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第10話 導きの妖精

「えっと……。私は、その『特S級新人』で合格ということで……。」

「うん。 合格。」


「それって、迷宮探索家フローターに……?」

「そ。 合格♪ 」


 頭を「うーん」と悩ませていたエヴァの顔が、「ぱぁ~」と赤みが差し、興奮をして喜びの言葉を口にする。


「やっっっったああぁあああ!!!」

 とっても簡単だけど、とっても素直な、嬉しい感情が籠った言葉。


 そんな、眩しいばかりのエヴァを見ているサーシャの表情は、エルザ達と同じ顔をしていることに、彼女はまだ、気が付いていないのだけれど……。 最近では、懐かしくなってしまった、澄んだ気持ちの心地よさに、身体は、ほんのりとした温もりを覚え、彼女は喜びと共にそれを実感していた。


 ✿


「はい、これ。」

 サーシャは、エヴァにエメラルドグリーンのカードを渡す。


「これが、私の『迷宮探索家フローターカード』……。」


「そそ。 あなたの血を一滴たらしてみて。そして発光が終わったら、あなたの左手に、そのカードを……」


「吸い込ませるんですよね!」


「知ってたか。 そうねよね。」

「はい! 何度も《《姐さん達のを》》見てますので♪」


 エヴァは、八重歯で親指を軽く噛み、渡されたカードに自分の血を一滴垂らす。

 すると、カードは緑色に発光しやがて治まっていく。


― ☘

 その光景を見ながら、嬉しくて笑みが抑えられない彼女は、恐れも憂いもなくそのカードを左手の甲に押し込む―――。


 一瞬、神経がぴりりとするような感覚を覚えるが、彼女は興奮で、その痺れを殆ど感じておらず、すぐさま、掌を上に向けて念じる。



――― 掌には小さな妖精 ☘

    生まれたばかりの可愛らしい桃のような妖精

    生まれたばかりの迷宮探索家フローターエヴァの

    生まれたばかりのナビゲーター



✿ ❀ ✿


 生まれた『桃色の妖精』は、一度きょろきょろと辺りを見渡し、羽を広げ飛ぼうとするも上手くいかない。


 それを可愛いらしいな。 と、エヴァは思う。

 何度も何度も頑張る妖精に、エヴァは人差し指で一度それを制し、「がんばれ!」を込めて頭を撫でる。


 妖精は、鼻から「ふん!」と一度息を吐き、エヴァを見てコクリと頷いた後、その羽を再び広げ、エヴァの掌から飛び立った―――!


―――― ―☘*


 エヴァの周りを、くるりと周り喜びを表す妖精に、感動の目をキラキラ輝かせたエヴァが両手を広げ迎える。 


 すると、妖精は一度エヴァのほっぺに「Chu-✿」とキスをして、彼女の肩にちょこんと腰かけた。


「おめでとう♪ エヴァちゃん、これであなたは、迷宮探索家フローターよ!」


― ☘

『母なる世界樹があなたを認めた! ようこそ世界樹の迷宮へ!』


 ✿


 導きの妖精(ナビゲーター)

 彼女・彼らは、世界樹の意思から生まれた導き手。


 彼女達が、迷宮探索家フローターの証で、身分証明となる。

 主人の掌に入れることができて、必要に応じて、カードと使い分けることが可能な不思議な世界樹の子。


― ☘

 彼女達は、冒険の光を照らし道を覚え、そして、貢献度を記録する。

 世界樹の迷宮の中でだけ発揮する、不思議な力。


 迷宮探索家フローターは、彼女達を使ってランクを識別でき、ランカーのランキングの一覧を見れる。


 そして、迷宮探索家フローターのLVに応じて、彼女達は、アイテムを閉まってくれる。――俗にいう、アイテムボックス機能。


― ☘

 それは、戦争からの復興のため盟約に従い、資源を与える迷宮となった世界樹からの、大きな大きな贈り物であった。



 ✿


「ん。 これで一通りの登録は終わったかな♪ それで、明日なんだけど――エヴァちゃん空いてる?」


 にこりと笑うサーシャンから、明日のお誘い。

 恐らくは、初めての迷宮探索家フローターとしてのお仕事だ。


「あっ! 空いていますう!」

 少しだけ緊張をして答えるエヴァ。


― ☘

「ふふ。 察しのとおりよ! ルイゼさん達に相談して、明日冒険できる装備を整えて、正午に私の処へ来てね! あなたの『特S級新人』パーティーを紹介するわ。」


「パーティー……。」

「あら? 怖気づいた?」


「ううん!逆です! 初めての仲間ーー!うれし楽しみーー!」

 

 ああ……また、このキラキラだ。

 私は多分、このキラキラに弱い。こんなにもときめいてしまうのだから。


 サーシャは、ほっそりとため息を付きながら、少しだけ口元を上げエヴァを見る。


― ☘

「OK!それじゃ明日ね。 それと宿題をひとつ。『特S級新人』を卒業するまでに、その導きの妖精(ナビゲーター)に名前を付けて挙げてね。」

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