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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
105/132

第105話 健気で無邪気な『笑い声』

「二度目の爆発?」

― ☘

 賊の手練れを拘束し、『華の蝶』御用達の媚薬を使い自白をさせていたフィオレが、たった今聞き出した「情報にない」大きな爆破に驚く。


 そもそも、「ひとつめ」の爆破自体が計画にない。

 それが、今回で二度目である。


「どうやら、こいつらの計画にないことが起きているのかしらね。」


 合流していたアリア直属『アリアウルフの糸』のひとりで幹部ぺスカの顔を見る。


「わからないの。でも、追い込んでいたモンスター達が今の爆破で一斉に爆破の反対側に逃げ出したの……。」


― ☘

「それって……面倒よね?」

「そうなの、ギルドのコテージの方向なの。」


「ぺスカ、『風耳』のじいさんに、このことを伝えてちょうだい。」

「わかったの。私達は表立って助けれないの。」


「そういうこと。」


(計画にない事態……。はぁ、エヴァちゃんがまた『やらかして』なければいいけど。しかし、(スター)『勇者』かぁ。)


― ☘

 実のところ、担当がセビオで、上役を巻き込みギルド長にですら、その (スター) を隠匿していたこの事実。


(この一件、『ビー・ディー』本体が、出しゃばって来そうね。)


 フィオレは、賊の手練れを『影縛りの牢獄』で拘束し砂山の影に沈める。


「出来るだけ間引くよ!」

 ぺスカにそう言うと、フィオレは影の中に紛れる。


「わたしも行くの。お前達、『ご飯』の時間は終わりなの。行くよ!」


 一心不乱に『食べている』彼女の眷属を一喝して、口元に鮮血を垂らす銀色の狼に乗り、彼女も砂塵の中へと颯爽と走り込んでいく。


 ✿


『ぴゅううううー。』

 ぺスカがマーガリス家の執事マーカスに放った鷹が、5分足らずで彼に情報を届ける。


(ふむ、『アリアウルフの糸』が危険を冒して、ここに情報を送るということは、緊急事態が拍車を掛けましたかな?)


 足に携えた手紙をサラリと読み、指を鳴らすと現れた炎でそれを焼く。


「ここ……を守れと言われましても。わたくしの最優先はマーガレットお嬢様なのですがね? 任せて大丈夫でございますよね? 『影縫い』のお嬢。」


 マーカスは、御者のウノに耳打ちをし、当面の指示を出すと、


― ☘

「面倒なのは、この場合ギルドの残りの面々と……か弱いE級の諸君で、ございましょうなぁ~。やれやれ。」


 マーカスは、肩と腰をとんとんとんーと、叩きながら、ギルドのコテージに落ち着いて、でも迅速に入っていく。



 ✿ ✿ ✿


「いたたたた……。」

「暗いですわねぇ。」

「どこよ、ここ?」


 砂の中に飲まれ、真っ暗な空間できょろきょろするエヴァ達3人娘。


『もも!』『カナリア!』『スノウ!』


 3人は、地割れに落ちるときに咄嗟に仕舞った3人の導きの妖精(ナビゲーター)を呼ぶ。


『えばー だいじぶ?』

 エヴァの『もも』が、お尻を打った彼女を心配そうに見る。


「ありがとー『もも』。大丈夫だよ! でも、暗いの明るくできる?」

 マーガレットとフリージアも同じお願いを導きの妖精(ナビゲーター)達にする。


『できるよー ぴかぴかあ』


 光が増す3人の導きの妖精(ナビゲーター)が照らすのは、横穴が幾重にも連なる洞窟。


― ☘ 

 広さは4mくらいだろうか、砂が強固に固まった壁が立ち上がり、高さ5m程度の所で不規則な天井を形成しているが、この広さなら剣を振るうには問題はなさそうだ。


 一方、マーガレットの弓は制約を受けそうである。

 「クインテットアロー」のような、円弧を描き広い範囲に射的するスキルは、恐らく使えない。


「みなさん。わたくし、ここでは直線の弓しか放てません。ご留意を。」

「ん、あっそっかー。了解だよー! 報告大事。リンデンメモ!」


― ☘

 ビシッと、エヴァが指を刺す場所に……リンデンが居ない!!


「エヴァの指危険……恰幅が消えた。」

 フリージアが、ジト目でエヴァを見る。


「ふぇええ! わたし「犯人は~」って言ってないもん!」

 口を尖がらせるエヴァなのであったが……。


「でも、本当に居ないねぇ?」 『ねえー。』

 と、『もも』と一緒に首を傾げる。


『ごぼごぼごぼ……』

 

 すると、その会話に反応したかのように、上の方から何やら「ごぼごぼ」と声のようなものが聞こえってくる。


「ふぇ? 何か上から?」

『ふええええ』


 エヴァが見上げ、『もも』が上に飛び上がり天井を詳細に照らす。


― ☘

「うわ、あれ! 天井に『ずんぐりむっくり』な足が!」

「本当ですわ! この洞窟の『モンスター』でしょうか!」

「『こわぁー』。気を抜いちゃだめだよ!」


 各々酷いことを言いながら、武器を構える3人娘であったが、導きの妖精(ナビゲーター)達がその足に近づくと、褐色の導きの妖精(ナビゲーター)『カスミ』が、無表情に顔を出す。


「あ、あれー? リンデンの『カスミ』だー。」

 そう、エヴァが叫ぶと、マーガレットとフリージアも目をごしごししながら、”ずんぐりむっくり” な足を見る。


「はぁ、うざい。」

 あの足がリンデンだと分かると、

 フリージアはオデコに手を当て大きく首を振る。


「あらあら、体格があだとなり挟まったのでしょうか。」


 マーガレットはそう言うと弓を構え、

 ノータイムで彼の周りの砂の天井目掛けて、乱れ撃つ。


『わ、わ、わあああああああああ。』


― ☘

 落ちてくるリンデン。

 それを、受け止めてあげようと努力する3人娘。


 そして、彼を受け止めようとするその瞬間―――!!!


「「「ん~~~~、無理?」」」

『『『むりー』』』


 一斉に差し出した手を仕舞う3人娘と3人の妖精。



「ひどいですよおおおお~~(どかん)」

 衝撃と同時に、地面に恰幅のよい人型の穴が掘られる。


「どんまい。恰幅、てへ。(棒読み)」

 フリージアが感情もなく謝ったそのとき。


― ☘

「ぷっ、ぶはははは~。何……何それ! 演芸? 漫談? ピエロでサーカス?」


 分岐した横穴の影から、

 大笑いをする、『健気で無邪気な男の子』の笑い声が聞こえて来たのであった。

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