第25話 ラダフントゥス王国(その2)とレンボ連合王国
広域魔法が炸裂?
ラダリア=パロールには、この建物の中で待っているように伝えた後、ラムシェンドとカートは建物を外に出た。よく見ると、この建物だけ、周囲より高い場所に建てられており、この建物から1本道のようなものがあるのが判る。がその道は途中で瘴気と思われる黒い霧に埋もれていた。
「私たちは大丈夫みたいだが・・・」
「先に広域魔法の効果を確認するべきニャ」
どこでプリフィケーションを使い始めるか相談しようとしたラムシェンドにカートは、ここで試してみるべきと回答したのである。
(確かに、その方がいいのか・・・)
何かあっても、とりあえず安全な建物に逃げ込めるここで試すことの意味を理解したラムシェンドであった。
「エリア プリフィケーション」
ラムシェンドは、込めれるだけの魔力を使って広域魔法にプリフィケーションを使ってみた。ラムシェンドの魔力がごっそり持っていかれる。
「ニャんと!凄いニャ」
カートの叫び声で自分が目をつぶっていたことを自覚したラムシェンドは、慌てて周囲を確認する。
(嘘だろ?)
何と、見える範囲全ての黒い霧が消滅していたのである。と同時に、硬直して以後かなくなっていた人々や動物も多数発見することになった。プリフィケーションを使えば、それらの人を回復することは出来るものの、
(原因・・・きっとここにも瘴気発生装置があるはず・・・これを破壊しないと解決しない)
「あそこが発生源だニャ」
カートが指さしたのは、城の最上階、そこからは、黒い霧が再び出ていたのである。
・・・
ラムシェンドとカートは、誰もいない城の中を最上階目指して進んでいく・・・。正確には硬直して動けなくなっている人は沢山いる中を煤で言ったのである。そして、最上階には予想通り黒い霧が出ている箱が有ったのである。
ラムシェンドは、部屋にあった窓を開けたのち、思いっきり箱を蹴り飛ばした。直後、カートから
「ファイヤーボール」
が放たれ、それは、城の外に出た箱に命中した。念のため、ウインドアローの準備をしていたラムシェンドだったが、カートの攻撃で箱は見事に爆散したのだった。
「“ファイヤーボール” でも大丈夫だニャ」
破壊出来るのを確認出来て満足顔のカートであった。
その後は、フヤ王国と同じことを数日かけて繰り返した。そして判明したことは、
(この国にも何者かが忍び込んで瘴気発生装置を持ち込んだということ)
手口は、フヤ王国を同じであった。
・・・
この国の国王始め、多くの人から感謝を受けたが、宴などは一切断り、瘴気の影響を除去して後に、ラムシェンドは国王に頼んで、転移門になっている座像のある建物を立ち入り禁止にしてもらった。もちろん、理由は・・・
「再び、この国に来なければならなくなったときに使いますので、しっかり警備してください。そして、だれもあの部屋に入れてはいけません」
ラムシェンドが語気を強めると、国王は大人しくなった。
(あの座像が転移門だと解ったら大変なことになってしまう・・・)
「では、さらばだ。」
そう言って座像のある部屋に入るラムシュンドとカート。ラダフントゥス王国の人はこの部屋には入れない。但し、ラダリア=パロールだけは例外にした。その彼にも
「座像に触れてはいけません」
ラムシェンドそう言って、ラダリア=パロールを睨む。ラダリア=パロールはひたすら首を縦に振るのだった。
他に誰も入ってこなかったのを確認してから、転移門でダンジョン地下5階に戻ると、瘴気封印装置の前のモニタをカートは確認し、瘴気がラダフントゥス王国のラダス(王都)から消えているのを確認したのだった。
「あと一つニャ」
そう言って、カートはラムシュンドを連れて“レンボ連合王国”の転移門に飛び込んだのである。
・・・
真っ暗な転移門でドアノブを探すカート。その予想どおりドアノブを見つけ開けてみると、
「ニャ!瘴気が満ちてるニャ」
なんと、既に瘴気に満ちていたのである。
「エリア プリフィケーション」
直ぐ後ろにいたラムシェンドが魔力を込めて放った結果、周辺の黒い霧はなくなった。
ふと足元に何かが当たっている。2人が良く見ると、それは人であった。既に、仮死状態ではなくなっているいるはずなのだが、事情を聴くために
「プリフィケーション」
を人に掛けて回復を加速させてみる。しばらくすると、回復したのか騒ぎ出した
「神様、お助けください!」
どうやら回復したものの、状況が理解しきれていなかったらしい。明らかに豪華な服を着たその人に、
「もう大丈夫ですよ」
ラムシェンドが声を掛ける。その言葉で我に返ったのか、目の前の2人を見て啞然としている人・・・
「あ・・・あなた方は誰ですか?」
今度は、恐怖が襲っていたらしい。
・・・
「・・・ということで瘴気から救出に来ました」
ラムシェンドが倒れていた男に説明した。フヤ王国やラダフントゥス王国での出来事と同様のことが起きていると思われたからである。カートによって無理やり押さえつけではあるが・・・。
「申し訳ございません。神様が遣わしてくれた方々・・・私は、この国・・・レンボ連合王国の代表をしているボーレ=レンボです」
ここでも、黒い霧について、の事情を確認したのだが、他の2国とは違うことがあった。
「つまり、いきなり部屋に黒い煙立ち込めたため、逃げてきたと・・・」
ラムシェンドの問いに頷くボーレ=レンボ。代表と言っていることから、ここも王国なので彼が国王なのだろう・・・多分。
「で、館にある祭壇に逃げ込んだところで、黒い煙に呑まれたと・・・」
大人しく頷くボーレ=レンボ。彼の案内で、館を確認した結果、彼の寝室に黒い煙を出す箱を見つけた。2Fあった寝室の窓を開けたのち、カートが箱を蹴り飛ばす。箱は、窓から外に向かって飛びだしていった。
「ウインドアロー」
ラムシェンドの放った風の矢が後を追う・・・そして、箱は空中で爆散した。
(これで大丈夫だな・・・)
この館は街を一望できる場所にあったので、確認したが、最初の“エリアプリフィケーション”で瘴気は一掃されていたらしい。その後発生した分を再度“プリフィケーション”で浄化した後、他2国同様、人々をプロモーションで回復させていったのであった。
・・・
「兄貴!」
ボーレ=レンボを伴って、プリフィケーションで人々を回復させている最中に、大きな声がした。思わず振り向くと、そこにはボーレ=レンボによく似た男が立っていたのである。
「ボルロか」
ボーレ=レンボがほっとしたような表情で呟いた。どうやら敵ではないらしい。
「兄貴!ボーレの街が黒い霧で包まれたと聞いて慌ててやってきただが・・・」
面倒なので、説明はボーレ=レンボに頼み、プリフィケーションで人々を回復させいく。馬なども回復させる必要があったので、ここでも数日を必要としたのだった。
・・・
ボーレ=レンボは、ラムシェンドとカートを神様の遣いとして崇めていたが、面倒なので宴などは全て断り、瘴気の影響を除去して回った。後に、ラムシェンドはボーレ=レンボに頼み、転移門になっている座像のある部屋を立ち入り禁止にしてもらった。もちろん、理由は・・・
「再び、この国に来なければならなくなったときに使いますので、しっかり警備してください。そして、誰もあの部屋に入れてはいけません」
ラムシェンドが語気を強めると、ボーレ=レンボは大人しくなった。
(あの座像が転移門だと解ったら大変なことになってしまう・・・)
「では、さらばだ。」
そう言って座像のある部屋に入るラムシュンドとカート。その姿を見送る3人の男・・・そう、ボーレ=レンボ以外に、この国を治めている、彼の弟であるボルロとボガロであった。
同じような話を3回書くと、段々、書く内容が減っていってしまいます・・・(飽きる)。
今日は19時に短い話を投稿します。