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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
2章
31/104

2-22.遠征 3

前回あらすじ:遠征、魔境の真ん中までこれました

「ヨガの言った通り、これはどう見ても風呂だな」


 調査隊リーダーはフェンメットさんだ。

 俺が前に来た浴場を見ての感想だ。


「ここに人が住んでたのはまちがいないか。

 まずはこの層を調べようと思う、魔物はいないんだよな」


「この層を含めて、浅い場所にはいないですね。

 街の中央のもっと深い所で何かしてます」


「 何をやっているのかがわかればいいんだが。

 時間がない、急いで調べるぞ。

 人の街なら罠もないだろうが、一応気をつけるよ」


 全員が軍馬に乗って走る。

 周りを調べながらなので早くはない。


 近づくとやはり大きなドアのみが開く。

 何箇所か入って見たが、ほとんどは使い方がわからない。

 そんな中でも使い方が想像できたものがある。


「飯屋、あるいは酒場かな」


 テーブルとイスが並んでいる。


「この大きいドア、風呂とか飯屋とかみんなが使う場所なのでは。

 そして小さいドアは、個人の部屋ではないでしょうか。


 俺たちの宿も風呂、食堂は誰でも入れて、それぞれの部屋には鍵をかけれますよね」


「なるほどな、その考えは合ってそうだ。

 大きいドアは、共有の場所か」


「共有の場所は固まって配置されている傾向があります。

 ラーディでは見ない作りですね」


「いや、大きな街なら飯屋や店は、数箇所にかたまってあるぞ。

 その方が便利だからな」


 数店見比べれば、自分の欲しいものが見つかるだろう。

 無くても数店見れば諦めもつく。

 古い街だが、人の行動は変わっていない。


 調査隊の面々は、勝手に想像して口にしている。

 調査と言っても見るだけしかできない。


「あと下に行く階段はないですね。

 上に行くのも、街門に出るものだけ。

 ここまで、広い街ならあっていいと思いますけど」


 本当はあった。

 階段ではなく、上下に移動する小部屋をビチュレイリワが教えてくれた。

 残念ながら動かす仕組みがわからなかったので、みんなには言わないでいた。


 中央付近は、ほぼ共有で使用する施設のようだ。


 街の真ん中には、丸く広い空間が広がっていた。

 天井も丸く皿を反転したような形をしている。

 その真中に穴があり、空が見える。


 ここは何だろう。

 その作りからギルドの訓練場を思い浮かべた。


「散らばって調べろ、この下に魔物がいる。

 降りていく場所があるはずだ」


 フェンメットさん、まだ魔物討伐を考えていたのか。

 みんなが広がったその瞬間。


「なに!」

 思わず声が出た。

 ワイバーンが地下に湧いた、しかも4体当時に。


「どうした」


「突然ワイバーンが4匹、この下で生まれたんです」


「巣でもあったのか」


「違います。

 生きた卵はわかります、そこには何もなかった。

 突然、湧き出てきたんです」


「なんだ、それは」


「わかりません。

 待ってください、動きがあります。

 上がって来ています。

 近くにいた、とんでもないのと一緒にきます」


「ワイバーン4匹でも、とんでもねえ。

 急いで逃げるぞ」


「無理です、間に合いません、すぐ来ます。

 近くに隠れて」


 そいつらが上までくると壁が開く、これもドアだったのか。

 開いた奥には4匹のワイバーンが並んでいる、どれだけ大きなドアかわかるだろう。


 ワイバーンは人に比べて10倍ほど大きい。

 そして人の3倍ほどの魔物が1匹。

 獣の足が2本、角のある草食獣の顔、人の上半身に腕が4本、そして翼がある。

 右手、左手には1本ずつ杖を持っている。

 見たこともない魔物、マナ総量は桁違いだ。


「サァ、ワイバーンドモ、外へ行ケ。

 コノ世界ヲ暴力ト殺戮デ満タセ」


 その魔物の叫びにワイバーンが応える。


 ガーーァー。

 バァーーーー。

 グーー。


「ソウカ、ソウカ、生マレタバカリデ腹ガ減ッテイルカ。

 近クノ奴ヲ襲へ。

 コノ街ノ近クニハイナイガ、オ前達ナラヒトット飛ビダ」


 何を言っているか聞き取りにくい、言葉を出す喉ではないのだろう。

 だが、その声にワイバーンたちは翼を広げ飛び出そうとしている。

 天井の穴から外に出る気だ。


 こんなのに襲われるから、山に魔物が近寄って来なかったのか。

 本体が危ない、広い場所でワイバーン4匹に襲われたら、被害が大きい。


 飛び上がったワイバーンが、天井の穴から出ようとした時、壁にぶち当たる。

 一緒に来ていた神官が壁で穴を塞いだのだ。


 フェンメットさんと目が合う。

 これで隠れている意味がなくなった、殺るしかない。


「キュー、ワイバーンを落とせ。

 神官達も抑えつけろ、他は攻撃、突っ込むぞ」


 フェンメットさんの指示で、全員が攻撃態勢に入る。


 もう1匹の魔物に動きがない。

 まずは、キューさんが落とした4匹のワイバーンを倒すため走りだした。


「アイス・アロー」


 最初に落ちてきた1匹の右の翼を凍らせる。

 すぐに溶けるが、その間に誰かがとどめを刺すだろう。


 俺は近くに落ちてきた奴に駆け寄る。

 軍馬から、飛び降りる反動をそのまま使い、首を切る。

 ワイバーンは硬いが、この剣で切れないものはない。


 俺が凍らせたのをトゥールさんが突撃で仕留め、もう1匹をフェンメットさん達が取り囲んでいる。

 まだ生きているが、先に翼を切り裂いている、もうここから飛び立つことはできない。


 もう1匹に手間取っている、翼を傷つけてはいるがあれでは足りない。

 炎を吐かれ近くに寄れないでいる。


「アイス・アロー」


 俺の矢は、ワイバーンに当たる前に吹き飛ばされた。

 あの魔物が邪魔をしたのだ。


「楽シイゾ、楽シイゾ。

 人ョ、モット楽シマセテクレ。

 200年同ジことヲ繰リ返シ、飽キ飽キシテイタ」


「お前は何だ、ここで何をしていたんだ」


 フェンメットさんは期待しないで聞いた。

 体制を整えるための時間稼ぎだ。


「我ハ、魔王軍ケフロチュウイ。

 見テノトオリ、人ニ災イヲバラマイテイタ」


 答えている、こいつは馬鹿か。

 違うな、俺たちを全滅させる自信があるのだ。


 あのワイバーンが災いなら、何をしていたかは想像できる。

 どうやったか知らないが、あの4匹のワイバーンはいきなり生まれでてきた。

 この下で魔物を作っている。

 他の魔物もここで生み出していると思っていい、いくら倒しても魔物が減らないはずだ。


 バアァァーーーー!

 生き残っていたワイバーンが叫びを上げて飛び上がる。


 同時にケフロチュウイがキューさんの前に飛んだ。

 早い!


「邪魔ハサセナイ」


 右手の1つで、キューさんを掴もうとする。


「ファイヤー・アロー」


 魔物は空いている左手を広げ、俺のファイヤー・アローを受ける。

 小さな爆発が起きたが、それだけだ。


 ワイバーンが外に出てしまった。


(ピノ!)


<リーシェさんに連絡済。

 ビチュレイリワも狙っています、心配はいらない。

 あいつに集中して>


 ケフロチュウイは、キューさんを掴もうとする。

 させるか!

 数人で一斉に攻撃を仕掛ける。


 ケフロチュウイは、左の杖を上げると、強烈な光と共に爆風が起きる。

 膨大なマナを使っての無茶苦茶な攻撃だ。


 その風に耐えれなかった者は、吹き飛ばされた。

 耐えれた者も、目が見えない。

 だが認識能力のある俺には関係ない。


「ファイヤー・アロー」


 やはり手の平でかわされる。


 空いた手で、キューさんを掴むと立ち上がり、また左の杖を上げる。

 今度は真っ暗になり、マナを持っていかれる。

 気持ちを強く持っていないと、気絶しそうになる。


「今後は特別製だ。

 サンダー・シャベリン」


 俺は右手を高く上げ、その上に雷の槍を作る。


「面白イゾ」


「余裕だな。

 後で泣くなよ」


 右手を振り下ろし、槍をケフロチュウイに投げつける。

 顔に当たる瞬間、槍は握り止められてしまった。


 ケフロチュウイが笑う。

 笑ったその顔が跳ね上がる。

 見えない矢が顔を直撃した、俺はどこにでも矢を生み出せる。

 槍は手を封じるために、投げたのだ。


「キャー」


 キューさんの救出に成功した。


「キューさん離れろ」


「オノレ、人間」


 今度は左の杖を上げた。

 なにか来るか身構えると、今度は杖から多数の光の線が放たれた。

 目標は俺だけじゃない、まわりじゅうだ。

 幸い死んだ人はいない、俺も交わし切れず3本の光を受けてしまった。


<少しの間、動けません>


 ピノが治療を始め、すぐに血が止まる。

 呼吸数回分は動けない。


「楽ニハ死ナセンゾ。

 ワハハハハハ」


 その笑い声は続かなかった。

 近づいていた、トゥールさんが突撃をかける。

 俺の攻撃で奴の目が潰れていて、死角になっていたのが幸いした。


 ランスがケフロチュウイの胸に、深く突き刺さっている。

 トゥールさんは逃げ切れずに捕まっている。


「許サン」


 ケフロチュウイはトゥールさんを引き寄せ、まがまがしいマナを吐き出している。


<剣を魔物に向けて下さい>


 腕は動く、剣を奴に向けると細長く伸び、ケフロチュウイの額を貫いた。

 その攻撃で戦はいきなり終わった。

 俺の剣が魔石を貫いている、声も上げずにケフロチュウイは倒れた。

 剣は無理をさせたので、液体に戻る。


<もう、動いて大丈夫です>


 投げ出されたトゥールさんに駆け寄る、意識がない。


「お兄様」

 キューさんも来た。

 他に動ける人はいない。


 トゥールさんに外傷はない、ただマナがおかしい。


「呪われている!

 死んでしまう、しっかりして下さい、しっかり、お兄様」


 キューさんがヒステリックに叫びだす。

 トゥールさんのマナが魔物のものと混じっている、これが呪いか。


「キューさん落ち着いて下さい」


 キューさんが叫んでいても、何も変わらない。


「トゥールさんを助けるにはどうすればいいの」


「呪いを浄化しないと。

 高等な神聖魔法、私にはできない」


「なら倒れてる他の神官を治癒して、できるか聞いて。

 彼等はキューさんより、治癒系の神聖魔法は得意なはず」


 言い終わる前に、キューさんが走ってゆく。

 慌てて忘れているが俺もマナを変えれる、ただしかなり強引にだ。

 今のトゥールさんのマナを俺の方法で変えると、良くて記憶を飛ばして別人に、悪ければ廃人になってしまう。


(ピノ、トゥールさんの痛み抑えられない)


<神経系を遮断して強制的に眠らせれば可能ですが>


(頼む!)


 腰に下げた水筒を取り出す、中にはピノの仲間が入っている。


[彼にナノマシンのインストールはできませんよ]


(なぜ。

 トゥールさんから許可貰えばいいんだろう)


 まだ意識がある、返事くらいはできるはずだ。


[リーシェさんの時に使った法は、同性の所有を考えられていません。

 その時、現地に合わせ暫定で作成されたものですから]


 キューさんが戻って来た。


「誰も浄化ができない」


 トゥールさんにすがりついて泣き始めた。


「お兄様、お兄様」


「な泣くなキュー」


「お兄様」

「トゥールさん、気がついた」


「何も見えない、夜なのか」


「死なないでお兄様」


「泣くなって言ってるだろう。

 家はお前に任せる、あのバカ弟は戻らないだろうからな。

 頼むぞ」


「いや、お兄様行かないで」


「何処にも行かない、ずっとお前のそばにいる。

 俺はお前の物だ、ずっと一緒さ」


 またトゥールさんの意識が切れた。


(ビチュレイリワ!)


[条件がそろいました。

 キューさんを、ヨガのものにして下さい]

2人目ゲット!


一応キーワードに「ハーレム?」を入れているので、女性は増える予定です

?は付いてましすが

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