No.11 大事なもの
ピンポ〜ン
「お、おかえりなさい!!」
「…ただいま」
私の無茶ブリのお迎えに、ちょっと苦笑しながら新垣さんが答えてくれた。
「お風呂にします?ゴハンにします?それとも…」
ポカッ!!
「ぎゃっ!!痛い!!」
「いらん事ばっか覚えやがって」
だって〜。やってみたかったんだもん(泣)
新垣さんのスーツの上着をハンガーにかけて、エプロンつけて仕上げにとりかかる。
筑前煮は二日かけて炊きあげたからイイ色になってるし、ホウレン草のおひたしも 卯の花も上手に仕上がっている。
それを小鉢に盛って、お麩と三つ葉の簡単お吸い物を添えれば完成!!
「ゴハンは大盛りで良かったですか?」
新垣さんの目を見て聞くと、パッと視線をそらされた。
な、なんでよ〜(泣)
私また何かやったんか〜(泣)
「エプロンやべ〜な…」
何気に頬が赤い。
「いつものエプロンですけど!?」
気づいてなかったのかと、少し投げやりに言う。
いつも お気に入りが見つかると同じのを洗い替えも合わせて二、三枚購入するのだ。
「見慣れてますよね?」
「いや、まぁ。…うん」
なんなんだ?歯切れが悪いな…。
こういう時の新垣さんは爆弾発言の予兆なんだよね〜(泣)
嫌だな〜。
「新垣さん!!はっきり言ってください!!」
バッサリ切ってくれ!!
「…かエプロンみたいだなと思って」
「はいっ!?」
聞こえん!!
「裸エプロンみたいに見えるんだよ!!」
「ええぇ!?服ちゃんと着てますよ!!」
キャミソールとショートパンツだけど。
「服がエプロンに隠れて見えね〜」
ぎゃ〜!!
「変態っ!!」
「男は皆 変態なんだよ!!」
ぎゃ〜(泣)
開きなおった〜(泣)
「だいたいな!!そんな格好で男を部屋に誘ったら間違いなくヤられるぞ!?」
「ええ!?私そんなつもりじゃ…」
今日は残暑も厳しくて暑かったし、風呂上がりに 夏樹からの爆弾発言で熱が引かなくて身軽な服装のままだった。
裸エプロン…
ちゃんと服は着てたけど、新垣さんの中ではアタシは素っ裸だったんだ…。
そう意識したら、カ〜と全身から汗が吹き出した。
熱い、熱いよ〜(泣)
チラリと見れば、新垣さんの顔もさっきとは比べられないくらい赤い。
「な、なんか変な空気なってきたな…」
「で、ですね。あ、ゴハン!!ゴハン食べましょう!!」
「お、おう!!」
カチャカチャと食器の音が響く。
む、無言〜(泣)
ゴハンで場の空気を変えたはずなのに変わってませ〜ん(泣)
え〜ん!!
いつもなら新垣さんがアホって突っ込んで終わるのに、なんでかモクモクと食べてんだよね〜(泣)
どうした、新垣!!
今こそ、君の鬼畜オレ様発言の出番だぞ〜(泣)
と、心の中で叫んでる声が届いたのか、新垣さんが顔をあげた。
「お前といるとさ…。中坊ん時の恋愛 思い出すわ。まぁあん時は好奇心のが先にたってて、もっとギラギラしてたけどな。なんか、通りすぎて見落とした大事なもんを取り戻してるのかな?って思う」
懐かしそうに遠くを見てる。
「恋人ごっこ…きっと、お前より俺の方が楽しんでるんだろうな」




