前書き 『森林にて』
再掲、になるのでしょうか。
執筆を再開しようと思い、前作をぼーっと眺めていたところ、正直やっべぇ、と。思ってしまったので仕方がないですよね。
文章は稚拙、かつ中二病が昇華されず、格好良い中二病ではなく、恥ずかしい中二病のまま、と。これはいけない、と。
なので、まずはこれを改訂しようと思い、始めました。改訂版です。どうぞ!
でもこの作品大好きなんですよねぇ……自分の作品って気に入るものなんですね。多分。
木漏れ陽射し込む樹冠の下で、逃避の許されない削り合いが行われていた。
一進一退。片方が攻めれば、もう片方は回避を選ぶ。決して、防御、受けるという選択肢は無い。そこには、生物間に存在する絶対的な差に理由があった。
爪を持ち、巨大な体躯を持つ『幻獣』と、鋭い爪も牙も持たない貧弱な人間。本来ならば一方的な狩りになるはずの相対だが、両者は確かに拮抗していた。
足元の草花を踏み切り、少年は、空気を揺らす一撃をすんでのところで回避する。
繰り出されたのは、樹皮を抉るほどの威力をもった殴打。それが、何度も繰り返される。狙いも定められていない、視力任せの連続攻撃が少年を襲うが、その全てが空振りに終わる。
「………ッ」
荒々しい肉声とともに繰り出される殴打に、少年はその都度、顔を青ざめさせるが、だがその行動順序はしっかりとしている。
回避すべき時は回避する。基本指針を頭に据えて、この攻防を制するための一手を選び続けていた。
とにかく、ギリギリで回避をしてはならない。一歩間違えれば死に至るか、四肢の機能を失ってしまうであろう攻撃は、絶対に受けてはならないものだ。昨日は快晴だったために、足元の滑りに不安は無いが、油断は出来ない。何せ、相手は己の背丈を優に超える巨躯の持ち主なのだから。
「ブオォオオオ……ッ」
『緑熊』。全身が緑の体毛に覆われた、熊属の幻獣は、唾液をたっぷりと含んだ口を豪快に開き、唸り声で威嚇してみせた。
考え無しの攻撃を続けているとはいえ、緑熊に思考能力が無いわけではない。むしろ、こと戦闘における感覚においては、人類とは比べ物にならないほどに敏感である。
そもそも、彼らの側は、警戒などする必要がないのだ。
矮小な拳を振り回されたところで、硬い皮膚が衝撃を通すはずもないし、タックルだって受け止められる。全力で逃げられても、難なく追いついて嬲り殺す程度は、わけないはずだ。
だが。ならば、なぜ拮抗しているのか。という疑問は浮かんで然るべし、だ。
両者の間には絶対的な差があり、それを覆す術も持ち合わせていないのなら、ちょこまかと躱し続けたところで、少年が押し潰されるのは時間の問題であるべきだ。
―――少年が、丸腰であるならば。
「………―――フッ!」
回避に回避を続け、漸く少年は動きを止めた。敵の挙動を見逃さないようにと全身を視ていた瞳が、真っ向から緑熊の眼光と張り合った。
彼には、その行為はどのように映ったか。挑戦的だと感じたか。あるいは、その瞳に恐怖したか。
直後。跳躍の音とともに、少年の姿は一瞬だけ視界から消え去った。
「ブモ―――ッ!?」
負けじと、逃すまいと、再び強大な拳が放たれるが、やはり少年はギリギリで回避。振り抜かれた腕は、僅かに髪の先端を掠るだけだ。
先ほどまで横軸で移動していた少年の動きが、今明らかに変わり始めていることを、当然、緑熊も感じ始めていただろう。
だが、警戒はしても、その差は揺るがぬものと。そう思わなかったことが、考えようとしなかったことが、そのまま敗因に繋がった。
気付けば、少年だけが立っていた。
その手に握られているのは、鍛治師の紋様が刻まれた鋼刃。鋭い爪も牙も持たない脆弱な生き物に許された、摂理を狂わせる武器である。
鈍色のブレストプレートと、同色のガントレット。二つの防具だけで身を守る“開拓者”は、狩った獲物の肉を一部切り外して布袋に収める。
手慣れた動きでそれらを終えると、風の吹く方角を目指して歩き出した。
『始都』へ向けて。
というわけで、いかがであったでしょうか。
聞かれても、これだけ見せられても正直「えー」ってなりますよね。
見に来てくださった読者様が、これは作品だな、と思えるようなクオリティを目指して続きを書いていきます。
応援のほど、よろしくおねがいいたします。




