【24】聖女様と街娘(10)
誤字脱字報告有り難うございます。
「はっ?」
ガイはわたしを見て間抜けな声をあげた。
「何言ってんだライア?
お前が出て行ってどうにかなるもんじゃない!」
でもわたしは父さんから視線を逸らさなかった。
母さんの心配そうな視線も感じる。
ジャンは……ただわたしを見詰めていた。
父さんは小さな吐息を吐くと
「ジャン。お前だけ先にギルドで待っていてくれ。
俺も行く。だがコイツと話さなきゃならねぇ。少し時間が掛かるかもしれないが、必ず行く。
だが移動しなきゃなんねぇ場合があるから、俺が来るまで仮眠でも取っておけ……」
「うん。分かった。待ってる」
ジャンは明るくなりだした朝靄の中へ消えて行った。
父さんは直ぐに戸を閉め、わたしに向き合った
「どういうつもりだ」
「わたしなら。助けられるかもしれない」
「お前に何が出来る!」
わたしは母さんを見た。
そして父さんを見て。
「わたしの秘密話すよ。だから誰にも秘密にするって誓って!」
「……分かった。誓う」
「私も誓うわアイラちゃん。
それよりも少し落ち着きましょう」
テーブルを家族で囲んだ。
母さんがお茶を用意してくれた。
わたしはカラカラに渇いた喉を潤す
父さんは真剣な眼差しでわたしを見る
「で……何をどう助けられるのだ」
わたしは近くにあったナイフを手に取った。
そして
「……痛ったぁあい!!!……」
「何やってんだお前!」
「アイラちゃん!どうして!直ぐ手当てしないと!」
わたしは自分の手の甲をナイフで突き刺したのだ。
直ぐそれを引き抜く、血がテーブルを濡らす
「動かないで!見ていて!お願い!もう痛い思いしたくないから!」
わたしの言葉に両親は席に着く
「── キュール ──」
呪文を唱えるとみるみるうちに傷が塞がり、何事も無かったように手の甲には傷跡一つ残っていない。
両親は絶句している。
ついでに……
「── ワッシャア ──」
これはわたしが開発した洗濯魔法。
汚れを水の薄い膜が覆って綺麗に取るの。
水の膜は目には見えないけど、凄く細かく速く振動しているの。そして最後に水は汚れと共に蒸発してしまうわ。
実は一度おねしょしちゃって……それの隠蔽の為に開発したの……これは絶対秘密で墓の中まで持っていくつもりだけどね。
テーブルの血の汚れは綺麗さっぱり無くなった。
「こりゃ……どういうことだ?」
それはわたしに言ったというよりも、ガイの独り言に近い。
お母さんは放心して固まっている
「お母さん。コリン病。わたしが来てから直ぐ治ったでしょ?」
「えっ?もしかして……アイラちゃんが?」
わたしは頷く。そして
「この街のコリン病の患者も居なくなったよね」
「アイラが……全員……治したのか?」
「そう。わたしが治した。みんな一遍に治したの」
両親は放心している。
またお父さんは
「……どういうことだ?……」
呟いている。
わたしは決意した
「お父さん……あのこと……話すね」
わたしはガイを見た。通じたのか、父さんは頷いた。
約束破ることになるけど、背に腹は変えられない。
ジャンのお父さんを助ける為には、私の秘密なんて後生大事に隠しておけない。だから……
「お母さん。あのね……。
わたし……本当はね」
わたしの髪と瞳を染めていた染色魔法[スタイニ]の効果を解除する。髪がストレートの青い髪に変わる。
そして瞳は紺色になり、その表面がキラキラとした金色に煌めく。これは魔力が高過ぎて起きる現象。
青い髪は貴族の証。
お母さんはゴクリと唾を呑み込む
「わたしの名前はレイアでしたね。
それは本名ですが、続きがあるのです。
レイア・アスタリス。
アスタリス侯爵家の唯一の後継者です。
ですが……その地位は遠の昔に捨てています」
お母さんも……正体を知ってるお父さんも、何故か目を見開いている
「わたしの母はファルシア王国の王女でした。
そして母の母親。わたしの祖母はシァリーアン・ミエルファル・ファルシア王太后。
ファルシア王国の聖女です」
わたしは決意を込めて新たな正体を明かした
「わたしも聖女です」
本当は手の平にナイフで一文字の傷を付けて治す内容だった。
でも気がついたら手の甲からナイフを刺していた。
痛そう……。
☆
ガイが驚いたのは、綺麗になったレイアの姿を初めて見たからです。以前は骨と皮でギョロ目の女の子でしたからね。




