表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/128

【48】聖女様と新たな家族(7)


それから2時間くらい食べ歩きした。


その間。アーサーはわたしを馬鹿にしたり命令したり、しなかった。それどころか、時間が経つにつれて丁寧に優しく扱ってくれだした。


わたしはふとアクセサリーの御店で足を止めた。

青い蝶の可愛い髪飾りに目がいった。

わたしの本当の髪の色とそっくりで、こんな露店にあるものの中では細工も丁寧でとても綺麗だった。

でも……結構いいお値段がした。


わたしが思わず見とれていると


「あの。アイラ。さっき護衛が預けた袋。

今だけボクに返してくれないかな?」

「あ。うん。どうぞ」


わたしは躊躇なく返す。

元々わたしのお金じゃないし。もうお腹一杯で使わないし。そろそろ返そうと思っていたから、丁度良かった。


アーサーは其を受け取ると店主に


「これをくれ。包まなくていい。お金はここから取ってくれ」


さっきの硬貨が詰まった袋を、そのまま店主に渡す。

わたし達の後ろに護衛が並んでいるから、絶対誤魔化すことは出来ないと思う。

硬貨の袋と共に、アクセサリーがアーサーの手元に渡る


「あの。アイラ。これ。今日の御礼」

「いいの?わたしにくれるの?」


「うん。ボクが持っていても仕方ないし、何よりアイラにとても似合うと思って」

「有り難う!凄く嬉しい!」


アーサーは少しオズオズとしている


「どうしたの?」

「あの。この髪飾り。着けてあげたいけど、どうしていいか分からなくて……」


──あっ。そういうことか?


わたしは留め具の使い方を教えてあげた。

そしてわたしが少し屈むと、アーサーは髪に蝶の髪飾りを着けてくれた。

すかさず店主が鏡を差し出す。

わたしは鏡を覗き込み


「凄く可愛い!似合っているかな?」

「とても似合っているよ、アイラ」


何だか二人で暫く見詰め合ってしまった。

わたしは急に恥ずかしくなって


「有り難うアーサー!大切にするね」


そういって抱き付いた。ハグにしては勢い付いていたと思う。アーサーはそんなわたしの背中をポンっと叩いて


「どういたしまして。

アイラが気に入ってくれて、それだけでボクも嬉しいよ」


そう言ってくれた。



そして何となく気不味くなって、わたしとアーサーは別れた。別れ際。アーサーからハグしてくれた。


そして当初の約束どおり、わたし達は後腐れなく別れたの。


護衛のお姉さんはお母さんのところまで送ってくれて、最後にお小遣いとして銀貨一枚をくれた。

一万エルになる。


わたしはお母さんを見ると、お母さんは頷いたので有り難く受け取った。


これでわたしと貴族のボンボン君。

アーサーとの束の間の、小さな冒険は終わった。





☆★☆




ここはローレンの領主たる者が住まうアスタリス侯爵邸。

だが今は侯爵は居ない。

新任の領主がこの屋敷の主であった。


この一年でこのアスタリス侯爵邸にも大きな動きがあった。

侯爵代理を務めていたダルイ・ダルソン子爵が失脚し、この屋敷は差し押さえられたのだ。

ダルイ・ダルソンの家族は追い出された。

そして裁判を控えていた。


それはここの正式な後継者。

レイア・アスタリス侯爵令嬢殺害事件の裁判だ。


これは王家の政治的な動きとも連動していた。


王太子派と第二王子派の権力争いが決着したのだ。

亡くなった王妃の子の王太子が、現第一妃の子供の第二王子に勝利したのだ。

これで数年後には国王は引退し、王太子が国王と成ることが決まった。王太子も第二王子もどちらも40歳を越えた良い大人だ。

王太子は聡明と名高く、良い国王と成るだろう。

野心家の第二王子は失脚し、伯爵位を与えられ辺境に飛ばされた。彼を押した多くの家門も粛清の嵐に会った。

殺されるまではいかないが、爵位降下や没収、領地削減など正統な後継者たる王太子に歯向かった報いを受けることとなった。


そしてその余波がこの辺境ともいえるアスタリス領にもやって来た。


今まで第二王子の傘に守られて、監査を免れてきたダルソン子爵は後ろ楯を失い、不正が暴かれ失脚した。

それだけでなく王家から騎士団が押し寄せ、家宅捜査が行われた。


行方の知れぬレイア・アスタリス侯爵令嬢の捜索である。

そして屋根裏部屋が発見された。

さらに厨房から致死量を遥かにうわまわる猛毒類が押収された。


そして厨房のシェフの一人が拷問の末、侯爵令嬢に毒を盛っていたのが判明された。

それがダルソン子爵の指示であったことも証明された。

その盛った毒の量を再現させると、致死量を遥かに越えていた。

そして世話をしていたメイドから、ずっとダルソン子爵の指示で屋根裏部屋で生きていると偽装していたことも、暴露された。


メイドが言うには侯爵令嬢は発育も儘ならず、骨と皮ばかりでいつ死んでもおかしくない状態だったいう。


それで逃亡騒ぎがあったけど、皆は本当は侯爵令嬢が死んでしまったので逃亡したことにして、子爵が責任逃れをしていると噂していたと話した。


状況証拠から侯爵令嬢殺害は間違いないという結論が出された。遺体はまだ見つかっていないが、侯爵令嬢の生存は絶望的だった。




そしてダルソン子爵と入れ替わるように、王太子派から新しい領主が赴任した。








これで[新たな家族]のパートが終わりました。

ノルンが無事家族となって、アイラにもフラグが立ちましたね。


次回からは新しい領主様が現れ、物語がグッと動き出します!


続きが気になる方は

広告後ろのポイント☆☆☆☆☆を★★★★★

にしていただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ