お茶会-3-
「こちらが本日のお茶会の会場となっております」
トイレの場所を教えてもらい、そこから少し歩いた先にあった大きな扉をメイドさんはそう言ってギィと音をたてながら開けた。
「ぅわ……っ」
中に入って真っ先に目が行ったのは美味しそうな匂いを漂わせている高級そうな料理たちだ。
そんな料理たちに向かって歩き出そうとすると、さっきまでザワザワとあちらこちらから聞こえていた楽しそうな声がピタリと消え、皆の視線が私に向かっているのに気付いた。
えっと……私もしかしてだけど注目浴びちゃってる?
内心キョドっているとコツコツとゴージャスなドレスを身に纏った縦ロール髪のキツそうな女の子が目の前にやってきた。
「シーナ様、エリザ=トレドですわ。本日はようこそいらっしゃいました」
そう言って目の前の彼女は纏っているドレスの裾を摘んでお辞儀をした。
あ、この人が主催者か……。
なんか私よりも悪役令嬢感があるのはなんでだろう。
顔か? 顔なのか?
「初めてお目にかかります。ティナ=シーナです。トレド様、こんな素敵なお茶会に招待して頂きありがとうございます」
心の中で結構失礼な事を言いながら私も彼女に倣ってお辞儀をした。
こんな感じに言っときゃいいんだよね?
「楽しんでいってくださいね?」
「はい。もちろんです」
微笑みそう言えば、エリザさんは満足そうににっこりと笑いドレスを翻し来た道を引き返して行った。
途端周りにいた人達が我先にと近寄ってきた。
え!? なになに!?
「私、マーガレット=二ウォルといいますの。二ウォル家はー……」
これ×多数。
皆の必ず自分の名前と家の話をする。
そっか、今の今まで忘れてたけどシーナ家って貴族の中じゃあトップクラスだもんね。
覚えてもらっといて損は無いか。
でもごめんなさい、全部右から左へ流してます。
っていうかさ、そろそろ解放してくんないかなー。
お腹すいた……。
少し離れた所であの美味しそうな料理たちが私を呼んでいる。
「そう言えば今日は1人庶民が混じっているようですわね」
どうやら私が料理に思いを馳せていた間に、自己アピールが終わったようで、私を取り巻いていた1人の女の子が見下したような笑を浮かべながらチラリと料理が並んでいる長テーブルの方をに視線を向けた。
途端、「あぁ」と他の子達が一斉に声を漏らした。
なんだろうと私も皆に倣って見ると、赤紫色の長いストレートの髪の背の高いどこか近寄り難い雰囲気のもつ、綺麗な女の子がテーブルに並ぶ料理を物珍しそうに見てはお皿に移していた。
いいなぁー……、私も食べたい。
「ふふっ。庶民は高級料理が珍しいようですわね」
「あら、当たり前じゃないですか。だって庶民ですもの」
そう彼女に聞こえるようにわざと大きな声で言ってニヤニヤと意地の悪い笑を浮かべた。
……庶民庶民ってうっさいなぁ!!
親のすね齧ってないと生きていけないくせに何を偉そうに……!
そう喚き散らしたい衝動に駆られた。
我慢したけどね?
ただ、何処かにこのイライラを発散させないと爆発してしまいそうだったもんだから、イジメっ子のような笑みを浮かべている近くの女の子の足を気付かれない程度にグ二っと踏んでおいた。
ちょっとスッキリした。
ここで一旦きります!




