【84】聖女様とパレード(1)
「えっ!パレードですか?」
「そうだ。3日後に行われることになった」
突然わたし達のパレードが決まったらしい。それもシンシア王妃陛下の鶴の一声みたい。わたしとオルフェルのパレードを望む声がアチコチから寄せられ、その後押しをする形となった。
当初は子供のようなラフィーネのことが広まら無いように、パレード等は考えもしなかったみたい。無邪気なラフィーネの行動が読めないし、安全対策に関わるからね。
でも人格が覚醒したわたしなら大丈夫というお墨付きを貰ったらしくて、何故か王妃陛下からね、それで国王夫妻もついでに[パレードに参加しちゃおう!]という流れになったみたい。
「こりゃ……戦争になるぞ」オルフェルがぼやいていた。
別に殺し合いの戦争じゃなくて、パレードの準備を期間が短い中でしなきゃいけないからね。それで色々指示を出さなくちゃいけないらしくて、今日はわたしの相手が無理って謝られた
「わたしも何か手伝える事はありますか?」
王子妃らしく、提案してみたら
「大丈夫だよ。ゆっくりして……むしろ本番が大変だから、今はゆっくり休んでラフィーネ」
なんて優しい声を掛けて貰った。でも一人だけのほほんとしていられない。そしたら……
「そういえば……王妃陛下が君とのお茶を望んでおられた」
らしくて、その相手の元へ足を運んだの。もちろん先方に確認して伺ったわ。王妃様。わたしの姿を見ると挨拶もそこそこに
「こっちこっち!さっ!こちらへいらして」
誘われて部屋の中の扉から隣室へ行けば、そこには純白のきらびやかなドレスが飾られてあった。
文字通り、本当にキラキラしているの!
ラインストーン……小さな宝石や水晶がちりばめられていて、キラキラしているの!
「……綺麗……」
思わずボソッと呟いてしまったら
「素敵でしょう?パレードに映えるように、作らせていたのよ」
こんなの一朝一夕で作れる訳がない。
ということはパレードは王妃様の頭の中では、計画されていたの?
「本当はね。あなたの人格が目覚める前なら、テラスから領民へ花嫁の姿を見せるつもりだったの」
[青い水晶宮]の一部を解放して、領民を招き入れ御披露目させるつもりだったらしい。国王夫妻も参加してね。
それも政治の上だって!
「王国一の色男を落としたお姫様を皆、一目見たいと思うでしょう?だからその御披露目用に準備したのよ!
でも折角あなたが現れたのだし、これは神の思し召しって言うことでパレードを提案したの!」
だそうですよ。
国王夫妻もノリノリで、自分達の衣裳ももう準備万端揃えているみたい。オルフェルと第一側妃様の分もちゃっかり準備していたみたいなの。
オルフェルのは当日のお楽しみだって!
「さっ!早く着てみて!」
王妃専属侍女の皆様にあっという間に脱がされて、試着させられた
「あら?ピッタリ!これなら直しは殆んどいらないわね」
それでも成長を期待していたのか、胸元が緩いから、そこは調整が必要……っっって!仕方無いじゃない!わたしの胸も一朝一夕に育たないのよ!
それからティータイムが始まりました。
ありきたりな話題から入って……
「ところで昨夜は随分とお楽しみという噂が駆け巡っておりますが……」
「お楽しみ?」
「あら?ハッキリ言わないとわかりませんか?」
お楽しみ……っってあれか?!
子孫を残すための夫婦の共同作業のことか!
わたしはそれに乗っかって
「はい。とても良くしていただきました」
未遂に終わった共同作業を、無事終わったかのように恥ずかしがってみた。王妃様はそんなわたしを食い入るように、見つめて……
「あら。残念。まだ清らかな乙女のようね。
折角根掘り葉掘り聞こうと思っておりましたのに……」
「……な……何のことでしょう?」
「とぼけなくてもいいのよ。
そんな事……直ぐ分かるわよ。何年女をしていると思うの?貴女は顔に出やすいのよ。気を付けなさい」
完全に未遂をバレていた。疑いではなく確信レベルに……
「で……オルフェルの様子を見ると……貴女にメロメロだから……愛想尽かされた訳でも無さそうですし……。しばらく恋人気分を味わうってところかしらね」
「はい……そうなりました。
わたしが目覚めたばかりだから、一月くらい……お互いを知ってからでも遅くない……って」
「あっははははははは」
突然王妃様が笑いだした。お腹を抱えてヒーヒー言っている
「もう!ラフィーネ!可愛い!
カマを掛けたら馬鹿正直に答えちゃって!そんな体たらくなら社交界の荒波は渡れないわよ!
……でも良いわ。益々気に入った!舞踏会の為に王宮へ二週間滞在するようにと言いましたが、一ヶ月に延長致します!これは?決定事項!良いですね!」
わたしは見事にハメられたみたい!
それに王宮へ一ヶ月滞在?!
──なんで?
「これは……鍛え甲斐ありそう……」
なんか王妃様。物騒なことを呟いていらっしゃるわ!




