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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
2章
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2-4.リーダー決定

前回あらすじ

放牧地なにかいます

「1頭やられた」

 翌朝、被害のあった場所を受け持っていたパーティーが、悔しそうにしている。


 俺は彼らの、上空も監視していた。

 なにもいなかったはずだ。


「見落とすなんて、思っているより小さいのか」

 ギリシミロウは、かなり大きい。

 人を連れ去れる大きさだ、見逃すとは思えない。


 まわりを見渡す。

 放牧地は、いくつかに分けられている。

 生まれた時期が近いものが、1つの場所に集められている。

 肉にする時に、手間をかけないためだろう。


 堀を掘って水を通して、仕切っている。

 水飲み場にもなっているようだ。


「ヨガ見て」


 リーシェさんがなにか見つけてた、行ってみる。

 近くに行ってみると、短く引きずった跡がある。


「ここが、さらわれた現場って事か」


 引きずられた跡から考えて。


「こっちから来たか、こっちへ連れ去ったか」


 他の冒険者も、来ている。

「ほぼ真ん中でか。

 隅のほうだと、思ってたんだがな」


 やっぱり俺が思いつくことは、他の人も思いつくか。


「足跡は、なかったか。

 空でなければ、水の中からとも考えられる。

 水路から何かが上がってきているのか、引き込んでいるとか」


 ここを受け持っていた冒険者に、一応聞いてみた。


「なかったな。

 そんなのがあれば、俺たちの前に男爵が気づいていただろうし」


 流石に、そこは調べている。


(ピノ、わかってんだろう?)


<危険な状態ではありません>


 基本ピノ達は俺が危険でない場合は、教えてくれない。

 俺の能力は強化されているので、その力を使って解決しろというのだろう。


 放牧地は、地形を利用した作りになっている。

 だいたい1つの丘が、1つの放牧地に仕切られている。


 ここは、放牧地のほぼ真ん中で、坂になっている場所だ。

 攫われた猪の大きさは、俺がやっと抱えられる程度。

 普通の肉食性の鳥では無理だろうな。


 坂の下には、ため池が見える。

 川の水量の、調整用だろう。


「昨日、ごちそうになったスープの魚は、あそこで獲ったものか」


 使用人の一人だろう、老人が1人で釣りをしている。

 力仕事以外を、回してもらっているのだろう。


 釣り!


 そうか、そいつなら可能だ。

 ため池に走る。

 認識能力が、池の中の魔物を見つけた。


<当たりです>


 教えろよ。

 でも思っていたより小さい。


「おい、何を見つけた」


 俺が急に走りだしたので、何かを見つけたと思ったのだろう。

 全員がついて来た。


「もしかと思って。

 リーシェさん、池の水で渦を起こせる」


「できると思うけど」


「さっきも言ったが、池も一応見たぞ。

 池から何か出てきた跡は、見当たらなかった」


「池から出てきていないと思っている。

 たぶん、そいつは池の中から襲っている」


 リーシェさんが池のふちに手を入れて、精霊に頼む。

 徐々に、水面が波立って渦巻き始めた。

 認識能力で確認しているが、そいつは泳ぎが得意でないらしい。

 水の流れと一緒に回っている。そのうち出てくるだろう。


 男爵が来た。

 誰かが、呼んだのだろう。


「何かわかったか」


「かも、知れません。

 もう少しお待ち下さい」


 流れにまかせ、浮いてきた。

 水面に上がったところで

「サンダーアロー」

 本当は、叫ばなくともいいんだけど。


 わざと外した。

 着水した瞬間、雷が走る。

 サンダーアローは、つらぬくより雷撃を与える魔法だ。

 渦が止まっても、そいつは水面に浮かんでいる。


「リーシェさん、それこっちに持ってきてくれません」


「水の友たちよ、お願い」


 引き上げてみると、まだそいつは生きていた。


「なんだ、これ」

 俺が、思っていたのとは違った。


 大きな口のある丸い顔と、それにつながるヒレのある尻尾。

 小さい手足が見える。

 頭と尻尾を入れると、俺の高さを超える。


「こいつを、知っていたのではないのか」


「いいえ、フローデフ卿。

 俺は、ゼルフルだと思っていたのです」


「でも、これは違うね」

 さすが元冒険者、巨大カエルのゼルフルは知っている。


「はい、違いますね」


 俺は小さめのゼルフルが、犯人だと思っていた。


「いいや、ゼルフルかも知れねえぞ。

 そいつの口から出てる舌見てみろよ」

 一緒に見ていた冒険者が指摘する。


 脱力しているそいつは口が開いて、舌が出ている。

 長い。


 こいつは、この舌を伸ばして、池から放牧地の猪を襲っていたんだろう。

 池の中から釣りをしていたようなものだ。


「でも、全然かたち違うな。

 誰か知ってますか」


 周りの冒険者に聞いている。

 誰も知らない。

 こいつの事は、ギルドの壁には貼ってなかった。


「幼体かもしれないな。

 なら、せっかく生きているんだ、早くギルドへ持っていけ。

 追加報酬が、もらえるかもしれねえぞ」


 ギルドは、知られていない優良な情報を教えると、報酬をくれる。

 知られていない魔物の情報なら、その可能性は高いだろう。


「だから、こっちは俺たちにまわせ」


 今までの被害から考えると、犯人はこいつ1匹だけということはない。

 他のは、討伐させろというのだろう。


「よかろう、緊急依頼する。

 1匹300テルでどうだ」


 さすが元冒険者、何を言われたのかがわかっている


「無駄働きにはならずに済みそうだ」


 冒険者はギルドを通してしか、依頼を受けれない。

 ただし、その場で対処しなければならない場合は、後からギルドに依頼と完了を報告してもいい。

 事前に調査をしていないので、依頼成功のポイントは付かないが手数料は取らない。


「ヨガ君、君たちに馬車を貸そう。

 今日は出荷していないから、あったはずだ。

 急いで行けば、そいつを生きたまま持っていけるだろう」


 男爵は俺たちに馬車を貸してくれた。



 戻る馬車の中で

「なんで、フローデフ卿は、俺たちに親切にしてくださるんです」

 気になったので、御者に聞いてみた。


「実は今、大奥様の甥御様が冒険者として、4つ星を目指しております」


「俺と同じだな」

 とトゥールさん。


「ギルドにいい顔したいの?」


「はい。

 具体的に何かをしていただける事はないのですが、気にかけてくださるそうです」


 さすが、元冒険者、そして繋ぎ男爵。

 気配りの人だ。


「そう言えば、他の騎士の方をお見かけしませんでしたが。


 どこかに出ていたのですか。

 冒険者に頼んだのが、なぜかと思いまして」


 リーシェさんがそう聞いた時、トゥールさんとキューさんの顔が曇った。


「今は、騎士はおられません。

 先の遠征の時に、若様と4名の騎士が参加したのですが。

 誰もお戻りにならなかったのです」


 まずい事を聞いてしまった。


「ヨガ。

 繋ぎで男爵をされているかたは、自分が家を守っている間は、騎士を増やさないもんだよ。

 騎士の忠誠は、最初自分に向けられてしまう。

 次の当主がやりやすいよう、そんな人は増やさないようにしているのさ」

 トゥールさんが教えてくれる。


「それからヨガ。

 パーティー・リーダーはお前でいい」


「トゥールさん、それでいいの」


「あぁ、

 今回の件も、俺は空からきたやつを見逃していたのだろうとしか、考えていなかった。

 水の中に、こんなやつがいるとは思いもしなかった。


 だが、ヨガもこいつは知らなかったが、可能性を考え正解にたどり着いている。

 俺は、考え方が硬いらしい。

 そんな俺がリーダーになってしまったら、みんなが危険になってしまう」


 空からの襲撃を除外して考えられたのは、それを知っていたからだけどね。


「キューさんもそれでいい」


「お兄様がそれでよければ」

 と言ってくれたが、顔が全然納得していない。


「じゃ正式にパーティーを組むで、いいのね。

 なら、報酬の分配方法とか、貴重な素材をどうするとか、最初に決めてたほうがいい」


 さすが、リーシェさん。


「一緒のパーティーになったのなら、俺たちいる宿に来ないか。

 キューいいだろう」


「はい」


「家賃は、すでに半年分前払いしているから問題ない。

 寝室が2部屋あって、1つの部屋には4人が寝れる。

 今はキューと分けて使っているが、俺たちは一緒の部屋でいい。

 空いた部屋に入ってくれ」


「なんで、そうなる。

 俺がトゥールさんの部屋に行くよ」


「え、いいのヨガ」


「何が」

 トゥールさんは、今度はリーシェさんを見る。


「それでいいです。

 キューさんは私が一緒ではいや?」


 キューさんは首を振って、否定してた。

 大丈夫らしい。


「すまないヨガ。

 俺は勘違いをしていた」


 トゥールさんが頭を下げた。

 だから、何がだよ。


「ヨガを、小さな子が好きな、変態だと思っていたのよ」

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