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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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お茶会-2-

っていうか、何気に私馬車に乗るのお初じゃね?

窓の外の景色を眺め、馬車に揺られながらそんな事を思った。

うん、お初だわ。

馬車ってこんなフカフカの椅子なんだね、もっと硬いの想像してた。

さすが金持ちが所有してる馬車。

金が()()まれてる感半端(はんぱ)ない。


「お嬢様。もうすぐで着くようですので降りる準備をなさって下さい」

向かい側に座るリリィに声を掛けられた。

「あ、はーい」

「それと……、お嬢様。あまりお屋敷でウロウロなさらないように。極度の方向音痴なんですから」

脱いでいたカーディガンをいそいそと羽織(はお)っているとそんな事を言われた。

「ちょ、ええ!? 私そんなに方向音痴じゃあー……」

「どの口が言っているんですか。お嬢様、いつも自分の屋敷でさえも迷子になって、シウォルさんにみつけてもらっているじゃないですか」

「う……!!」

それを言われると何も言えない。

だって家なんか広いんだもん!

あ、(ちな)みに、シウォルさんは屋敷の門番さん。

実はシウォルさんはあの春の収穫祭の帰り迷子になった私を家まで送ってくれた人でもあるのだ。

そう、あの反抗期の娘さんを持つ門番さん。

私が屋敷で迷子になる度にシウォルさんが毎回みつけてくれるものだから、屋敷の人達は私がいなくなったと分かると真っ先にシウォルさんの元に行くんだそうな。


「私も付いて行ければいいんですけど……」

お茶会にはリリィのような専属メイドを連れて入れない決まりになっている。

だから主人がお茶会に出ている間、専属メイドたちは違う部屋に案内されそこでメイド同士で交流し、お茶会が終わるまで待つ。

「一緒でいいのに。寂しいじゃんね」

目的地に着いたのか馬車の揺れが止まった。

「お嬢様……、何かあれば私をお呼びください。たとえ別館に居ようが飛んで行きます」

私の手を握り真剣にそう言うリリィに私は思わず吹き出してしまった。

「あははっ、それ絶対聞こえないって! ……でも、ありがとう。元気でた」

「それは良かったです。では行きましょうか」

「うん!」

そう言って馬車を出た。


馬車から出ると目の前に大きな屋敷がドーンと建っていた。

大きさはシーナ家の屋敷より少し小さいが充分(じゅうぶん)大きいと思う。

ふと周りを見渡すとたくさんの馬車が屋敷の近くに止まっているのに気付いた。

「すんごい数の馬車だね……。私、お茶会ってもっと少人数でやるものだと思ってた」

「そうですね。ただ、ここのご令嬢は社交的なのでこれでも少ない方かと」

「この数で!?」

これで少ない方ってどうよ!?

あなたいつもどんだけ呼んでんの!?


「あ、そうだ。リリィ、このお茶会の主催者って何て名前の人?」

主催者の名前はちゃんと知っとかないとね。

「……エリザ=トレド様です。招待状に書いていたはずですが?」

やばっ、

「……さ、早く入らないとお茶会に遅れちゃうー」

棒読みでそう言いながら私はそそくさと屋敷の中に入った。

後ろからリリィの視線がグサグサと飛んでくるがここは無視で。


屋敷の中に入ると2人のメイドさんが待ち構えていた。

「「ようこそいらっしゃいました」」

「招待状を拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい!」

メイドさん丁寧な口調に内心キョドりながら招待状を手渡した。

他所(よそ)のメイドさんと話すのってなんか緊張する。

「ありがとうございます。……ティナ=シーナ様で間違いないでしょうか?」

「間違いないです」

「では、会場まで私が案内いたします。付いてきてください」

「あ、はい! お願いします!」

そう言ってペコリと頭を下げるとメイドさんに目を見開き驚かれた。

見るともう1人のメイドさんも同じように驚いていた。

「はぁ……」

やっちゃったとばかりのリリィのため息が聞こえる。

「この方はこういう人ですのであまりお気になさらずに」

そう言えば2人のメイドさんはまだ少し驚きながらもコクリと頷いた。

ん? なんかサラッと(けな)された気がー……。

まぁいっか。

それよりトイレの場所後で聞いとくの忘れないようにしなきゃ。

そう思いながらリリィと別れ、メイドさんとはぐれないように後ろを付いていきお茶会が行われている部屋へ向かった。

私も1回でいいのでフカフカの椅子のある馬車に乗ってみたいです笑

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