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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
3章
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3-5.お節介

前回あらすじ:『聖騎士』なんだこいつ



「何あの中身スカスカな男、教会はなんであんなのを聖騎士にしているのよ!」


 外に出たキューさんの第一声がこれ。

 俺もそう思う。


「キューさん、誰かに聞かれますよ」


 リーシェさんも言い方を注意するが、内容に対しては何も言っていない。


「だいたい、『私は、格式ばったものより、こんなくだけた感じのほうは良い』って後ろに給仕のいるこの食の席で何言ってるのかね。

 あいつの普段の食事がどのようなものかが想像出来るわ」


『聖騎士」と言うだけで最大級もてなされているんだろうな、本人は気づいていないようだけど。

 いや、彼は他者からどう思われているのか気にしていないのか。


 悪口は宿でも続いた。

 良いことじゃないけど、俺やリーシェさんも参加してる。

 1回食事を一緒にしてそこまで言われる聖騎士って言うのも、相当だと思う。


 話の中で、昨日会った少年の話をしたら、2人とも怒りだして話が過激になっていく。

 ピノで強化する話も出るが、流石に無理と言われる。

 夜中までどうやって少年を早く強くするか盛り上がった、どうやって聖騎士を倒すかを間接的に言ってただけとも言う。


「バカ兄で良いのか、剣を教えてもらうなら剣聖が一番いいと思うけど」


『お兄様』からすごい格下げだ、でもトゥールさんラーディで上位の腕前だから。

 まわりにいた人がすごいため、キューさんの兄への評価が不当に低い。


「素人だと剣聖が何言ってるかわかんないよ。

 トゥールさん、クランで剣を教えていたよね、教えるの上手いから任されていたんだよ」


「そう言えばヨガは下手だよね。

 教えられていた冒険者に、擬音語だけでなく言葉で説明して下さいと言われてたし」


 俺は少年を最初トゥールさんに鍛えてもらうと思っている。

 剣を握った事のない路上生活者が、いきなり冒険者になろうとしても、半年で冒険者見習から正式な冒険者になれるとは思えない。

 まず剣の腕を上げてもらおうと思っている。

 トゥールさんへはギルド経由でお願いしている。


 そんな話も有って、翌日は3人でスラム街に行く。

 女性陣には安全の為待っててもらおうと思ったが、付いて来た。

 2人の腕なら、問題無いだろうけど。


「おい、お前らここに何しに来た」


 すぐに、チンピラが出てきた。


「ここに住んでる、アドリュートに会いに来なんたが」


 確かにスラム街に冒険者の身なりで入れば警戒される。

 少年に会いに来たことを伝えると。


「ここは、よそ者が勝手に歩き回っていい場所じゃねえ。

 俺はここの顔役だ、そっちの姉ちゃん -- 自己規制 --」


 自称顔役は、言いたかったであろう下品な内容を最後まで続けられなかった。


 サラマンダーの息に服と髪を焼かれ、地面に大の字でめり込んでいる。

 そりゃこの2人にそんなことを言えばそうなるな。


「ヨガ、なんでそこで黙って見てるの」


 そしてなぜか怒りの言葉が俺に向いている。


<そこは嘘でも、彼女たちを心配するとこです>


 すいません。


「た、助けて下さい。

 何でもします、命ばかりは」


 殺す気はないけど、・・・2人ともないよね。

 男の顔役と言うのはホントだったらしく、近くにいた者達がすぐに少年を連れてきた。


 少年を連れて、すぐにスラム街を出た。


「あんな騒ぎを起こして、ここに住めなくなったじゃないですか」


 少年は抗議するが


「もうここには戻れないよ。

 このままアルテミラルに行ってもらうから」


 驚いている、そりゃそうだ。


「ここからアルテミラルの王都に行く商隊は、毎日出ているそうだ、それに混ぜてもらう。

 お金を出せば問題ないってさ、お金は前に言ったように俺が出すから心配しない」


「おれ、市民権持ってないけど」


「市民権の有無に関係なく、この国への出入りに制限は無いって、偉い人に聞いたから間違いないよ。

 まあ向こうの入国審査は有るようだけど、手紙を書くよ、内容は『ラーディにいる知り合いの所に行く』というもの。

 俺の名前は、アルテミラルではそこそこ使えるから、入国出来ると思う。

 まずそこで君には剣の使い方を覚えてもらう。

 いいかな」


「本当に俺を助けてくれるんだ」


「援助するって、言っただろう。

 もう忘れた」


「仲間以外で、俺との約束を守る人なんでいなかった。

 今回もそうだろうと、思ってたから」


「まず、君は人を見る目を養ったほうがいいかな。

 俺は約束を守る、たとえ自分とって理不尽なことでもだ」


「ヨガ、声大きくなってる」

 リーシェさんが、肩に手を置いて

「少し熱くなってる、冷静になろうよ」


「でもどうして、そんなことしてくれるんだ。

 普通はしないよね、なにか裏がある?」


「本人に裏のことを聞いても無駄だと思うぞ。

 スラムに住んでるのに君はその辺できていないんだな」


「決定はゴニスがしてたから、俺たちは付いてけばよかったんだ」


「これからは1人だ、生きてく為には世渡りは必要だ。

 ただし俺には裏はない。

 君を助ける理由は2つ」


 最初は1つだったが、昨日2つ目が出来た。


「1つ目は、あの聖騎士が嫌い。

 実は昨日聖騎士と会って話を少しした。

 すごく嫌なことを言われてねイライラしているんだ、君を助けることで少し気分がよくなると思う。

 直接殴ることはできないのでね」


 キューさんが大きくうなずいている。


「もう1つの理由は、羨ましかったから。

 俺にも復讐したい相手がいるが、できない。


 君に協力して、自分の憂さを晴らしたいのさ。

 俺の分も込で、君に思う存分してもらいたいんだ」


 リーシェさんが、背中を撫でる。

 俺こだわってるな、わかってるけど、仕方がないじゃないか。


「本当にそれだけ」


「そうだよ。

 最初に会った時は、単純に同情してだったからけど、後か考えたら多分そうかなと思えてね。

 そして昨日聖騎士に会って、君に手を貸す理由が1つ増えた」


「わかった信じるよ」


「なら、最初は風呂ね。

 君汚いから、商隊に混ぜてもらえないかも知れない」


 リーシェさんの指摘を、俺は全く考えていなかった、このまま商隊の所へ行くつもりだった。

 でも確かにそうかも。


 ならあれもしてみよう。

 少年も同じことを思ったようだ、目が合う。


 風呂の前に着るものを買う、リーシェさんとキューさんが何故か楽しそう。

 リーシェさんの選ぶ服は可愛すぎる、女性物をわざと選んでないか。

 キューさんは棘とか付いている服を選んでいる、それも違うんじゃないかな。

 俺が無難な服を数枚選ぶと、少年はホッとしてくれた。


 次に風呂だが、風呂屋の親父に入る前にもう少し綺麗にしてくれと言われる。

 仕方がないので、桶とお湯を借りて最初に汚れを落とす。

 桶のお湯を3回取り替えたところで、親父の許しが出た。


 さっぱりしたところで、昼飯にしようと昼から開いている酒場に行く。

 4人で店内に入って、適当に注文をした。


「本当だ、誰も俺に注意してこない」


「いい席にも案内してくれなかったけど」


 ここは中に入るのを止められた店だ、俺と少年は2人で笑う。

 他の2人が理由を教えろと言ってくる、何でもないとそのまま笑い続けた。


 昼飯を食べて、商隊の集まる場所に行って見ると、今日の分は出たあとだった。

 聞けば日の出前に出発するので、俺たちがスラムに行くまでには出ていたことになる。


「ヨガの調査ぬるい」


 面目ない。

 でも翌日の商隊に彼を混ぜてもらうのは問題なかった、手紙と旅費を渡す。


「金貨10枚、こんな大金初めて見た。

 こんなには多いよ」


 この商隊に混ぜてもらう金はすでに俺が出しているので、多いと思ったのだろう。


「いや多くはないと思うぞ。

 向こうで王都から知り合いのとこに行くにも、どこかの商隊に混ぜてもらう必要がある、それでこの半分はそこでなくなるからな。

 それにここと違って、王都から魔境周辺には毎日便が出ていない、何日か宿に止まる必要もある。

 王都の宿だぞ、お金が足りなくなる心配もでてくる。

 君が焦らなくてもよいように多めに持ってたほがいい」


 今日はスラムに戻らず、近くの宿に止まることを忠告して、少年と別れた。


「あれ、10年経てば復讐忘れると思っての事?」


 リーシェさん、なんで俺があんな事したのか知りたがった。


「10年経っても忘れてないかもよ」


「ヨガも」


「わからない」


 少年が、何度もこっち向いて頭を下げている。


「強くなったと思っていたのにな。

 でも何もできない、全然無力だね」

時間が取れないのに、気に入らなかったので前半部の食事時の会話を部分を全カット

(短くなった言い訳です)


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