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狸戦記(仮) =他の異世界知識が組み込まれた勇者=  作者: OPPA
第2章 瘴気発生装置によるテロ
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第24話 ラダフントゥス王国(その1)

2か国目。

「どっちから行くかニャ?」

「どっちでもいいだろう」

転移門に向かう途中、行先を確認する・・・が、2人とも、なにも情報がないので、優先順位が付けられなかったのである。結局、転移門の部屋に入って3つめ・・・どうやら見落としていたらしい“ラダフントゥス王国”への転移門に飛び込んだ。


・・・


(ここは何処ニャ)

転移門の先は真っ暗だった。カートが手を伸ばすと、何かに当たった。


(ドアノブ?)

カートは捻ってみると、何と、ドアが開いたのである。


(誰だ?)

カートとラムシュンドがドアの外に出てみると、そこには一心不乱に祈る一人の男。どうやら、カートとラムシュンドの存在にも気が付いていないらしい。


「お前は誰ニャ?」

カートは男に声を掛けた。


声を掛けられことに気が付いた男は、目の前のカートを見て

「で・・・出た~!!」

と叫ぶなり気絶してしまった。


ラムシュンドがドアを閉めようと振り向くと、それは、あの神の座像であった。どうやら、この座像のお腹の部分がドアになっていたらしい。よく見ると、へそらしき部分にボタンのような部分がある。ラムシェンドはドアを閉めてから、そのへそにあるボタンを押すと、ドアが開いた。

(なるほど・・・そういう仕組みだったんだ・・・よく、今まで見つからなかったものだ)


ラムシェンドが感心していると、気絶していた男が目を覚ました。正確にはカートに目を覚まさせられたのであった。


・・・


「・・・ということで瘴気から救出に来ました」

ラムシェンドが倒れていた男に説明した。フヤ王国での出来事と同様のことが起きていると思われたからである。カートによって無理やり起こされ、ラムシェンドから説明を聞かれた男は、


「わっ・・・私はラダスの大司教をしている ラダリア=パロールです。神は我々を見捨てなかったのですね」

そう言ってラムシュンドを拝んでいる。


(パロール・・・?どっかで聞いたような・・・)

ラムシュンドとカートは聞き覚えのある言葉が気になった。


「フヤ王国にフリヤ=パロールというのがいたのですが・・・」

ラムシュンドはラダリア=パロールは、目を見開き


「フリヤは私の兄です。兄は無事なのでしょうか」

どうやら、今回の異常事態で何か感じるものがあったらしい。


「無事ですよ・・・」

ラムシュンドがそこまで言ったところで、

「フヤ王国の城に広がった瘴気は全て除去したから大丈夫なのニャ」

後をカートが引き取った。


「おおっ!!」

ラダリア=パロールはその言葉に感動したのか、再び拝み始めたので、


「こちらの状況を教えてください」

無理やり拝むのやめさせ、ラダリア=パロールに説明させようとするラムシュンドであった。

無理やり引き起こされたラダリア=パロールは、

「はっ・・・はい。説明させていただきます。数日前、ラダスの中心にある城から黒い霧が発生し、あっという間に城を覆いつくしました」

(フヤ王国と同じか・・・)


「そして、数日後、黒い煙は広がり始め、このラダスの街・・・ラダフントゥス王国の王都を吞み込んでしまったのです」

そう言うと、ラダリア=パロールは両手を床に置き、泣き出してしまったのである。

「陛下を初め王族の皆様とは全く連絡が取れず、黒い煙が街に広がった後は、この建物の外に出ることするすら出来なくなってしまったのです」


「ここはどうして無事なのかニャ?」

カートは素朴な疑問を投げかけた。


「はい。ここは、街の中で1段高いところにあります。そのため、この建物だけが、黒い霧に呑まれなかったようです」

そう言うと、ラダリア=パロールはこの部屋にあった小窓を指さした。


(わっ・・・一面黒い霧)

小窓から見えた建物の外は、一面、黒い霧で覆われていた。よく見ると、硬直した人がところどころに見える。黒い霧に触れた人々の様子は、フヤ王国を同じようであった。


(これだけ範囲が広いと、“プリフィケーション”もかなりの回数を使わなければならないな・・・)

フヤの城だけでも、浄化が完了するまで数日をようしたのである。今回は街全体に広がってしまっていることから、作業範囲は更に広くなっていた。


「ラムシュンド様。この建物には、誰に入れない部屋がございます。神様が、遣わした方のみが入れる部屋との言い伝えがございます」

ラダリア=パロールは、ラムシュンドとカートを神の遣いだと信じていたのである。そして、この、街でも特別高い場所にある建物の最上階にある部屋は、誰も入れない部屋として知られていたのである。

(ひょっとして・・・)

ラムシュンドとカートは同じことを思っていたのであった。


・・・


「ここでございます」

ラダリア=パロールに部屋の前まで案内してもらったラムシュンドとカートであったが、

(普通の部屋にしか見えない!)

何の変哲もないドアが付いているだけだったのである。

ラムシュンドがドアに触れると、ドアにスクリーンが現れた。


「おおっ!!」

現れたスクリーンを見て、跪いて拝み始めるラダリア=パロールを放置して、ラムシュンドとカートはスクリーンをよく読むと、


「これは、暗証番号の入力画面だニャ」

カートがラムシュンドに確認するように言った。


「間違いないでしょう・・・でも番号がわかりませんね」

この部屋のことは、ラムシュンドとカートは何も聞いていない。すなわち何も知らないのである。

(まあ・・・とりあえず何か入れてみるか)

ラムシュンドは、波高の記憶にある数字を入れてみた

“4”“1”“6”“9”

なにか大事な番号だったような気もするが、ラムシュンドには、それが何かは解らなかった。入力後、スクリーン右下の確定と書かれたボタンを押すと、ドア全体が一瞬輝き、そして、ドアは消滅したのである。


「なくなったのニャ」

その様子を見て驚くカート。ラムシュンドも唖然としていた。ラダリア=パロールに至っては、必死に拝んでいて見てもいない・・・。


「中に入るのニャ」

カートに背中を押されるようにして、ラムシュンドとカートは部屋の中に入った。


・・・


部屋の中は、床に1冊の本が落ちていただけで、他には何もなかった。立ち直ったラムシュンドは、落ちていた本を拾い上げる。その表紙には


“狸のための広域魔法”


と書かれていた。脇で見ていたカートが

「これは、ラムシュンド用だニャ」

と言って、さっさと開き始める様に促す。ラムシュンドも頷いてから本をめくり始めた。


「やっぱりニャ」

2人の予想通り、ラムシュンドは本の全ての頁をめくり終わると、本は燃えるように消えた。


「ステータス」

ラムシュンドは自分のステータスを確認する。


名前 ラムシュンド(Lv.10)

HP 10000/10000

MP 50000/50000

魔法 神聖  :プリフィケーション(Lv.1)

火属性 :ファイヤーボール(Lv.3)

風属性 :ウインドアロー(Lv.2)

付加魔法:広域魔法

スキル 身体強化、ウォレスの剣技

称号 タヌキの英雄、ダンジョン踏破者


「何か妙なものが付いているニャ」

覗き込んだカートが言った。


広域魔法をタッチしてみると画面が切り替わり


=広域魔法=

範囲魔法の適用範囲を拡大する魔法。適用する範囲魔法の詠唱に付加して使う。魔力の消費は範囲の拡大に伴って多くなるので注意が必要。



(つまり、プリフィケーションに広域魔法を付加すれば、広い範囲で浄化が出来るということだ・・・魔力の消費量が気になるが・・・)

幸い、フヤ王国でプリフィケーションを使いまくった結果、ラムシュンドのMPは急上昇していたのである。HPとレベルは上昇しなかったのだが・・・。


「早速使ってみよう」

ラムシェンドは、そう言って、建物の外に出るべく、部屋を出ていった。

ついに、広域魔法が出てきました。

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