35話 作戦会議 その3
「ターゲットである みう ヒロ エリカ の3名 港街ラァツェイにある本人たちの屋敷にいることを確認しております」
ガジャは神妙な面持ちで翼に報告をする。
「ボクに対して警戒している様子はありますか?」
「いえ そのような動きは一切ございません」
「なら 早いところ 乗り込んだ方がいいね」
「ガジャよ その屋敷と3名のターゲットについて詳しく説明しろ まずは屋敷の防衛対策に関してじゃ」
「屋敷への転移及び魔法の使用は出来なくなっており 加えて侵入者を感知する魔法もかけられています ただ どれもレベルは低いものなので簡単に無力化が可能です 現に私は相手にバレずに 屋敷に監視魔法を数ヶ所仕掛けることに成功しています」
ジョンさんの時のように『実はバレてました』ということはないよね?まぁ、今回は監視されてるのを放置するメリットがないから大丈夫だとは思うけど・・・
「無力化にかかる時間はどのくらいかの?」
「3分程度で可能です その時点で相手側にバレますが」
「お主は魔法で何人まで転移できるかい?」
「3人が限度です」
「私を連れてってもらえれば 100人だろうが 1000人だろうが何人居たとしても 一瞬で転移させちゃうことができるよ〜!」
テスタロッテが自慢げに話しに入ってきた。
「ならば数で屋敷を包囲するこが可能じゃの カーリー将軍よ この子に転移してもらった場合 直ぐに動かすことができる兵士はどのくらいおる? 」
「2千といったところだな」
「うちの宮廷魔術師からは100人出せるから 合わせて2100人かの 流石に急過ぎて あまり動かせんか・・・」
「大まかに作戦を説明するぞ まずワシとガジャとテスタロッテの3名が屋敷の近くに転移する そしてガジャが屋敷の防衛システムを無効化する その間に テスタロッテが全員を屋敷の前に転送 宮廷魔術師50名を含む2000名が屋敷を包囲 残りの100名がワシらと共に突撃 どうじゃ なにか質問あるかな?」
「屋敷の防衛システムを無力化すると相手に気づかれるんだよね? 気づいた時点で転移魔法を使われて逃げられちゃったりしないの?」
「それを防ぐために ワシはガジャが防衛システムを無力化したと同時に 屋敷の中で敵が魔法を使えなくなる魔法フィールドを構築するから大丈夫じゃよ これは味方は魔法が使えるが敵は魔法が使えなくなるという優れものでのう 凄いじゃろ♪」
「そんなことができるんだ でもさ ボクと同じように魔法を使えなくしても使われちゃうことはないの?」
「それは絶対に有り得ません 相手は神の使徒である貴女様とは違います」
ボクは実際には神の使徒ではない。そしてみう達もボクと同じ転生者で神様に会っているはずだ。何かしらの力を持っていると考えた方がいい。だけどそれを説明する訳にはいかない。困ったな・・・
「そもそも 3人の能力は決して高くはありません その能力に関して分かる範囲で説明させていただきますと みうは回復魔法が得意の魔術師でエリカは身体の強化魔法を使う剣士です ただ2人とも能力的には我が国の一般的な兵士より低いと思われます ヒロに至っては魔法も剣術も使えないようです 転移魔法のような高度な魔法は系統も違いますし まず使えないでしょう」
そんなハズはないよ。そんなに弱いなんて有り得ない。たぶん以前のボクのように力を覚醒させる前なんだろう。そんなことは無いと決めつけているようだと信頼できないな。
「いや ボクは一度 捕まってる 油断はしないで欲しい みう達は何かしらの力を隠していると思った方がいい 今 魔法を使えなくても 何かの拍子で使えるようになるかもしれない ボクはそうだった 追い詰められた時に急に強力な魔法を使えるようになった きっと同じ事が起きるよ お願いだから警戒してッ!」
「ご心配は無用です 私は目がみえませんからその分 相手の気や魔力を捉える力に長けております 3人の魔力の保有量はいたって平均的なものです 貴女様とは違います 貴女様は量も質も桁が違う魔力を持っておられる それはまさに神の使徒にふさわしいものでございます 魔力の量は急に増えたりは致しません 万が一に新しい魔法を使えるようになったとしても 脅威になるような強力な魔法は使えませんよ」
やっぱりダメだこの人・・・いつもの事だけど話が通じない。やっぱりボクが自分の力でなんとかしなければならないな。
「あとは・・・ みう達以外で敵側で戦力になる人はいますか?」
「屋敷にいるのはその3人以外ですと執事とメイドだけです その者達は魔法は一切つかえません 戦闘になればなんの役にもたたないでしょう」
強くてカッコいい執事やメイドは漫画やアニメの世界ということなのね。そりゃあそうか。
「ボクもみなさんと一緒に突入します 異論は認めません これはあくまでもボクの戦いです ボクの手で決着をつけさせて下さい お願いします」
ボクはみんなの前でペコリと頭を下げた。
「本当にいくのかい?」
「うん ゴメンなさい でもこれだけは譲れません」
「わかった 全力でお主を守ろう 皆のもの 白き魔女の盾となり そして 勝利を捧げるのじゃあああ・・・!!!」
周りが歓声に包まれる。みんな興奮していてなんか少し異様な雰囲気だ。こういう感じはあまり好きじゃない。もちろん協力してくれるのは嬉しいし心強いけど、なんか不安になってしまう。いや、よそう。今は復讐することだけを考えるんだ。




