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マシュマロ。

マシュマロ。あの食感が好きだ。そのまま食べるのももちろん好きだが、ロッキーロードの中に入っているマシュマロはなんて心憎いヤツなんだろう。

ロッキーロードといえば、お袋が時々アイスクリームじゃない方の物を作ってくれた。溶かしたチョコレートにカラフルな小粒のマシュマロとアーモンドをサッと混ぜて天板に流し込み、固まったところをバキバキと割って、お気に入りの陶器の器いっぱいに盛ってあった。学校から帰ってきたときにそれが冷蔵庫に入れてあると、陽菜と競うように食べては「こらこら。ママの分は?」とお袋に苦笑されたものだ。

時々、砕いたクッキーが混ざっている時があったが、それは「今日はクッキーの出来がイマイチだったのよね~。」とごまかすように笑っていたな。どうイマイチなのかわからなかったが、ロッキーロードに紛れ込んでいると、なんとも良いアクセントになっていて、クッキー入りも美味かったんだよなあ。

おっと。話を戻そう。あと、マシュマロチョコも時々作っていたな。小ぶりなグラシンカップかアルミカップにうず高く盛られたマシュマロがチョコで固められているという、ごくシンプルな物で、これがまた、チョコが一段と美味く感じられた。しかも食感が軽いので、どんなにたくさん作ってあっても2日ともたなかった。トッピングをすればバレンタインデーにも使える一品だ。


そんなわけで当店の小箱入りチョコには少しおめかしをしたマシュマロチョコも入れてある。洋酒だのドライフルーツだのコンフィチュールだのが入った「御チョコレート様」と呼びたくなるような高級感溢れるトリュフ系が勢揃いしている箱の中の一員として存在感を放っている。使うチョコのフレーバーも、ミルク、ホワイト、ストロベリー、抹茶の四種類。マシュマロチョコだけの箱入りも出しているが、これがまたなかなかの人気だ。「御チョコレート様」に比べてコストが安いので、手頃な価格にしてあるのも人気の理由だ。

アラザンや金箔でおめかしをするとなかなかかわいらしいものになる。ミルクにはココアパウダーをまぶして、ちょっとばかりおすましな感じに仕上げてある。マシュマロチョコも「御チョコレート様」たちに負けないいでたちである。


ガトーショコラVSブラウニーの勝敗が気がかりで不安になってしまう今日このころだが、御チョコレート様やマシュマロチョコにおめかしをしている時は実に癒される。味見もしまた楽しい。

「店長?チョコレートまだですか?時間の割には少なくないですか?」

また一つ、口に放り込んだ瞬間に背後から話しかけられた。

…うぐっ。つまみ食い、もとい味見をしすぎた。

「ん?…気の…へいびゃにゃいのか?」

陽菜、気のせいだよ、気のせい。

「モグモグやってないで日本語しゃべってください。味見はほどほどにしてくださいね。」

「お供えの分を選んでいたんだよ。」

「はいはい。それが今日の言い訳ですね。」

言うが早いかおめかしが終わったチョコレート達のトレーを陽菜が素早く俺の前から連れ去ってしまった。

「店長だけに任せておくと、お客様の前に出す前に無くなっちゃう!」

やはりバレバレだったらしい。んー。もう一個だけ食べたいなあ。

そっと陽菜の背後に歩み寄ってみる。

「いい加減にしてくださいね。そのコックコートがはち切れる前にね。」

ラッピングを始めた陽菜が振り返らずに言い放った。


「…はい。すみません…。」


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