表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/132

第95話 馬車に乗って✿到着『ラセール砂漠』

メリークリスマスイブ!

ということで、3話投稿してみました。素敵なクリスマスを♪

― ☘

 移動手段が確保されているという『貴族パワー』が、この試験で使えるとは思っていなかったリンデンが、腰が砕けて崩れ落ちる姿を見て、マーガレットが笑う。


「ふふふ。あら、ご存じなかったのでしたか? お母様との約束事で、執事はこちらの質問には何も答えてくれませんわ。でも、指示をすれば動いてくれますの。」


「えー、それ知らなかったんだー。へーへー。私は知っていたけどね!」


 と、フリージアが嬉しそうにどや顔をしてくるのだが、昨日マーガレットの家で、会釈をした程度しか顔を合わせていない執事のことなんてリンデンは知る由もない。


 ましてや、その執事とマーガレットとの『取り決め事』なんて、分かりっこないことであって「理不尽です!!!」とリンデンは思う。



 ✿ ✿ ✿

― ☘

「お嬢様お待たせいたしました。」

 数分後、リンデンが名前すら知らないと思った執事マーカスが、時期を見図ったようなタイミングでカフェに現れる。


「ありがとう、マーカス。」

 当たり前というようにマーガレットがマーカスに言い、行き先を伝える。


― ☘

「ここから南にある『南の町アサールム』に向かって下さいな。」

「はっ、かしこまりました。」


「では皆様、馬車へ。」

 と、マーカスは『マルガリーテス家』の紋章が銀色に光る馬車……ではなく、少しだけ整った普通の馬車に一同をエスコートする。


 ✿


―——パカパカ、パカパカ、パカパカパカ

 馬車は、一行を乗せて南の町アサールムを目指す。


 星祭りをした日に迎えに来た高貴な馬車とは違い、普通の乗合馬車に柔らかいシートを設えただけであろう荷台は、エヴァにとっては居心地の良いものであった。


 世界樹の迷宮に父を探しに行く―——。

 その夢とは別に、このような町と町を馬車で移動しながら旅をする。

 そんな、冒険者のようなことも、彼女が夢見ていたことのひとつ。

 

― ☘

 予想の通り、ワイワイガヤガヤとする荷台内ではあったが、初代「メモ係」として、エヴァはリンデンに図書館で調べたことについて声を掛ける。


「リンデン、行き成りの「メモ係」だったけど、どう?」


「あ、はい。正直エヴァさんのメモの取り方には感心しました。なので、それに負けないように工夫して頑張りますので、喜んで任されます。」


「良かったー。それでね、あの本から得た情報を改めて確認したいなーって。」

「ええ、ならば有益だなと思ったところを中心に―——。」


 エヴァの呼びかけに、改めてチーム4名が話の輪を作る。


― ☘

◆ リンデンが、あの本で特に良い情報だなと思ったのは、次の通りであった。

・『地図について』

 →詳細ではないが、特徴を捉えた分かりやすい地図が書かれていたこと。


・『魔物の分布図について』

 →出現する魔物の分布図とその注意点が示されていたこと。


・『ダンジョン『アリの穴』について』

 →入口は確認されているだけで5か所、それが「横穴」で繋がっている。

  深層階層は5階層、1階層でも世界樹の迷宮中層程度の難易度である。


 ◇


 あの本から得た情報としては、大まかにはこの3点で、それとは別に『ジャイアントレッドスコーピオン』の特徴についてを調べている。


 その情報をリンデンはまとめ、今回の決め事を作る。

― ☘

『アリ穴ダンジョンには、入らない・近づかない。『ジャイアントレッドスコーピオン』を砂漠の最奥まで求めに行かない。』


 と、単純明快。

 彼女達が変な好奇心を抱かないような決め事とした。


― ☘

(やはり、気になるのは『アリ穴』……奴等が仕掛けて来そうな場所ですものね。)


 街道沿いの砂漠の入口付近にも『アリ穴』の入口があるのを見ながら、リンデンは考える。


(そう考えると、ギルドの納品場所である簡易コテージも、敢て、街道沿いの分かりやすい場所に設置してきそうですね。)


 後は、『ジャイアントレッドスコーピオン』が効率よく人数分見つかるかどうか、であったが……。

 そこは今考えても仕方がないと、リンデンは仮眠を取ることにする―――。


 昨日、寝つきが悪かったことと、そして、この移動手段の快適さが、彼の瞼の重みを耐え切れないものにしていた。


 その、リンデンの仮眠は、エヴァ達にも伝染していく。


 パカパカ、パカパカ、と規則的に揺れる馬車の揺れが気持ちよく、すーすーすーと聞こえてくるリンデンの小さな寝息は、彼女達を夢の中に誘って行く。



 ✿ ✿ ✿


 そして、時間は、そのままゆっくりと過ぎていき……。

 マーカスが町に着く少し手前で、彼女達を起こす。


「お嬢様方。そろそろ町に御座います。」

 その言葉に、眠気眼を擦るチーム『大空グランシエル』の4人。


 目を開け移る景色は、背の低い植物が疎に生えた岩肌茶褐色の谷。

 前面、谷を抜けた向こうに見える、壁に囲まれた『南の町アサールム』。


 王都とは違った土壁主体の建物が織りなす町並みに心躍る一行であったが、観光で来たのではないと気持ちを引き締め、ここでは、軽いランチと飲み物の確保だけをして、そそくさと町を出る。


―――それから30分程度進んだであろうか。


 再び馬車に揺られ辿り着いたのは、先程まで世界を圧巻していた茶褐色の岩肌すらなくなり、辺り一面、「砂」、「砂」、「砂」―――の、砂漠地帯。


― ☘

 そう、ここが今回の試験会場、『ラセール砂漠』。 


 その、ただただ、何もない広大な砂の世界のその入口は、「砂漠が大きく口を開けて、チーム『大空グランシエル』を砂の中に飲み込もうと待ち構えている」ようにリンデンには見えて、彼はゴクリと喉を鳴らすのであった。



―☘第7章:Fin ✿

===============☘

✿ 読者の皆様

これにて ✿ 第7章:昇格試験と裏側 ✿はおしまいです♪

お読みいただきまして、ありがとう☆ございます。

試験までのエヴァ達の動きと、その裏で繰り広げられる『ギルド』の闇を書いてみました。

次回からは、砂漠に到着したエヴァ達がさっそく突入です。

さて、彼女達はどんな事件に巻き込まれるのか……。 今後も宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ