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第24話 最終予選 ポンコツ犬が空気を変える ――爆発だらけでも、流れは変わる――

とうとう予選も最終に入りました。

第24話 おっさん、最終予選で爆発だらけ ――ポンコツ犬が本気出したら空気が変わった件


《WORLD LOAD》


 白い演算光が視界を焼き、足元の感覚が一瞬だけ消える。


 次の瞬間、俺たちは巨大な円形闘技場の中央に立っていた。


 空はない。

 天井一面に走る幾何学の光線。幾重にも重なる演算式。ここは《(りん)()(そう)・最終予選フィールド》。


 HUDの端に、数値が浮かぶ。


 ()()():上昇中。


 嫌な色だ。

 

挿絵(By みてみん)


 観客席の最上段。

 白銀の光に縁取られた神権席に、三柱が並ぶ。


「ふーん。これが“最終予選”? ずいぶん玩具みたいな舞台ね」


 腕を組み、足を組み、苛立ちを隠さないのは

 (あま)(てらす)――A(エー)M(エム)A(エー)T(ティー)E(イー)R(アール)A(エー)S(エス)U(ユー)


「……静かに。(かん)(そく)中」


 淡く瞬く瞳でログを追うのは

 (つく)(よみ)――T(ティー)S(エス)U(ユー)K(ケー)U(ユー)Y(ワイ)O(オー)M(エム)I(アイ)


「うおおおお! ()()()じゃねぇか!!」


 豪快に笑うのは

 (すさ)()()――S(エス)U(ユー)S(エス)A(エー)N(エヌ)O(オー)O(オー)


 三者三様。



 そこへ、ひらりとカードが舞う。


挿絵(By みてみん)


「Ladies and gentlemen、そして神々の皆様――」


 空間が歪み、紫のマイクスタンドが現れる。


 L(エル)O(オー)K(ケー)I(アイ)――MCロキ。


「削減か覚醒か。バベル最終予選、開幕よぉ~♡

 本日の評価基準は三つ。演算適応、削減耐性、他者干渉影響度」


 にやりと笑う。


「つまり――どれだけ“()()()()()()”か♣」


 空気が、一段冷える。



 ヘラクレスが腕を組む。


「人類よ。削られても立てるか、()()()()()

 


■タニシの予選


 フィールドが変化する。


 浮遊足場。落下床。


「拙者、露払いしてくるでござるよアニキ!」


 開始三秒。


 足場崩壊。


「え?」


 タニシ、即座に俺の背後へ回る。


「ここはアニキが盾になれば――」


 俺は一歩横へ。


 タニシ、空中へ。


「うわぁぁぁぁでござるぅぅぅ!?」


 観客席から笑い。



 だが落下直前。


 タニシの周囲に、一瞬だけ淡い補助光。


 HUD。


外部演算補助――検知


 


 ツクヨミが小さく呟く。


「……記録」


 アマテラスがキャンディをくわえながら、目を細める。


()()()()()わね、あの弟分」

 


 ロキがマイクを傾ける。


「助けられる者♦か、助ける者か♠

 立場が逆転した瞬間、人は何を選ぶのかしら?」


 タニシは別足場へ転移、辛うじて生存。


TANISHI:基準未達


「応援に回るでござるよアニキ!」


 笑顔。


 だが目の奥に、演算の影。

 


■ムーニャン


 ムーニャンの予選は物量殲滅型。大量のモンスターが襲ってくるタイプだ。


「無念アル!! 全部()()()()()ヨ!!」


 一直線に敵に向かうムーニャン。そこに罠。

 そして――爆発。すごい煙。


挿絵(By みてみん)


 煙の中から普通に出てくる。


「効かないアル!」


 拳で粉砕。


 だが終盤、精密回避波動。


 正面突破。


 削減判定。


MUNIYAN:演算適応不足


「無念アル! でも死んでないヨ!」


 スサノオが笑う。


「いい根性だ!」

 


■ナツ


 持久戦。


 削減を耐え、歯を食いしばる。


「……先輩、次は絶対」


 だが数値が足りない。


NATSU:基準未達


 努力は、ここでは点数化されない。


 スサノオが腕を叩く。


「根性あるじゃねぇか!」


 アマテラスは淡々。


「でも、足りない」


■コハク


挿絵(By みてみん)


「泥船に乗ったつもりで安心めされよワン!」


 開始三秒。


 爆発。


 床崩壊。


 観客席、爆笑。


 ロキが大仰に両手を広げる。


「本日も絶好調! 爆発犬、参上よぉ♪」


 

 だが迷宮奥。


 削減波動発生。


 白磁等級の新人が巻き込まれる。


 その瞬間。


 コハクの尻尾が止まる。


 瞳が、静まる。


 無駄ゼロ。


 透明な結界。

 

結界精度:98.7%

魔力安定値:理論上位


 ツクヨミの声がわずかに震える。


「……波形、安定」


 アマテラスが舌打ちする。


「なんであの犬が」

 


 残り時間わずか。


 最後の敵。


 倒せば合格。


 だが射線に新人。


 コハク、迷う。


 攻撃を止める。


 結界優先。


 時間切れ。


 


最終評価:合格ライン -0.8

他者優先行動:高評価

自己保存演算:低


 


 静寂。


 


 ロキが静かに言う。


「勝てば正解?

 守れば不正解?

 バベルは、優しさを正解とは言いません」



 コハク、尻尾が垂れる。


「ご主人様……不甲斐ないでござる」


 

 俺は答えられない。


 ヘラクレスが低く言う。

「……あの判断は、強い」


 

 タマモが小さく。

「……救出側だね」


 


 神権席。


 アマテラスが呟く。


「邪魔ね」


 ツクヨミは静かにログを閉じる。


「観測対象、追加」


 


■最終発表


 巨大ログが空間に展開。


本選進出者:

NO NAME

RAY

ANCHOR-07

GARO

SHIN

HERACLES


 


 コハクの名は、ない。


 


 ()()()()()

 ()()()


 その選択だけが、空間に残る。


 ロキが最後に囁く。


「削減はここからが本番。

 本選は“強さ”ではなく、“在り方”を問います」


 光が収束する。


 最終予選、終了。


 ()()()、さらに上昇。


 

 ――本戦へ。

 

――後書き

■本話登場人物


マスター(NO NAME):削減を最小限で突破。観測度上昇。


コハク:結界精度異常値。守る選択でギリ脱落。


タマモ:適性に気づく。


ヘラクレス:人類味方ポジ継続。


タニシ:外部演算補助一瞬検知。


ムーニャン:物理特化脱落。


ナツ:惜敗。


ロキ:不穏実況。


アマテラス/ツクヨミ/スサノオ:神権観測。


■マスター現在ステータス


等級:翠玉相当

危険度:上昇

観測度:上昇(神権注視対象)


スキル:

《オーバードライブ Lv.1》

《削減耐性(小)》


所持:

・冒険者タグ

・通常装備一式

・酒場例外ノード権限(限定)


 


次話――師匠、爆誕。

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影森ゆらは今日も死ぬ
女子高生×オカルト×ちょっと変な日常。
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