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年上の君  作者: ウタ
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6/8

side ヒロ(同い年の君へ) ②


ユウを家に連れて帰るまでが大変だった。


ユウに見惚れる奴に呆れ、舐め回すような気色悪い視線を寄越す奴を睨みつけながら帰り道を歩いたため、家に帰ったときは精神的に疲れていた。


酔いが回ったユウは足元が覚束なくて、ハラハラしたし。それなのに、ビールとチューハイとつまみをコンビニで買ってきた俺は偉いと思う。


「ユウ、もう寝ろよ」

「えぇ?ビール、買ってたじゃん」


足元覚束無くても、口は回るらしい。目は既にトロンとしてるのに。


「寝ろって。明日起きれないぞ?」

「バイトも講義もないもん」


もんって。可愛いから許すけど。


「いいじゃん、酔いたい!もっと飲みたい!酒!!」

「あーもう、ほら」


比較的アルコール濃度が低い酒を渡し、自分も同じのを呑む。

買ってきたのは数種類あるが、どれも2本ずつ買った。何故かユウは同じものを飲ませたがるし、違うものを呑んでいると鉄拳が飛んでくるから。


「うー」

「気持ち悪いなら止めろって」

「違うもんっ!」

「はいはい」


苦笑してポンポンと頭を叩くと、ユウは俯いた。


「どうした?」

「俺、男だぞ」

「は?」


顔を上げたユウと、視線がバチッと遭った。


―――あ。これは、あれですね。

どうしよう。かなり、ヤバい。





※※※


「つかなんなんだよ。大学の奴らも変なの多いし。俺は男に変な目で見られても嬉しくねぇよ!」


ガバッっとビールを一気飲みするユウ。


「どいつもこいつも…いい加減沈めるかぁ?ああでも、俺の株が下がるしな」


はい、ブラックユウが出ましたよ。酒癖悪いな。


本当はこっちが地なんだけど。普段は「いい人」を演じちゃってるから、ユウが地を出すのは酒を呑んだ時。それも、俺と二人の時だけだから、この“ユウ”を知る人物は俺だけ。


「ドSの先輩はいるし。この前足つぼやられたけど、マジ痛かったし。あいつ愉しんでたからな!ケンは変な勘違いして部屋入ってくるし。いや、そうなるよう仕向けたんだけど。痛すぎてあり得なかった。あれで有能な医者の卵なのかよ」

「足つぼってお前……」


ユウが何をしたか容易に想像できた。


「ヒロもいれば良かったのにな。風呂入る時なんか最高だぜ?結構な数の男があそこ押さえて足早にでてくの。面白いだろ?………ああでも、そういう目で見られてんのはムカつく」


本当に不機嫌そうな顔に苦笑する。


「自分で仕掛けといて?」

「…ムカつくもん」


あれ、また甘えたモード。今日は振り幅激しいな。


「まぁ、バスケで主力になりそうなのも入ったし。成績もいいし。恋人できれば最高」

「……まぁ、いんじゃね?」


まさか、バスケと成績にまでその顔と性格を活用してるとは思わなかったけど。…彼女より彼氏を見つけろ、というのは禁句。怒るし、何か悲しそうな顔するから。


「ヒロ……」

「ん?」


切ない声で呼ばれた。なんか、目がウルウル。隣に座る俺の肩に頭を乗っけて、上目で見詰めるユウ。


「酒、なくなった」


見ると、買ってきた酒が全部なくなっていた。


「駄目!もう、ダメ!」

「なんで?」

「飲みすぎ!」

「チッ」


あれ、今、もしかしなくとも舌打ちしたか?


「おま、……はぁ!?」


いい加減我慢の限界が来た俺だったが、さらに追い打ちを掛けられた。ガサガサと音がすると思ったら、ユウは服を脱いでいて。思わず見上げた身体は引き締まっていて、相変わらず腹筋も割れていた。

あ、久しぶりとか思っていたら、下まで脱いだユウ。


…所謂、全裸。


「ヒロ、俺、」


赤い顔をしたユウを眺める。パクパクと、何かを言おうとして、でも声にならない言葉。


「どした?」

「…風呂行ってくる」


あれ、足元がしっかりしてる気がする?つか、洗面所で脱げよ。




「はあああああっ」


大きく溜息を吐いた。酔ってもいい。甘えてくれるのもいい。だが、本性はださないでほしい。

普段隠している分、出した時のユウは凄まじい。俺様というか、我儘…君主?扱いに困る。


「風呂入れば?」


寝室に布団を敷いていた俺に、投げかけられた言葉。


「おー。!??」


返事をしながら振り向いた俺が見たものは、色気を前面に押し出したユウ。ユウは、首を傾けた。


「なんで布団しいてんの?」

「…お前、どこで寝るつもりなの?」

「え、ベットだろ」

「ああうん、そうだよな」


俺相手にユウが遠慮をしたことはない。恐らくこの先もないに違いない。


「風呂行くわ」

「ん」

「髪、乾かせよ」

「………ん」


うっわぁ。今、とても面倒そうな顔したよ。仕方ない。


「乾かしてやるよ」


ベットが濡れるのは避けたいし、風邪でも引かれたら大変だ。風邪をひいたら最後、ユウは俺に世話をさせるのだから、面倒なことは起こしたくない。

借りてきた猫みたいに大人しくしているユウを見降ろして、ふと、微笑む。こういうところは変わらないな。


「ベット使っていいから、先に寝てろよ」


酔ってるんだから。


「―――ん」


その間は何?とか訊きたいが、今が甘えモードなのか素なのか判断がつかないため、止めた。素だったら「あ?」とかいう返事が返ってくるはずだし、酒も回ってきたし、精神的にも疲れた。風呂に入って、早く寝るのが一番。



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