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この恋に殉ずる  作者: 冷暖房完備
お付き合いちゅ
32/55

No.12 これを使うなら…

恋人ごっこ、きっとお前より俺の方が楽しんでるんだろうな…


新垣さんの呟きを反復する。

そうか…無理矢理 付き合わせてると思ってたけど楽しんでくれてたんだ。


「まぁいいや。それよりさ、筑前煮おかわりないの?」

「ありますよ!!」

勢いよく立ち上がる。

美味しかったのかな〜、やった〜!!

「今日の味付け、ビールに合いそうだな」

ビール!!

ぼそりと呟きしたね?聞き逃しませんでしたよ?

私は、冷蔵庫からよく冷えたビールを差し出す。

「どうぞ」

するとビックリしたのか新垣さんが固まった。

ん?

「お前、これ買ってきたの?」

「いえ、夏樹…友達が新垣さん来るって言ったら持ってきてくれて」

「夏樹?ああ、辰吉さんの彼女か…」

悪そうな…て、声は聞き流しますね。

夏樹は茶髪で派手な顔してるけど真面目なんだよ〜。

「お父さんの晩酌用のを くすねて来てくれたんですよ」

「…これ第3のビールじゃないぞ?親父さん泣くな…」

ん?ビールに2や3があるのか?

不思議に思っていると、恭しくプルタブを外しグラスに注いだ。

「プハ〜!!やっぱ本物のビールは旨いっ!!」

ん?ビールに偽物や本物があるのか?

いまいち よく分からないけど、新垣さんは上機嫌に缶を開けていく。

そして、残り一本というとこで、

「ああ!!しまった!!」

と叫んだ。


…ビ、ビックリした。

「ど、どうしたんですか?」

がっくし肩を落とす新垣さんに恐る恐る声をかける。

「飲酒運転…」

「ああ!!」

すでに5本飲んでしまっている。

「あれは?あれあれ!!車ごと家に送ってくれるってやつ!!」

「代行運転か?無理、給料前で金がない」

10日払いの会社ですからね〜(泣)

私もないです〜(泣)

「あ、歩いて帰ります?」

「車で30分のとこに?」

そ、それは歩きだと何時間かかるんッスか〜(泣)

「じゃ、じゃあ…泊まります?」

「…………」

で、ですよね〜(泣)

無言の視線が怖いですよ〜!!

「お前に怒ってもしゃあないな。俺が迂闊だった」

そそ!!

車で来たの忘れてたんですからね!!

「…とりあえず今度お前の友達とゆっくり話がしたいがな」

ぎゃ〜!!

夏樹 逃げて〜(泣)

「そ、それより、もう おかわりは?い、いらないなら片つけちゃいますね!?」

カチャカチャと食器を重ねて流しに持っていく。

「あ、ごちそうさん。旨かったよ」

そう言って新垣さんも食器を持って立ち上がる。

「あ、そのままにしといてください。私が片つけますから」

「そういう訳にもいかん。一宿一飯の恩返しに洗わせろ」


一宿一飯…?


「んだよ、その顔。まさか、こんな夜更けに外に放り出す気か?」

「い、いえいえ!!」

わ、わ〜(泣)

夏樹の思惑通りにコトが進んでるぞ〜(泣)

ドキドキしながら、食器を洗いに近寄ってくる新垣さんを見つめた。

半ば諦めモードの視線がピタリと何かに釘付けになり、固まった。

ん?


コ、コ、コ、コンドーム!!


「神楽!!あの女を今すぐ呼べっ!!」

ぎゃ〜!!

「ち、違うんです!!ち、ち、ちょっと置いてあるだけで、そ、そうなんです!!置物なんです!!」

「んな訳あるか〜!!」

ぎゃ〜!!

ですよね〜(泣)

「こっちが中坊の恋愛だって言ってんのに バカ女たちは裏で何やってんだ!!」

「な、夏樹は悪くないです!!わ、私が…」

「ゴムくれって言ったのか?」

「言うかっ!!」

あ…。

しばしの沈黙…。

「こういうのは、ちゃんと好きな人としろ!!こんな騙しうちみたいに する事じゃない」

大きなため息。

落ち着けようと話してくれたんだろうな。

でも…。


「新垣さんの言うことが正しいなら…これを使うのは、やっぱり今日かもしれませんね」



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