣の一種化かも知れぬし聖獣、幻獣かも知れぬな。そもそも国や種族によって物の解釈が違うのでな、この国ではなんと呼ばれておるかまでは知らぬ。」


いつも忘れますがマクスウェルは竜なんですよね。以前森に居た時はよく竜の姿になってゴロゴロしていたのですが、最近はめっきり人型しか見ていなかったので忘れてました。

そう思うと何で人の姿になれるのかとか、その容姿は自分で好きに変えれるのかとか色々疑問に思ってきました。


そのままダラッと重い体を起こし、マクスウェルの横に座ります。

横って言ってもマクスウェルが思いっきりソファに横になって足を投げ出している状態ですので、その足の間に正座で座る感じです。

竜の時はすっごい固い鱗に覆われていますが、人型の時は人と変わらない触り心地……むしろ私より肌のコンディションが良い気がしますね。

目は竜の時と同じ金色ですし睫毛は長い、髪も鱗と同様に真っ赤ですがすごくサラサラ。剛毛そうに見えて柔らかい毛質ですね。

しかもこの整った顔。陛下もかなり綺麗な造形をしていますが、マクスウェルは人間離れした造形美です。

なんと言いますか完璧なシンメトリーと言いますか、彫刻のようと言いますか……。

うーん知ってはいましたが羨ましいですね。


「……サキ。先ほどから何故我の顔を撫でまわしておのだ?」

「ちょっと生態観察中。詳細をレポートに纏めたらきっと後世に残るような文献になると思うの」


先ほど読んでいた本が児童書だからか分からないのですが竜の詳細が一切無く、これはもしかして竜自体が珍しい存在なのであまり詳細が分かって居ないんじゃないかと思います。


「ほぅ。それで何が分かったのだ?」

「うーん……。毛艶も良いし食欲もあるし……きっと健康なんだなって思う位?」

「結果は良いとして過程が解せぬのだが……。ほら、もっと近くで見てみるが良い」


そう言うと私の体を持ち上げ自分の膝の上に座らせ、私の手を自分の頬に当てます。勿論意地悪そうな目をしています。


「んー。やっぱりこの姿だと肌がスベスベだなって事しか分からないよ。人型になると勝手にこの容姿になるの?それとも自分で少しは選べるの?」

「うむ、そんな事考えた事も無いから勝手にこの姿になるのだろうな。そもそもそなたの事は愛らしいと思うが、基本的に我には人の美醜は分からぬ」

「ふーん……。腕とか足も普通の人みたいだけど、人型でもお酒に酔わない所を見るとやっぱり内部は違うんだろうね。当たり前か」


 腕や肩を触りつつ人と違う所が無いか探してみますが、完璧に人型になってる為か取り立てて変な所は無いようです。

 今まで大人しくぼぅっと私に触られていたマクスウェルが思い出したように動きます。


「そう言えばこの姿でも我が竜と分かる所があるぞ」

「えっ?そうなの?全然知らなかった」


 少し不思議そうな顔をするとすぐに着崩していた上着とシャツを脱ぎ出しました。

 いきなり脱ぎ始めたマクスウェルにびっくりして声が出ずただ大人しく膝の上に座ってます。

 マクスウェルはすっかり上半身裸になると体を捻り背中を見せます。


「見た事なかったか?我の背に模様のようなものがあるだろう?この模様は竜とその契約者だけに出るもので、その個体や強さによって模様が異なる」


 そうは言われましても初めて見るマクスウェルの綺麗に引き締まった筋肉質な体を目の前に、完全に頭が真っ白になってます。

 何も言えずただ真っ赤になって固まってる私をよそに、気にせず話し続けています。


「我は一応竜種の中でも『竜皇』を名乗っているのでな、この模様は一番強いものの証とも言えるな。もしそなたが我と契約したら大きさは異なるが、これと同じものが体に現れるはずだ」


 少し落ち着いて来てやっと頭が動き出したので、ようやく目の前にある模様が目に入って来ました。

 解読できない古い文字のような記号のような模様は背中一面に浮き出しており、一見刺青のように真っ黒かと思うと時折鼓動するように赤く光ります。

 触ってみても熱くもなく本当にただの模様が浮き出ているようですが、とても不思議なものです。


「ふふっ。別に構わぬがさすがにそう恐る恐る触られるとくすぐったいな」

「あっごめん……」


 無意識に背中に触っていたようで、マクスウェルがくすぐったそうに身をよじっていました。


「そなた嫌では無いのか?もし我と契約するとなると、人でなくなった挙句これと同じものが現れるのだぞ?」

「どっちも何とも思わないよ?だてに異世界から来てませんよ?」


 あまりにも心配そうな顔で聞くので少しびっくりしましたが、異世界から召喚されたっていう経験をしている身としてはもうちょっとやそっとじゃ嫌とも思いませんよ。

 さすがに今すぐ自害しろとかは嫌ですが……。

 それでもマクスウェルが納得していない表情をしていますのでちょっといじめましょうか。


「ねぇマクスウェル。もう一回背中向けてー」

「ん?こうか?」


 いつもの意地悪の仕返しに、従順に後ろを向いたマクスウェルの背中を思いっきりくすぐり倒す事にしました。


「なっ!?ふっ……あははははっ!やめよサキっはははは!」

「マクスウェルって背中が弱いんだねっ!よしよしこれも竜の生態に書いておかなきゃね!」


 足をバタバタさせてもがくのが新鮮で思いっきりくすぐり倒してやります!

 それに今のうちにやっておかないとどうせ後で色々仕返しが来そうですしねっ!

 ですが勿論私の力ではマクスウェルを抑え込むことが出来ず、早々に逃げられます。


「サキっ……よくもやってくれたのぉ……」

「りゅっ竜の生態観察だもんっ悪戯したんじゃないよ?」

「……では我も人の生態観察でもしようかの」


 マクスウェルはそう言うと私を押し倒すようにし上に覆いかぶさり、そのままの私の首筋に息を吹きかけます。


「っひゃ!?」

「うむ。人は首筋が弱いのか。他には……」


 すっかり意地悪そうな顔になっているマクスウェルは、今度は耳に息を吹きかけた後、そのままわざと音を立てて耳に口づけをします。


「ふっ……やんっ!」

「ふふふっ、耳も弱いのか。それとも音かな?」


 耳元で囁くようにそう言われると背筋がゾクゾクとします。私はそこはダメって知っているのに……完全にわざとですよね!


「もうしないからっごめんなさいー!もう嫌ぁ」

「あははっ。サキ、それは逆効果だ」


 その言葉通り止める所か逆に首筋に少し歯を立てるように噛みつきます。

 以前酔った時にもされたような気もしますが、今は意識がはっきりしているので恥ずかしさが倍増です。


「んー…もうっ!もうすぐ陛下とミレーニア様来ちゃうからっ!」

「ふふっ。残念、しょうがないな続きは夜にするか」


 そう言って私から離れたマクスウェルは全然残念そうじゃない顔をしていますけど?あぁもうこの感じだと本当に夜いじめられそうですね。


「……竜って悪戯好きで執念深いよね。マクスウェルだけな気もするけど」

「他の竜などどうでも良い。そなたは我だけを見ていればそれで良いのだ。無論、人ー……フィアハルトにも渡さんよ」


 独占欲が強いって言いますかなんと言いますか……これは竜全体じゃなくて、マクスウェル個人の性質って感じですね。

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