No.2 猛獣使いの称号
そういえば…。
「新垣さん、今日は何かあったんですか?」
「んあ?」
満足気に食後のお茶を飲んでますけど、さっき誰一人寄せ付けないくらいの黒いオーラ出してましたよね?
お腹いっぱいになったから機嫌直った?
て、子供か!!
「ああ…。ちょっとな」
あれ?
新垣さんが言葉をにごすって初めてじゃない?
「使い込みがバレたんですか?」
「…お前は、どうしても俺を犯罪者にしたいらしいな」
そ、そんな事はないですけどね(笑)
「大人には色々あんよ」
こ、これは、もしかして彼女と別れたとかかな?
「新垣さん、私で良ければ話ききますからね!!」
そう力説すると、心底嫌そうな目で見てきた。
な、なんだよ〜(泣)
「それより火傷の痕は残ってないか?大丈夫か?」
「ええっと。あんま、見てないけど大丈夫だと思います…」
「見てね〜のかよ。それでも女か!!」
「ええ!?いや、だって見にくいし…」
首痛くなるし。
「なら、俺が見てやろうか?」
「訴えますよ?マジで」
「あははは。なんかセクハラネタが定着してきたな」
愉快そうに笑ってますけど、これ絶対 人聞き悪いですよ?
「お前と話してると考え込んでるのがアホらしくなるな」
「どういう意味ですか!!」
「そういう意味だよ(笑)」
頭をガシガシ触って、新垣さんが立ち上がる。
「さぁて!!午後からも頑張りますかね〜」
ほんとにアホらしくなったのか不機嫌オーラもなくなり、いつもの新垣さんらしく黒い発言を繰り返していた。
ん?
これって、さっきとどこが変わった?
「神楽ちゃん、ありがとね〜」
「さすが神楽ちゃんだ〜」
調理場に戻るなりオバチャンたちに お礼を言われた。
「何がですか?」
「新垣さんとランチしてくれたでしょ?機嫌直ったみたいで良かったわ〜」
「ね〜!!神楽ちゃんと話したら機嫌直るはずって話してたのよね〜」
「ええ!?」
おかしいと思ったんだよ!!
いつも2時くらいに昼休憩なのに今日は いきなり行けって言われたから!!
「私は生け贄ですか!!」
「そんな事ないわよ〜」
「でも、また何かあったら よろしくね〜」
ええ!?(泣)
「てな事があったんだけど、どう思う!?」
今日は塾帰りの夏樹と待ち合わせて、私の家でお泊まり会。
一緒にキッチンに立ちながら、今日あった事をツラツラ話す。
「猛獣使いの称号をもらえて、レベルが上がったな」
「そんなもん、いらん!!」
「でもまぁ彼女と何かあったのは確かだね〜」
「だよね!!」
「まずは胃袋を掴めって言うから、とりあえず豪華な弁当でも作ってみたら?」
「弁当かぁぁ。でもさ、あなたのためです感が出すぎたら引かれない?」
「いやたぶん大丈夫。あんたらの関係に色っぽい雰囲気なんて皆無だから!!」
「そ、そこは、これから何とかする!!」
「てかさ、アタシも一度その新垣さん見に行こうかな〜」
レタスちぎりながら夏樹が言う。
「まじで?」
「うん。最近デートもマンネリで行くとこなかったからさ〜」
「おお!!辰吉さんと来るのか!!いいね、それ」
久々に会うわ〜。
夏樹の彼氏は30歳のバツイチさん。
共通の趣味のサーフィンがきっかけで付き合い出した。
「お互い年上趣味だからな〜。夏樹も惚れちゃったら困るな〜」
「いや、それ絶対ないから!!」
すごい顔で全否定された。
…そっかぁ、辰吉さん大好きなんだな〜(笑)