【83】聖女様の初めて(5)
オルフェルは方面軍の本営には帰らず、領地のウィルタミア地方の居城[青い水晶宮]に向かった。
ただひとつ問題があった。
[青い水晶宮]には平民は入れないことだった。
王族に仕えるのは身元がハッキリしている貴族出身の者達だけだった。
少女の素性は秘密で、周りには[記憶喪失の平民の少女]という触れ込みだった。なんとなく[没落貴族]を仄めかして、周りが察してくれるようにした。
誘拐犯から聞き出した本名のアイラも秘密にしていた。
因みに誘拐犯は、拷問と自白魔法の効果で余罪を洗いざらい吐かされた。各地を商人と冒険者に偽装して巡り、泥棒や誘拐を繰り返していた。
その数々の罪により、二人組はアイラ誘拐から半年後、絞首刑となった。
アイラは名をララと改めた。
少女は自分の名前を言えず、アイラをララと呼んでいたからその名にした。
そして側近のバレンシア男爵の養女にして、貴族の仲間入りとなり晴れて[青い水晶宮]で働く事になった。
メイドとして採用されたアイラ改めララは、仕事が出来なかった。メイドの服装はしていたけど、ただの賑やかし要員だった。いつも何を聞かれても「はーい!」と元気に返事をしていた。
ララは丸眼鏡をしていた。
これはオルフェルが強制した。
ララの素顔があまりに綺麗で可愛らしかったから……。
それで悪い虫が付かないように、元から持っていた眼鏡が壊れたので、それを参考に高級店で作らせた。
ララは人懐っこく、誰からも好かれた。
ララ自身は何を置いてもオルフェルが一番だった。
教えて貰った単語を駆使し「でんかぁ」と呼んで甘えていた。
ララはオルフェルが大好きだった。
オルフェルもそんな彼女を特別に思え、愛着が湧き、これからもその成長を見守っていたいと思った。そして後継者争いからの煩わしさから逃れる為にも、結婚を考えるようになった。
初めは自身の養女にしようとも思ったが、それではララを嫁にと望む者が現れるのは必定で、ララは誰の嫁も務まる訳が無いから妻にすることにした。
王族の妻には上級貴族以上の身分が必要だから、有力貴族のルシアン伯爵の養女にすることにした。
側室として、ララが今まで通り自由に楽しく暮らせれば良いと思ったからだ。けれど王家の横槍でどのような正妻を押し付けられるか分からない。
正妻の権力を傘に、ララが虐げられるかも知れない。
それで正妻にすることにした。
正妻に迎えれば、聖女を娶る必要もなく、国王になる後継者争いからも逃れられる。いずれオルフェルの後継者を産むために側室も迎えなければならないが、オルフェルはララを尊重し大切にしてくれる者を選ぼうと思っていた。
本来ララが平民であれば貴族の御令嬢は風下に立つことはプライドが許さないが、ララが小さな子供のような性格だから保護していると分かれば、プライドが傷つくことも無いだろう。
ララにはもちろん性的な手出しはするつもりは無かった。
初めから妻に迎えると公表すれば、アチコチに波風が立つので[侍女にする]の理由でカモフラージュした。ララの成人に合わせて電光石火に密かに婚儀を行う予定だった。
けれど王族の結婚には国王の承認が必要で、詳しく理由を書いて判断を仰いだが……。
国王夫妻が結婚式に参列するのが条件となり盛大な式を開く羽目になり……結婚式でララ改めラフィーネの人格が戻り……仮初めの初夜を終え……現在に至る。
オルフェルはベッドの上で安らかな寝顔の、ラフィーネの額にキスをすると部屋を出た。
☆
ラフィーネが目を醒ますと専属侍女のパラナとキャロルが待ち構えていた
「奥様。昨夜はいかがでしたか?」
「とても……良かったです」
ラフィーネは顔を真っ赤に染めた。
それは予めオルフェルと示し合わせて出た言葉。
周囲の人達に、無事[初夜を終えた]というポーズ。
だから駄目押しで
「今日も……可愛がって下さるそうで……。
パラナ。キャロル」
「「はい奥様」」
はもる二人に
「今夜もわたしを磨きに磨いて下さい」
真っ赤な顔のまま……はにかんだ。
これで[初めて]パート終わりました。
いかがでしたか?
初体験が不発に終わり、少し肩透かしをくってしまったよう……。でも楽しみは後に取っておいて(^-^)
次回は[パレード]になります!
ラフィーネの領民への予定外の御披露目回!
でも……いよいよヤバいアイツが始動します!
今までもちょっとだけ本文にでていましたが……
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