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【63】聖女様と二つの国(3)


ジャンがボチボチ道草食って帰っていると


「おい!そこのあんちゃん!チョイと退いてくれや!」


──えっ?


後ろからの掛け声に振り向くと、大きなずだ袋を抱えた大きな男がドスンドスンと走ってくる。

その後ろを背の低い人の良さそうなオジサンが、付いていく


「悪ぃなぁ!あんちゃん!チョイと急ぎの用でよ!

勘弁してくれや」


初めに声を掛けたのも、どうやらこのオジサンのようだ。

ジャンはボーッとしてその後ろ姿を見送る。

それにしても先頭の大男。ずだ袋の中には何が入っているのだろう?果樹園の方から来たけど、今成っている実って何だっけか?


ジャンは思考を巡らし


「なんだか、人が入っていそうな大きさだな?

…………まさかね。な~~~んてね!んなわけ無いよな」


ジャンは棒キレを振り回して、雑草を痛め付けながら歩いた。



それから三時間後。



ジャンの家の呼び鈴がなった。

丁度お茶の時間で、ジャンと父のゴメスは椅子に凭れてまったりしていた


「おい。ジャン。お前が出ろ!」

「どうせ父ちゃんに用事なんだから、父ちゃんがでなよ」


「うるさい!何事も社会経験だ!」


はぁ~


──面倒臭ぇなぁ~


ジャンはしぶしぶ立ち上がると、ドアを開けた。

そこには汗だくのガイの姿があった


「ガイおじさん。どうしたのさ。

そんなに汗かいて……」

「ここには……アイラは来てねぇか?」


「うん。来てない。

もしかして!まだ帰ってないの?」

「ああ。帰って無い」


ここで奥からゴメスが顔をだす


「おい。ガイ。どうした?」

「ちとな。アイラの行方が知れねぇ。

なんだか嫌な予感がする」


「居ないと気付いたのはいつだ?」

「一時間ほど前だ。

たまたま村の昼食会も兼ねた集会があってな、それにアマンダと二人で出席していた。帰ってからアイラの居ないのに気付いた。ノルンは先にご飯を済ませ、赤ん坊と寝ていたから気付かなかった。

出かけるにしても、メモは欠かさない子だったから……」


ガイがいうにはそれからあちこち見て回ったという。

だが、アイラの目撃証言はなかった



「あっ!!」



ジャンは思わず声を上げた。

あのずだ袋を担いだ男達の事を思いだしたのだ


「どうした?ジャン!」


ガイが問う。

ジャンは先程の話を二人に聞かせた。

そして……


「丁度さ!その大きな男がさ!肩に担いでいた袋の大きさがさ!今に思うとアイラくらいの大きさだったんだよ!」



「「それだ!!!」」



ガイとゴメスがダブる


「ジャン!もう少し詳しく教えてくれ!

……時間が惜しい。ゴメス!ジャン!今からギルドへ行く!そこで皆に教えてくれ!

俺が依頼を出す!」

「依頼は賛成だが、先ずは落ち着いてギルドマスターに報告すべきだ。アイラはノーフィスに可愛がって貰っていたのだろう?なら、尚更頼るべきだ」


「分かった……クソッ!まさか人拐いなんて!

この冒険者の街で!ふざけるな!」


ガイは怒りに身を震わせる。

だが、直ぐに落ち着きを取り戻し


「よし!行こう!」





「なんだと?アイラが拐われた?!」


ガイ達の報告をギルド長室で受け、ギルドマスターのノーフィスは眉をしかめた


「確信はあるのか?

遊びに行っているとか無いのか?」


ガイは自身の嫌な予感とジャンの目撃証言を語った。

それを聞いたギルド長は


「十中八九間違いねぇな。

先ずはその怪しい二人組を探さなきゃならねぇ。

詳しい人相を教えな」


ジャンはギルド長の秘書リンに、詳しい特徴を知らせる。猫亜人のリンは直ぐに人相書きにした


「この人達。わたしがギルドの受付をしていた時に、ギルド内にいました。確か……常連のギンさんとお話ししてましたが?」

「何?本当か?

リン!直ぐにギンを呼んで来い!」


リンが飛び出して行き、直ぐにギンを連れて来た。

ギンは初めてギルド長室に呼ばれて、ドキドキしている風だった。そしてガイやゴメス……ジャンの自身へ向けるギラギラした目線に戸惑いを隠せない


「ギン。コイツらと会っていたそうだな?」


ギルドマスターは人相書きを見せる


「会っていたというより、声を掛けただけだ。

流れ者とか言っていたな?」

「いつの話だ」


ギルド長は間髪を入れずに畳み掛ける


「えっ……と、一昨日かな?」


「何か言っていたか?」

「ここいらで一稼ぎしたら、直ぐに出て行くって言ってたな?」


ギルド長は顎を押さえ

「泥棒野郎がそれ以上詮索させない為に良く使う言葉だな」

そう独り言を呟き


「他には何か言っていたか?」

「……いやあ……別にぃ」


そしてガイをマジマジと見て



「あっ!」



思い出したように叫んだ


「どうした?」

「丸眼鏡!」


「丸眼鏡がどうした?!」


ギルド長の迫力に冷や汗をかきながら、ギンはガイを見て


「アイラちゃんの事を聞いて来てよ!

俺はアイラちゃんがギルド長室にしょっちゅう呼ばれるって話したんだ。

それと噂のことも話したな……」

「噂とはなんだ?」



「アイラちゃんが実は重要人物で、レアスキルの持ち主かも知れねぇってさ!

『みんな噂してるぜ』ってよ!

…………あれ?どうしたの?みなさん?

物スゴーーーく、恐ろしい顔をしていますけど……?」



ギンは自身へ向けられる恐ろしい形相に、思わず聞かずには居られなかった……。






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― 新着の感想 ―
[一言] いやぁ…でもギンはそんな悪い事言ったわけではないと思うんだよね…
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